2019年の東京株式市場は、米中通商問題などの外部要因に翻弄されながらも干支アノマリー「亥(い)固まる」の相場格言通り底堅さを発揮し、年後半には「子(ね)は繁栄」に向けて上昇基調を強める展開となりました。2019年の相場を一文字で表すなら「昇」といえるのではないでしょうか。
2019年の主要なイベント振り返り
センチメント改善
前年末は米アップルの業績見通しの下方修正などから世界景気の先行き懸念が広がったが、良好な米雇用統計を受けてセンチメント(市場心理)が改善した。
※米労働省が1月4日発表した2018年12月の雇用統計(速報値、季節調整済み)は、景気動向を敏感に映す非農業部門の雇用者数が前月に比べて31万2千人増えた。
米利上げ打ち止め観測が浮上
パウエルFRB議長は30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で、今後の金融政策については「慎重に進めることを保証する」と述べ、従来の利上げシナリオを見直す考えを強調した。
英EU離脱再延期
英議会は3月27日夜(日本時間28日朝)、欧州連合(EU)からの離脱時期を当初の29日から4月以降に延期することを決めた。
香港デモが激化
香港の民主派団体は6月9日、中国本土に刑事事件の容疑者を引き渡せるようにする「逃亡犯条例」の改正案に反対する大規模なデモを実施した。
米中対立の激化で円高・ドル安が進行
トランプ米大統領による対中追加関税第4弾の発動表明、中国政府による国有企業への米国産農産物の輸入停止要請など対立が激化。これを受けて、リスク回避的な円高・ドル安が活発化した。
反騰局面入り
9月5日から株価急上昇・・・香港の行政長官が「逃亡犯条例」改正案の正式な撤回を発表したほか、英議会下院が欧州連合(EU)からの離脱延期案を可決し「合意なき離脱」が避けられるとの期待が浮上した。
トランプ米大統領は9月11日、2500億ドル(約27兆円)分の中国製品に対する制裁関税の拡大を10月15日に先送りすると発表した。10月1日に税率を現在の25%から30%に引き上げる予定だった。
10月末
欧米中央銀行が利下げ
米連邦準備理事会(FRB)が7月31日と9月18日、10月30日と3会合連続で利下げに踏み切り、欧州中央銀行(ECB)は9月12日に利下げした。
日米貿易協定に署名
日米両政府の代表者は10月7日、ワシントンで日米貿易協定に正式に署名した。
海外投資家が買い姿勢強める
東証が10月10日発表した10月第1週(9月30~10月4日)の投資部門別売買動向で、海外投資家が4週ぶりに買い越しに転じ、11月第2週(11月11~15日)まで7週連続で買い越した。
国内景気の底堅さを確認
内閣府が9日発表した2019年7~9月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.4%増、年率換算で1.8%増となった。11月に発表した速報値(前期比0.1%増、年率0.2%増)から大幅に上方修正した。
世界リスク後退
米中両国政府が13日、大詰めを迎えていた貿易交渉で「第1段階の合意」に達したと発表し、米中協議の進展期待が台頭。また、英国の下院総選挙(定数650)が12日に投開票され、ジョンソン首相の与党・保守党が過半数の議席を押さえたことで、ブレグジット(英国のEU離脱)を巡る不透明感が後退。