870円
石井表記のニュース
日経平均は反落。89.00円安の30292.84円(出来高概算5億7319万株)で前場の取引を終えている。
10日の米株式市場でのNYダウは271.66ドル安(-0.78%)と5日続落。直近の下落からの押し目買いが強まり上昇して寄り付いたが、8月生産者物価指数(PPI)が予想を上回ったことで高インフレへの警戒感から売りに拍車がかかり下落に転じた。また、民主党が企業の自社株買いに対する課税案を検討しているとの報道や、2001年9月11日の同時多発テロから20周年を迎え地政学的リスクなども懸念され、引けにかけて下げ幅を拡大した。軟調な米株市場ではあったが、週明けの日経平均は9.82円安の30372.02円とほぼ変わらずでスタート。想定以上の底堅さを受けた押し目買いから即座に切り返すとプラスに転じ30434.46円まで上昇する場面も見られた。ただ、直近2週間での急騰で短期的な過熱感もくすぶり、利益確定売りも根強く、その後は前週末終値水準での一進一退となった。
個別では、追加の減産計画を発表したトヨタ<7203>、関連銘柄のデンソー<6902>やトヨタ紡織<3116>、アイシン<7259>などが大幅に下落。22年7月期が2桁減益見通しとなったシルバーライフ<9262>、第1四半期大幅増益も上方修正がなかったザッパラス<3770>、上半期2桁増益も5-7月期のモメンタム鈍化や上方修正がなかったアセンテック<
3565>などがそれぞれ急落。そのほか、ソフトバンクG<9984>、ソニーG<6758>、ファーストリテ<9983>、日本郵船<9101>、商船三井<9104>、NTT<9432>、KDDI<9433>、SBI<8473>、ホンダ<7267>などがさえない。
一方、、フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)の上昇も手伝い、東エレク<8035>、ルネサス<6723>、アドバンテス<6857>、SUMCO<3436>などの半導体関連株が堅調で、原油価格の上昇を背景にコスモエネHD<5021>やINPEX<1605>などが買われている。
上半期大幅増益で今期2度目の通期上方修正を発表した三井ハイテク<6966>は急伸、業績予想を大幅に上方修正した石井表記<6336>、ファミリーマートが無人のコンビニエンスストア店舗を2024年度末までに約1000店出店するとの報道が刺激材料となったサインポスト<3996>はそれぞれストップ高買い気配となっている。また、1対4の株式分割を発表した大真空<6962>も大幅高に。そのほか、川崎汽船<9107>、キーエンス<6861>、信越化<4063>などが堅調。
セクターでは輸送用機器、パルプ・紙、証券・商品先物取引業などが下落率上位となった一方、石油・石炭製品、鉱業、銀行業などが上昇率上位に並んだ。東証1部の値下がり銘柄は全体の50%、対して値上がり銘柄は44%となっている。
週明けの日経平均は想定以上に底堅い展開。米国株や米国経済の見通しを引き下げる専門家が増え、前週末までの間にNYダウが5日続落するなど、足元の米株式市場は調整色を強めてきている。こうした中、急伸の反動から週明けの東京市場でも売りが優勢となる可能性が想定されたが、良い意味で予想を裏切ってくれている。自民党総裁選の告示が17日に迫るなか、各候補者のメディア露出も増えてきており、政局流動化という国内特有の政治要因が投資家心理を下支えている。
しかし、次期政権への期待感という漠然としたものだけが日本の株高を生んでいるわけではないだろう。もともと、多くの企業が業績好調な中、日本株だけが国内の様々な不透明要因を理由に投資対象から外されてきた。それが、新型コロナウイルスの感染ピークアウトとほぼ同時期の菅首相の自民党総裁選不出馬をきっかけに一気に解消された。不透明要素が拭われた結果、これまで見過ごされてきた好要因を素直に評価できる地合いになってきたということで、単なる期待感だけで上昇してきたわけではなく、ようやく正当な評価をされる環境になったということだろう。そうした意味で、足元の株高は、確かにペースは速かったが、ファンダメンタルズの裏付けのあるものといえ、危うさには乏しい。
