優待投資で最低限知っておきたい基礎知識
株式投資を始めようとしている人の中には、株主優待に魅力を感じている人が多いことでしょう。
株式投資家のなかには、株主優待を目的に投資を行い、長期的に株式を保有。長年にわたり優待をもらいながら値上がり益を得ている投資家がたくさん存在しています。
良い企業を選ぶことができれば、このように利益を享受することができるのが株主優待銘柄の特徴です。
ここでは、株主優待を使って投資を成功させたい人のために基本的な知識を解説していきます。
株主優待投資は初心者向け
一般的に、株主優待をメインとする投資方法は初心者向けと言われています。
ただ、優待を実施している企業は1,500社以上存在し、そこからどういった企業を選ぶのかによって将来的な資産状況は大きく異なります。
例えば、2010年にオリエンタルランド(4661)の株式を100株購入していた場合をみてみましょう。
オリエンタルランドのチャート
2019年4月末の時点で400万円以上の値上がり益と、毎年の東京ディズニーリゾートのパスポートを優待でもらい続けることができています。
一方で、残念ながら株主優待を実施している企業でもシベール(2228)のように業績悪化のあおりを受けて上場廃止になってしまった企業も存在します。
良い銘柄へ投資ができれば、値上がり益と優待を両方取得できる一方で、銘柄選びに失敗すると手痛い目にあうのは、通常の投資と変わりません。
優待や配当をもらうために!権利付最終日と権利落ち日とは
企業からの贈り物である株主優待や配当をもらうために、「権利」を知る必要があります。
例えば、配当を実施している企業の株式でも権利を得ることのできる日に株式を保有していなければ、配当をもらうことができません。
この株式を保有していなければいけない日のことを「権利付き最終日」といいます。株を買って権利付き最終日の取引終了時点まで保有し、次の営業日を迎えると配当や優待をもらうことができるのです。
逆に言えば、権利付き最終日のみ株式を保有すれば配当や優待をもらうことが可能だとも言えます。
権利付き最終日の翌営業日は、配当や優待の分の株価下落があるのが一般的です。この権利付き最終日の翌営業日を「権利落ち日」といいます。
権利付き最終日と権利落ち日は銘柄ごとに異なります。配当や優待を狙う場合には、あらかじめその企業の権利付き最終日が何月何日なのかを確認しておきましょう。
2019年4月の権利付き最終日と権利落ち日は以下の通り
・権利付き最終日 4月23日(火)
・権利落ち日 4月24日(水)
テンポスホールディングスのチャート
テンポスホールディングスの4月23日の株価終値は2390円、翌営業日4月24日の株価始値は2200円。
この株価の差には株主優待の権利落ち分が含まれています。
人気の株主優待ジャンル
株主優待には実に様々なジャンルがあります。
-
「外食優待券」
-
「金券」商品を購入する際に利用できる券やQUOカード例)まんだらけ(2652)
-
「施設利用券」
-
「日用品」
-
「飲食料品」
-
「優待カード」
-
「優待カタログ」
この範疇に当てはまらない優待も存在していますが、多くは上記のジャンルに当てはまるので、自分好みの優待を探す際の一つの目安にするのも良いかもしれません。
株主優待を提供している人気企業
株主優待を提供している企業の中でも人気の企業をここでご紹介します。
-
アイ・ケイ・ケイホールディングス(2198)優待食事券、株主優待商品最低投資金額:7.2万株主優待利回り:2.77%優待権利確定月:4月
-
日本マクドナルドホールディングス(2702)優待食事券最低投資金額:62.9万株主優待利回り:---優待権利確定月:6月,12月
-
すかいらーくホールディングス(3197)優待カード最低投資金額:22.2万株主優待利回り:1.79%優待権利確定月:6月,12月
-
オリエンタルランド(4661)自社レジャー施設優待券最低投資金額:175.5万株主優待利回り:0.45%優待権利確定月:3月,9月
-
ヤーマン(6630)自社商品・優待割引券最低投資金額:7.5万株主優待利回り:6.61%優待権利確定月:4月
-
イオン(8267)株主優待カード、自社グル―プ優待券最低投資金額:37.3万株主優待利回り:---優待権利確定月:2月,8月
-
ヤマダホールディングス(9831)自社優待割引券最低投資金額:4.6万株主優待利回り:---優待権利確定月:3月,9月
-
吉野家ホールディングス(9861)買物優待券最低投資金額:31.5万株主優待利回り:1.26%優待権利確定月:2月,8月
アイケイケイ(2198)、JT(2914)は実際の食品が自宅に届けられます。出かけて使わなくても良いので、年配の方が好みの優待とも言えそうですね。
マクドナルド(2702)、すかいらーく(3197)、吉野家(9861)は外食時に利用できる食事券がもらえます。
特にすかいらーくや吉野家は、系列のお店で利用ができるので、幅広いジャンルの食事ができて使い勝手が良いことで有名です。
最近非常に人気になったのがヤーマン(6630)。
最低単元の100株を保有しておけば、人気の美容機器をもらえるということもあり、女性を中心に人気の高い優待銘柄といえます。
イオン(8267)の優待はちょっと変わっています。
優待内容はイオン系列のお店で買い物した場合に株式持分に応じてキャッシュバックするカードを提供するというもの。年中、イオン系列で買い物する方であれば、お得になること請け合いですね。
最後にオリエンタルランド(4661)。ディズニーリゾートを運営する同社ですが、優待株としてはもはや最強の部類に位置しています。株価も上昇をつづけ、人気のパスポートを年1回もらえることから個人投資家御用達の銘柄です。
優待を探す時にはオリエンタルランドのような株を探せという格言もあるほど。
優待株式選びの2つのコツ「業績安定」と「配当」
株主優待を提供している企業を選ぶ際、どんな優待が欲しいかで選ぶのも大事です。
ただ、優待目的で投資をして損しないために最低限の知識として以下の項目を覚えておきましょう。
⒈企業業績が悪化していない企業
一つ目が企業の業績。いわゆる売上高や純利益といった企業活動動向が悪くない企業を選びましょう、というものです。
例えば、ここ数年、営業利益が毎年のように減額されているとか純利益が赤字が続いているなど。優待が魅力的とはいえ、企業業績の悪化は株価にストレートに影響しますので、最悪の場合、優待内容を悪化させたり廃止にしてしまうことがあります。
優待株を選ぶなら、数年間の業績をチェックして売上高、純利益共に安定している株式を選ぶとよいでしょう。
⒉配当も出している企業
優待と同時に配当が出ている企業。利回りでいると2%程度の配当を出している企業には、個人投資家の買いが集まりやすく、株価も安定する傾向にあります。
万が一優待が縮小されたり廃止されてしまっても、配当が出ているのでそちらを享受すればいいかと考えて売却しない投資家も多く存在するからです。
一方で優待の内容が非常によいのに配当が無い場合、万が一優待がなくなった場合には株価は大暴落することが予想されます。インカムゲインが全て無くなってしまい投資妙味が後退してしまうからです。
優待選びの際には、配当利回りも見ておくと良いでしょう。