初の感染者を確認
日経平均株価は1月17日に2万4115円と、2018年10月以来の高値をつけていました。
日本ではその前日に、初の感染者が確認されています。中国・武漢から帰国した後に、肺炎で入院していた男性でした。
武漢封鎖
武漢が封鎖されたのは1月23日、乗客に感染者が含まれる可能性のある大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号が横浜港に到着したのが2月3日。
この頃には既に、目に見えて危機は進行しつつありました。
2万2775円まで下落
日経平均は2月3日に2万2775円まで下落し、この時点で株式相場は下落の予兆を示していました。
ところがその後、6日には2万3995円まで再上昇し、再び2万4000円台に接近しています。
米国でNYダウが連日の大幅高に買われ、1度は割り込んでいた2万9000ドル台を回復したことに後押しされてのものでした。
同じ時期に独DAX指数なども好調に推移しており、米欧では新型コロナ感染騒動は対岸の火事として見られていたのです。
ダイヤモンド・プリンセス号の報道
2月3日以降、日本では連日、ダイヤモンド・プリンセス号がマスメディアの報道の主役となっていきます。13日には日本で初の死者が発生。 19日、ダイヤモンド・プリンセスからの下船開始。20日、厚生労働省がイベント自粛を要請しています。
厚生労働省がイベント自粛
20日、厚生労働省がイベント自粛を要請しました。
その翌日、週末21日の日経平均の終値は2万3386円。
1月の高値からは下げていますが、大きく売られたわけではなく、十分な高値圏と言える位置です。
そして、株式市場が平穏のまま終わったのはこの日が最後でした。
世界的大暴落の幕開け
23日、日本の感染者が100人を突破。
24日の月曜日は天皇誕生日の振替休日となったため、東京株式市場は休場。
その夜に始まった米国株式市場で、高値を維持していたNYダウが前日比1031ドル安と急落し、世界的大暴落の幕が上がりました。
イタリアやイラン、韓国での新型コロナの感染拡大が伝わり、ようやく世界はパンデミックが起こりつつあることに気づいたのです。
世界各国で流行国からの入国禁止措置や休校、イベントの禁止などのウイルス感染の封じ込め措置が取られ、それにともなって経済活動の停滞が明らかになります。
企業業績の落ち込みは不可避で、これが株売りを呼び起こしたのです。
NYダウはこの日以降、次々に過去の暴落記録を塗り替えていきます。日々の株価の動きを追うと、1000ドル安、1000ドル高が当たり前のように出現し、ついには1日にして3000ドルの下落を記録するレベルまでボラティリティ(変動率)が高まっていきました。
NYダウ・欧州各国の株価も暴落
3月16日のNYダウは一時2万0116ドルまで下落。
全世界同時暴落が始まる前の2月21日終値2万8992ドルからは30.6%の下落となっています。
恐怖指数と呼ばれるVIX指数は83.56まで上昇。これはリーマン・ショックの渦中でつけた89.53という史上最高値に迫る水準です。
欧州各国の株価も暴落しています。イギリス、ドイツ、フランス、イタリアも同じ期間に軒並み30%超下落。
新型コロナ肺炎による死者が急増しているイタリアでは、同国を代表する株価指数、FTSE MIB指数の下落率は39.5%という記録的な水準に達しています。