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*12:17JST 日経平均は大幅反落、中国経済と米実質金利が重し
日経平均は大幅反落。332.64円安の31906.25円(出来高概算6億6590万株)で前場の取引を終えている。
15日の米株式市場でダウ平均は361.24ドル安(-1.02%)と反落、ナスダック総合指数も-1.14%と反落。中国経済指標が軒並み予想を下回り、世界経済の減速懸念が強まった。一方、米7月小売売上高が予想を上回り金利先高観が再燃。また、格付け会社フィッチが一部銀行の格下げの可能性を警告したことも売り材料となった。長期金利の上昇を嫌いハイテクも売られ、相場は終日軟調に推移した。米株安を引き継いで日経平均は273.31円安と32000円割れからスタート。序盤は売りが先行し、31784.91円(453.98円安)まで下落する場面があった。一方、日経平均は75日移動平均線を意識した下げ渋りも見られ、その後は膠着感の強い展開が続いた。
個別では、郵船<9101>、川崎汽船<9107>の海運、丸紅<8002>、三井物産<8031>の商社、日本製鉄<5401>、JFE<5411>の鉄鋼、三菱UFJ<8306>、みずほ<8411>の銀行、INPEX<1605>、石油資源開発<1662>の鉱業、住友鉱<5713>、三井金<5706>の非鉄金属など、景気敏感株が全般下落。銀行株はフィッチの一部米銀の格下げ警告が影響しているもよう。太陽誘電<6976>、ニデック<6594>、TDK<6762>のハイテク、JMDC<4483>、Sansan<4443>、MonotaRO<3064>などのグロース(成長)株も総じて下落。第一生命HD<8750>は国内証券のレーティング格下げが嫌気された。
一方、アドバンテスト<6857>、ディスコ<6146>などの半導体製造装置の一角が上昇。メルカリ<4385>、ベイカレント<6532>などグロース株の一角も高い。前日にストップ高となったメドレー<4480>は大幅続伸。ギフティ<4449>、クラレ<3405>は国内証券のレーティング格上げが好感された。米国市場で住宅事業を手掛ける住友林業<1911>は、著名投資家のウォーレン・バフェット氏率いる米バークシャー・ハザウェイが大手住宅メーカーのDRホートンやレナーなどの株式を新規に取得したことが思惑を強めているようだ。富士製薬<4554>は共同開発医薬品の製造販売承認の取得を手掛かりに急伸。ほか、鹿島<1812>、大成建設<1801>、大林組<1802>など建設の堅調さが目立つ。
セクターでは石油・石炭製品、鉱業、銀行が下落率上位に並んだ一方、建設、電気・ガス、水産・農林が上昇率上位に並んだ。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の73%、対して値上がり銘柄は24%となっている。
本日の日経平均は大幅に下落し、8月7日以来の32000円割れとなっている。前日の東京時間に発表済みではあるが、小売売上高を筆頭に、鉱工業生産、固定資産投資などの中国の主要経済指標が軒並み市場予想を大幅に下回ったことで、世界経済の減速懸念が強まっている。為替は1ドル=145円台後半と円安基調が続いているが、ここのところ、円安と東京株式市場の連動性が薄れており、相場の下支え要因にはほとんどなっていない。
石油輸出国機構(OPEC)のデータが、サウジアラビアの原油減産に伴う世界石油市場の供給不足を指摘したこともあり、ウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI、期近物)は10日に1バレル=84.89ドルと今年の高値を更新していた。しかし、中国経済の低迷の深刻化を背景に、足元のWTIは80ドル台で推移する場面も見られている。
一方、米国経済は堅調さを保っている。前日に発表された米7月小売売上高は前月比+0.7%と市場予想(+0.4%)を大幅に上回り、前月6月分は+0.3%と速報値(+0.2%)から上方修正された。米経済のソフトランディング(軟着陸)期待は一段と高まっており、米中長期債の需給環境の緩みも引き続き意識されるなか、米10年債利回りは15日に4.22%と、昨年10月に付けた高値にほぼ並ぶ水準にまで上昇してきた。米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が「物価上昇率が依然として高過ぎる」とし、追加利上げを示唆したことも影響したようだ。
米10年債利回りから期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)を差し引いた米10年物実質金利は15日1.90%と、2009年3月以降で最高水準にまで上昇してきている。
中国経済の予想以上の低迷で製造業を中心とした企業業績への悪影響が懸念される一方、日本の製造業にはさほど恩恵のないサービス業を中心とした内需主導の米国経済の堅調さを背景に、米長期実質金利の高値更新が続いている。景気敏感株もハイテク・グロース株も買いにくい非常に厳しい地合いになってきたといえ、商いが細くなりがちな8月相場の後半は下方向に振れ幅が大きくなりやすい環境になってきた恐れがある。
投資戦略を立てるのが難しい局面になってきたが、米長期金利の先高観がくすぶるなか、ハイテク・グロースよりはバリュー(割安)株が相対的に優位と考えられる。また、バリュー株のなかでも、資源価格の下落が直接的に業績にマイナス影響を及ばさない銘柄などがより好ましいだろう。
