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三菱UFJフィナンシャル・グループのニュース
日経平均は3日続伸。85.69円高の27905.73円(出来高概算5億6000万株)で前場の取引を終えている。
日本の3連休中、米国では6日発表された7月雇用統計で雇用者数が市場予想を上回る大きな伸びを示した。新型コロナウイルス・デルタ型の感染拡大が懸念され、NYダウは6日と9日の2日間で計37ドル高とやや伸び悩んだが、10年物国債利回りは労働市場の回復を好感して1.3%台まで上昇(債券価格は低下)。連休明けの東京市場では金融株や好業績銘柄を中心に買いが先行し、日経平均は66円高からスタートした。寄り付き後も上げ幅を広げ、前場中ごろには一時28128.61円(308.57円高)まで上昇したが、その後急失速して前場を折り返した。
個別では、米長期金利の上昇を受けて三菱UFJ<8306>や三井住友<8316>といったメガバンク株が買われ、ソフトバンクG<9984>やトヨタ自<7203>は小じっかり。新型コロナの飲み薬について年内に100万人分以上の供給体制を整える方針と伝わった塩野義<4507>は4%近く上昇した。決算発表銘柄では自社株買い実施が好感されたNTT<9432>などに買いが入り、業績上方修正の三井金<5706>は急伸。チャームケア<6062>はストップ高水準での買い気配が続いている。一方、レーザーテック<6920>が売買代金トップで4%超の下落。今期は増益率が鈍化する見通しとなっており、ネガティブ視した売りが出た。任天堂<7974>やソニーG<6758>も軟調で、郵船<9101>は小安い。住友鉱<5713>は決算発表による材料出尽くし感から売りがかさみ、りらいあ<4708>などが東証1部下落率上位に顔を出している。
セクターでは、空運業、陸運業、医薬品などが上昇率。一方、その他製品、非鉄金属、金属製品などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の70%、対して値下がり銘柄は25%となっている。
連休明けの日経平均は上げ幅を300円超に広げる場面もあったが、その後急失速する格好となった。米長期金利の上昇に伴い金融株が堅調で、好業績銘柄にも買いが入っている。一方、商品市況の弱含みにより関連銘柄が軟調となっており、このところ賑わっている海運株もやや利益確定売り優勢。個人・機関投資家ともに積極売買していたレーザーテックの下落は市場センチメントにも影響を与えそうだ。ここまでの東証1部売買代金は1兆3000億円あまり。新興市場ではマザーズ指数が+0.40%と続伸。年初来安値(1040.58pt、取引時間中)に迫る1050pt近辺では下げ渋っているが、下降する5日移動平均線に上値を抑えられる形での下落トレンドを脱しきれていない。
米7月雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比94.3万人増(市場予想は87万人程度の増加)、失業率が5.4%(市場予想5.7%、前回5.9%)、平均時給が前月比0.4%増
(市場予想0.3%増)という内容だった。また、6月の雇用者数も85万人増から93.8万人増に上方修正され、市場関係者からは労働市場の順調な回復を好感する声が多く聞かれた。
もっとも、例年なら夏季休暇に入る教育分野はコロナ禍によりサマースクールに参加する学生が多く、雇用者数の増加に寄与したという。「通常の季節的な増員・解雇パターンが歪められた」ことから、8月分も見極めたいなどといった慎重な見方も少なくないようで、統計発表後のNYダウ伸び悩みにつながっていると考えられる。
また、9日発表の米6月雇用動態調査(JOLTS)でも求人数は高水準となっているが、雇用統計における労働参加率は61.7%(前回61.6%)と伸び悩んでいる。「求職者サイドは時給15ドル未満の仕事に見向きもしなくなっている」などといった話が伝わっており、失業給付の上乗せが順次失効すれば労働市場に復帰してくるとの見方が市場では大勢。しかし、度々当欄で指摘しているとおり、失業長期化やコロナ禍による産業シフトは構造的な労働需給ギャップの要因として残りそうだ。実際、先行して失業給付の上乗せが失効した州でも労働参加率の改善は限られるとの報告がある。今のところ「回復ペース」に焦点が当たっているが、「頭打ちライン」が意識されてきたときの市場反応は気掛かりである。
