2021年相場の見通し&2020年振り返りと年間ランキング
2020年の東京株式市場は、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大を受けて急落したあと、各国の政策対応によって急回復したダイナミックな1年となりました。
11月中旬には日経平均株価が終値ベースで29年半ぶりに2万6000円台を回復し、終わってみれば干支アノマリー「子(ね)は繁栄」の相場格言通りの展開になったといえるのではないでしょうか。
2月下旬
新型コロナ拡大でセンチメント悪化
19年末に中国・武漢で発生したとされる新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によってセンチメント(市場心理)が悪化した。
3月上旬
WHOがパンデミックと表明
世界保健機関(WHO)事務局長が「パンデミック(世界的な大流行)とみなせる」と表明したことで、世界経済の先行きを不安視した売りが加速。日経平均株価は約3年4カ月ぶりに1万7000円割れとなった。
3月中旬
各国が財政・金融支援に動く
日銀は金融政策会合を前倒しして開催し、上場投資信託(ETF)の買い入れ枠を年間約6兆円から約12兆円に引き上げることを決めた。米国では2兆ドル(約220兆円)の大型経済対策が成立した。
4月上旬~中旬
緊急事態宣言が発令
米連邦準備理事会(FRB)は緊急資金供給策を決定した。一方、国内では安倍首相(当時)が上旬に7都府県に対して緊急事態宣言を発令し、中旬には対象を全国に広げた。
4月下旬
日銀が追加緩和
日銀は追加の金融緩和策を決定し、長期金利の上昇を抑えるため国債購入の制限を撤廃した。
7月下旬
米中対立深刻化
米政府が米国の知的財産を窃取する一大拠点であるとしてテキサス州にある中国総領事館を閉鎖し、中国も対抗措置として四川省の米国総領事館を閉鎖した。
8月下旬
安倍首相が辞任
安倍首相は8月28日、健康問題を理由に辞任を表明。憲政史上最長の7年8カ月に及ぶ長期政権は突然の幕引きとなった。
9月中旬
菅政権が誕生
菅首相は9月14日の自民党総裁選で勝利し、新政権が誕生した。
11月上旬
海外投資家が買い姿勢
米大統領選で民主党のバイデン前副大統領が勝利し、米政治の不透明感が後退した。また、東証が発表した11月第1週(11月2~6日)の投資部門別売買動向で、海外投資家が3週ぶりに大幅な買い越しに転じた。
11月中旬~下旬
経済の早期正常化期待膨らむ
米製薬大手ファイザーなどの新型コロナワクチンが臨床試験で高い有効性を示したことで、世界経済の早期正常化期待が高まった。日経平均株価は17日に終値で約29年半ぶりに2万6000円台を回復し、NYダウは24日に史上初めて3万ドルの大台に乗せた。
12月上旬~中旬
強弱感が対立
英国や米国で新型コロナワクチンの接種が始まった一方、感染者の増加に拍車がかかったことから強弱感が対立する状況となった。
2020年相場前半の振り返り 株価に影響を与えたニュースとは
2020年前半の株式相場は、19年末に中国・武漢で発生したとされる新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって大きく混乱しました。
世界経済や企業業績に対する先行き懸念の高まりから2月下旬に急落局面を迎え、3月上旬に世界保健機関(WHO)事務局長が「パンデミック(世界的な大流行)とみなせる」と表明すると投資家心理は一段と冷え込みました。
ただ、日経平均株価は3月19日につけた取引時間中の安値1万6358円を底に落ち着きを取り戻します。
これは日銀が上場投資信託(ETF)の買い入れ枠を年間約6兆円から約12兆円に引き上げたほか、米国で2兆ドル(約220兆円)の大型経済対策が成立するなど、各国政府や主要中央銀行が財政・金融支援に動いたためです。
4月上旬には安倍首相(当時)が緊急事態宣言を発令しましたが、米連邦準備理事会(FRB)による緊急資金供給策や日銀の追加緩和などを手掛かりに日経平均株価は上昇を続け、6月上旬には2万3000円台を回復しました。
2020年11月から上昇基調が強まり約29年半ぶりの水準に
20年後半は好地合いを引き継ぐかたちでスタートしましたが、7月下旬には米政府が米国の知的財産を窃取する一大拠点であるとしてテキサス州にある中国総領事館を閉鎖し、
中国も対抗措置として四川省の米国総領事館を閉鎖したため、米中対立深刻化への警戒感が市場に広がり株価の重石となりました。
また、安倍首相(当時)が8月28日に辞任する意向を表明すると、同日には日経平均株価の下げ幅が一時600円を超える場面がみられました。
ただ、新政権が現状の政策方針を維持するとの見方から翌営業日には下落分をほぼ取り戻し、9月は菅首相が強調する改革への期待感などから株価は堅調に推移しました。
その後は11月の米大統領選を控えて神経質な動きとなりましたが、民主党のバイデン前副大統領が勝利すると米政治の不透明感が後退しました。
また、米製薬大手ファイザーなどの新型コロナワクチンが臨床試験で高い有効性を示したことで世界経済の早期正常化期待が高まり、株価は大きく上昇。
日経平均株価は海外投資家が買い姿勢を強めたこともあって約29年半ぶりに2万6000円台を回復し、NYダウは史上初めて3万ドルの大台に乗せました。
12月に入ると英国や米国で新型コロナワクチンの接種が始まった一方、感染者の増加に拍車がかかったことから強弱感が対立する状況となりました。
2021年の相場はどうなる? 最大の焦点は「新型コロナ収束の可否」
さて、2021年の相場はどうなるのでしょうか。
株価が上昇するために最も重要なことはコロナ感染の収束です。
ワクチンが普及することによって感染が収束に向かえば国内外の経済活動が活発化し、それにつれて株式市場では先高観が強まることが予想されます。
そうした場合でも各国の景気に配慮した政策は当面続くとみられ、主要中央銀行による緩和措置の維持が株価の追い風になりそうです。
政治面では米国で1月20日にバイデン氏が大統領に就任し、新政権が発足する見込みで、同氏は増税を伴う経済再生プランを主張しています。
上院は共和党、下院は民主党という「ねじれ議会」の構図が続ければ政策の実現は難しくなりますが、株式市場にとっては悪くない状況といえます。
また、国内では衆議院解散・総選挙が注目されます。衆議院の任期満了は10月で、夏の東京五輪を控えて春までに行われる可能性があります。
ここで自民党が勝利し、菅政権の長期化の確度が高まれば株価が上昇することになりそうです。
このほか話題となりそうな投資テーマを押さえておくこともポイントです。
二酸化炭素(CO2)の排出量と吸収量をプラスマイナスゼロにする「カーボンニュートラル」に向けた取り組みが世界的に広がるなか、株式市場では再生可能エネルギーや電気自動車(EV)などが関心を集めています。
また、政府がデジタル化を推進するために「デジタル庁」を新設する予定であることから、
ITなどの先端技術を活用して企業や行政の仕組みを変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)関連が株式市場をにぎわせることになるでしょう。