また、9月第1週(8月30日~9月3日)の投資主体別売買動向を見ると、海外投資家は現物株を3636億円、日経平均先物で1434億円、東証株価指数(TOPIX)先物で1082億円と目立った買い越しの動きを見せていたが、値幅の割には小額な印象で、まだまだ買い余力はあるだろう。海外投資家は今年前半に先物を2兆円以上も売り越しており、先物の買い戻し余地だけでも大きく、現物株の新規買いなども合わせればポテンシャルは大きい。
先週末の日経平均およびTOPIXのPERはそれぞれ14.0倍、16.5倍と、米S&P500種株価指数の22.8倍と比べるとまだ割安感が強い。マスク着用を嫌う層の一定数の存在などもあり、ワクチン接種が先行していた米国では、デルタ株流行によって新型コロナ新規感染者数が再び増加してきている。対して、協調性を重要視する国民性もあり、日本でのワクチン接種率は今後、8割以上と欧米を大きく上回る水準にまで上昇する見込み。米国株のバリュエーションの割高感を指摘する声などが増えてきている状況も踏まえると、今後は、米国株から日本株への資金シフトも想定される。日本株の持たざるリスクが大きくなる中、日本株の先高観はより確かなものとなっていきそうだ。
ただし、不安要素が全くないわけではない。先日に続くトヨタの減産報道はかなりネガティブな印象が強い。前回は後半の挽回生産により通期生産計画は維持したままだったが、今回は通期計画も900万台と3%下方修正している。サプライチェーンの中枢を担う東南アジアでのコロナ感染拡大やワクチン接種の遅れは今後も警戒が必要だ。
また、米国株の調整がマイルドであれば、日本株の先高観は変わらないだろうが、仮に米国株の下げが大幅なものになると、さすがに、投資家のポジション調整の影響を免れないだろう。米国株の下げが健全なものにとどまるかどうかという点も一つ焦点となってきそうだ。9月は米国株が下げやすい季節性要因もあるだけに、注意したい。
さて、香港ハンセン指数が大きく下落しているなか新規材料難ということもあり、後場の日経平均は引き続きもみ合いにとどまりそうだ。国内では、ワクチン接種を2回済ませた人の割合が遂に5割を超えたとのことで、財務健全でファイナンスリスクの小さい外食やサービスといった出遅れ経済活動再開銘柄を仕込んでおきたいところだ。
<AK>
10日の米株式市場でのNYダウは271.66ドル安(-0.78%)と5日続落。直近の下落からの押し目買いが強まり上昇して寄り付いたが、8月生産者物価指数(PPI)が予想を上回ったことで高インフレへの警戒感から売りに拍車がかかり下落に転じた。また、民主党が企業の自社株買いに対する課税案を検討しているとの報道や、2001年9月11日の同時多発テロから20周年を迎え地政学的リスクなども懸念され、引けにかけて下げ幅を拡大した。軟調な米株市場ではあったが、週明けの日経平均は9.82円安の30372.02円とほぼ変わらずでスタート。想定以上の底堅さを受けた押し目買いから即座に切り返すとプラスに転じ30434.46円まで上昇する場面も見られた。ただ、直近2週間での急騰で短期的な過熱感もくすぶり、利益確定売りも根強く、その後は前週末終値水準での一進一退となった。
個別では、追加の減産計画を発表したトヨタ<7203>、関連銘柄のデンソー<6902>やトヨタ紡織<3116>、アイシン<7259>などが大幅に下落。22年7月期が2桁減益見通しとなったシルバーライフ<9262>、第1四半期大幅増益も上方修正がなかったザッパラス<3770>、上半期2桁増益も5-7月期のモメンタム鈍化や上方修正がなかったアセンテック<
3565>などがそれぞれ急落。そのほか、ソフトバンクG<9984>、ソニーG<6758>、ファーストリテ<9983>、日本郵船<9101>、商船三井<9104>、NTT<9432>、KDDI<9433>、SBI<8473>、ホンダ<7267>などがさえない。