とはいえ、先週末の当欄でも述べたが、2~3月ごろまでの「リフレトレード」の反動が既に5~6カ月に及び、先週あたりから日本株の株価指数先物に短期筋とみられる買い戻しがそろり入るなど、「反動の反動」の兆しも見え始めていた。米10年物国債利回りが6日、9日と続伸したのを見ると、堅調な米雇用が「リフレトレードの反動の反動」を後押しした面もあるだろう。しかし、米10年物国債利回りは1.3%前後がトレンド転換なるかどうかの節目とみられており、この水準を上抜けてくるかどうか見極めたいといった声がある。軟調な商品市況を見ると、景気の先行き期待が高まっているようにも思えない。
東京株式市場でも上値を抑える要因はなお多い。かねて指摘しているとおり、市場全体の信用買い残や日経レバETF<1570>の純資産総額はヒストリカルで見てかなりの高水準になっているが、裁定残はネット買い越しと昨年に比べ買い戻し余地に乏しい。また、先週1週間でジャスダックのシンバイオ<4582>が-40.7%、マザーズのサーキュ<7379>が-28.1%となるなど、従前賑わっていた新興株が相次ぎ急落し、個人投資家の資金余力を低下させているようだ。さらに、ヘッジファンドや商品投資顧問(CTA)といった海外短期筋の先物買い戻しは、このところ先物売買が全体として低調だけに、影響がやや強めに出ていると考えた方がいいだろう。本日の日経平均の乱高下もそれを裏付ける。
これらを考慮すると、「リフレトレードの反動の反動」が日本株の戻りを一段と後押しするかどうか、慎重に見極める必要があるだろう。さて、アジア市場では中国・上海株や香港株が小動き。今週も11日の米7月消費者物価指数(CPI)など重要な経済指標の発表があり、国内企業の決算発表もなお多い。後場の日経平均は上値の重い展開になるとみておきたい。
(小林大純)
<AK>
日本の3連休中、米国では6日発表された7月雇用統計で雇用者数が市場予想を上回る大きな伸びを示した。新型コロナウイルス・デルタ型の感染拡大が懸念され、NYダウは6日と9日の2日間で計37ドル高とやや伸び悩んだが、10年物国債利回りは労働市場の回復を好感して1.3%台まで上昇(債券価格は低下)。連休明けの東京市場では金融株や好業績銘柄を中心に買いが先行し、日経平均は66円高からスタートした。寄り付き後も上げ幅を広げ、前場中ごろには一時28128.61円(308.57円高)まで上昇したが、その後急失速して前場を折り返した。
個別では、米長期金利の上昇を受けて三菱UFJ<8306>や三井住友<8316>といったメガバンク株が買われ、ソフトバンクG<9984>やトヨタ自<7203>は小じっかり。新型コロナの飲み薬について年内に100万人分以上の供給体制を整える方針と伝わった塩野義<4507>は4%近く上昇した。決算発表銘柄では自社株買い実施が好感されたNTT<9432>などに買いが入り、業績上方修正の三井金<5706>は急伸。チャームケア<6062>はストップ高水準での買い気配が続いている。一方、レーザーテック<6920>が売買代金トップで4%超の下落。今期は増益率が鈍化する見通しとなっており、ネガティブ視した売りが出た。任天堂<7974>やソニーG<6758>も軟調で、郵船<9101>は小安い。住友鉱<5713>は決算発表による材料出尽くし感から売りがかさみ、りらいあ<4708>などが東証1部下落率上位に顔を出している。
セクターでは、空運業、陸運業、医薬品などが上昇率。一方、その他製品、非鉄金属、金属製品などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の70%、対して値下がり銘柄は25%となっている。