(仲村幸浩)
<AK>
15日の米株式市場でダウ平均は361.24ドル安(-1.02%)と反落、ナスダック総合指数も-1.14%と反落。中国経済指標が軒並み予想を下回り、世界経済の減速懸念が強まった。一方、米7月小売売上高が予想を上回り金利先高観が再燃。また、格付け会社フィッチが一部銀行の格下げの可能性を警告したことも売り材料となった。長期金利の上昇を嫌いハイテクも売られ、相場は終日軟調に推移した。米株安を引き継いで日経平均は273.31円安と32000円割れからスタート。序盤は売りが先行し、31784.91円(453.98円安)まで下落する場面があった。一方、日経平均は75日移動平均線を意識した下げ渋りも見られ、その後は膠着感の強い展開が続いた。
個別では、郵船<9101>、川崎汽船<9107>の海運、丸紅<8002>、三井物産<8031>の商社、日本製鉄<5401>、JFE<5411>の鉄鋼、三菱UFJ<8306>、みずほ<8411>の銀行、INPEX<1605>、石油資源開発<1662>の鉱業、住友鉱<5713>、三井金<5706>の非鉄金属など、景気敏感株が全般下落。銀行株はフィッチの一部米銀の格下げ警告が影響しているもよう。太陽誘電<6976>、ニデック<6594>、TDK<6762>のハイテク、JMDC<4483>、Sansan<4443>、MonotaRO<3064>などのグロース(成長)株も総じて下落。第一生命HD<8750>は国内証券のレーティング格下げが嫌気された。
一方、アドバンテスト<6857>、ディスコ<6146>などの半導体製造装置の一角が上昇。メルカリ<4385>、ベイカレント<6532>などグロース株の一角も高い。前日にストップ高となったメドレー<4480>は大幅続伸。ギフティ<4449>、クラレ<3405>は国内証券のレーティング格上げが好感された。米国市場で住宅事業を手掛ける住友林業<1911>は、著名投資家のウォーレン・バフェット氏率いる米バークシャー・ハザウェイが大手住宅メーカーのDRホートンやレナーなどの株式を新規に取得したことが思惑を強めているようだ。富士製薬<4554>は共同開発医薬品の製造販売承認の取得を手掛かりに急伸。ほか、鹿島<1812>、大成建設<1801>、大林組<1802>など建設の堅調さが目立つ。
セクターでは石油・石炭製品、鉱業、銀行が下落率上位に並んだ一方、建設、電気・ガス、水産・農林が上昇率上位に並んだ。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の73%、対して値上がり銘柄は24%となっている。
本日の日経平均は大幅に下落し、8月7日以来の32000円割れとなっている。前日の東京時間に発表済みではあるが、小売売上高を筆頭に、鉱工業生産、固定資産投資などの中国の主要経済指標が軒並み市場予想を大幅に下回ったことで、世界経済の減速懸念が強まっている。為替は1ドル=145円台後半と円安基調が続いているが、ここのところ、円安と東京株式市場の連動性が薄れており、相場の下支え要因にはほとんどなっていない。
石油輸出国機構(OPEC)のデータが、サウジアラビアの原油減産に伴う世界石油市場の供給不足を指摘したこともあり、ウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI、期近物)は10日に1バレル=84.89ドルと今年の高値を更新していた。しかし、中国経済の低迷の深刻化を背景に、足元のWTIは80ドル台で推移する場面も見られている。
一方、米国経済は堅調さを保っている。前日に発表された米7月小売売上高は前月比+0.7%と市場予想(+0.4%)を大幅に上回り、前月6月分は+0.3%と速報値(+0.2%)から上方修正された。米経済のソフトランディング(軟着陸)期待は一段と高まっており、米中長期債の需給環境の緩みも引き続き意識されるなか、米10年債利回りは15日に4.22%と、昨年10月に付けた高値にほぼ並ぶ水準にまで上昇してきた。米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が「物価上昇率が依然として高過ぎる」とし、追加利上げを示唆したことも影響したようだ。
米10年債利回りから期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)を差し引いた米10年物実質金利は15日1.90%と、2009年3月以降で最高水準にまで上昇してきている。
中国経済の予想以上の低迷で製造業を中心とした企業業績への悪影響が懸念される一方、日本の製造業にはさほど恩恵のないサービス業を中心とした内需主導の米国経済の堅調さを背景に、米長期実質金利の高値更新が続いている。景気敏感株もハイテク・グロース株も買いにくい非常に厳しい地合いになってきたといえ、商いが細くなりがちな8月相場の後半は下方向に振れ幅が大きくなりやすい環境になってきた恐れがある。
投資戦略を立てるのが難しい局面になってきたが、米長期金利の先高観がくすぶるなか、ハイテク・グロースよりはバリュー(割安)株が相対的に優位と考えられる。また、バリュー株のなかでも、資源価格の下落が直接的に業績にマイナス影響を及ばさない銘柄などがより好ましいだろう。
(仲村幸浩)
<AK>
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