連休明けの日経平均は上げ幅を300円超に広げる場面もあったが、その後急失速する格好となった。米長期金利の上昇に伴い金融株が堅調で、好業績銘柄にも買いが入っている。一方、商品市況の弱含みにより関連銘柄が軟調となっており、このところ賑わっている海運株もやや利益確定売り優勢。個人・機関投資家ともに積極売買していたレーザーテックの下落は市場センチメントにも影響を与えそうだ。ここまでの東証1部売買代金は1兆3000億円あまり。新興市場ではマザーズ指数が+0.40%と続伸。年初来安値(1040.58pt、取引時間中)に迫る1050pt近辺では下げ渋っているが、下降する5日移動平均線に上値を抑えられる形での下落トレンドを脱しきれていない。
米7月雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比94.3万人増(市場予想は87万人程度の増加)、失業率が5.4%(市場予想5.7%、前回5.9%)、平均時給が前月比0.4%増
(市場予想0.3%増)という内容だった。また、6月の雇用者数も85万人増から93.8万人増に上方修正され、市場関係者からは労働市場の順調な回復を好感する声が多く聞かれた。
もっとも、例年なら夏季休暇に入る教育分野はコロナ禍によりサマースクールに参加する学生が多く、雇用者数の増加に寄与したという。「通常の季節的な増員・解雇パターンが歪められた」ことから、8月分も見極めたいなどといった慎重な見方も少なくないようで、統計発表後のNYダウ伸び悩みにつながっていると考えられる。
また、9日発表の米6月雇用動態調査(JOLTS)でも求人数は高水準となっているが、雇用統計における労働参加率は61.7%(前回61.6%)と伸び悩んでいる。「求職者サイドは時給15ドル未満の仕事に見向きもしなくなっている」などといった話が伝わっており、失業給付の上乗せが順次失効すれば労働市場に復帰してくるとの見方が市場では大勢。しかし、度々当欄で指摘しているとおり、失業長期化やコロナ禍による産業シフトは構造的な労働需給ギャップの要因として残りそうだ。実際、先行して失業給付の上乗せが失効した州でも労働参加率の改善は限られるとの報告がある。今のところ「回復ペース」に焦点が当たっているが、「頭打ちライン」が意識されてきたときの市場反応は気掛かりである。
とはいえ、先週末の当欄でも述べたが、2~3月ごろまでの「リフレトレード」の反動が既に5~6カ月に及び、先週あたりから日本株の株価指数先物に短期筋とみられる買い戻しがそろり入るなど、「反動の反動」の兆しも見え始めていた。米10年物国債利回りが6日、9日と続伸したのを見ると、堅調な米雇用が「リフレトレードの反動の反動」を後押しした面もあるだろう。しかし、米10年物国債利回りは1.3%前後がトレンド転換なるかどうかの節目とみられており、この水準を上抜けてくるかどうか見極めたいといった声がある。軟調な商品市況を見ると、景気の先行き期待が高まっているようにも思えない。
東京株式市場でも上値を抑える要因はなお多い。かねて指摘しているとおり、市場全体の信用買い残や日経レバETF<1570>の純資産総額はヒストリカルで見てかなりの高水準になっているが、裁定残はネット買い越しと昨年に比べ買い戻し余地に乏しい。また、先週1週間でジャスダックのシンバイオ<4582>が-40.7%、マザーズのサーキュ<7379>が-28.1%となるなど、従前賑わっていた新興株が相次ぎ急落し、個人投資家の資金余力を低下させているようだ。さらに、ヘッジファンドや商品投資顧問(CTA)といった海外短期筋の先物買い戻しは、このところ先物売買が全体として低調だけに、影響がやや強めに出ていると考えた方がいいだろう。本日の日経平均の乱高下もそれを裏付ける。
これらを考慮すると、「リフレトレードの反動の反動」が日本株の戻りを一段と後押しするかどうか、慎重に見極める必要があるだろう。さて、アジア市場では中国・上海株や香港株が小動き。今週も11日の米7月消費者物価指数(CPI)など重要な経済指標の発表があり、国内企業の決算発表もなお多い。後場の日経平均は上値の重い展開になるとみておきたい。
(小林大純)
<AK>
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