一方、、フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)の上昇も手伝い、東エレク<8035>、ルネサス<6723>、アドバンテス<6857>、SUMCO<3436>などの半導体関連株が堅調で、原油価格の上昇を背景にコスモエネHD<5021>やINPEX<1605>などが買われている。
上半期大幅増益で今期2度目の通期上方修正を発表した三井ハイテク<6966>は急伸、業績予想を大幅に上方修正した石井表記<6336>、ファミリーマートが無人のコンビニエンスストア店舗を2024年度末までに約1000店出店するとの報道が刺激材料となったサインポスト<3996>はそれぞれストップ高買い気配となっている。また、1対4の株式分割を発表した大真空<6962>も大幅高に。そのほか、川崎汽船<9107>、キーエンス<6861>、信越化<4063>などが堅調。
セクターでは輸送用機器、パルプ・紙、証券・商品先物取引業などが下落率上位となった一方、石油・石炭製品、鉱業、銀行業などが上昇率上位に並んだ。東証1部の値下がり銘柄は全体の50%、対して値上がり銘柄は44%となっている。
週明けの日経平均は想定以上に底堅い展開。米国株や米国経済の見通しを引き下げる専門家が増え、前週末までの間にNYダウが5日続落するなど、足元の米株式市場は調整色を強めてきている。こうした中、急伸の反動から週明けの東京市場でも売りが優勢となる可能性が想定されたが、良い意味で予想を裏切ってくれている。自民党総裁選の告示が17日に迫るなか、各候補者のメディア露出も増えてきており、政局流動化という国内特有の政治要因が投資家心理を下支えている。
しかし、次期政権への期待感という漠然としたものだけが日本の株高を生んでいるわけではないだろう。もともと、多くの企業が業績好調な中、日本株だけが国内の様々な不透明要因を理由に投資対象から外されてきた。それが、新型コロナウイルスの感染ピークアウトとほぼ同時期の菅首相の自民党総裁選不出馬をきっかけに一気に解消された。不透明要素が拭われた結果、これまで見過ごされてきた好要因を素直に評価できる地合いになってきたということで、単なる期待感だけで上昇してきたわけではなく、ようやく正当な評価をされる環境になったということだろう。そうした意味で、足元の株高は、確かにペースは速かったが、ファンダメンタルズの裏付けのあるものといえ、危うさには乏しい。
また、9月第1週(8月30日~9月3日)の投資主体別売買動向を見ると、海外投資家は現物株を3636億円、日経平均先物で1434億円、東証株価指数(TOPIX)先物で1082億円と目立った買い越しの動きを見せていたが、値幅の割には小額な印象で、まだまだ買い余力はあるだろう。海外投資家は今年前半に先物を2兆円以上も売り越しており、先物の買い戻し余地だけでも大きく、現物株の新規買いなども合わせればポテンシャルは大きい。
先週末の日経平均およびTOPIXのPERはそれぞれ14.0倍、16.5倍と、米S&P500種株価指数の22.8倍と比べるとまだ割安感が強い。マスク着用を嫌う層の一定数の存在などもあり、ワクチン接種が先行していた米国では、デルタ株流行によって新型コロナ新規感染者数が再び増加してきている。対して、協調性を重要視する国民性もあり、日本でのワクチン接種率は今後、8割以上と欧米を大きく上回る水準にまで上昇する見込み。米国株のバリュエーションの割高感を指摘する声などが増えてきている状況も踏まえると、今後は、米国株から日本株への資金シフトも想定される。日本株の持たざるリスクが大きくなる中、日本株の先高観はより確かなものとなっていきそうだ。
ただし、不安要素が全くないわけではない。先日に続くトヨタの減産報道はかなりネガティブな印象が強い。前回は後半の挽回生産により通期生産計画は維持したままだったが、今回は通期計画も900万台と3%下方修正している。サプライチェーンの中枢を担う東南アジアでのコロナ感染拡大やワクチン接種の遅れは今後も警戒が必要だ。
また、米国株の調整がマイルドであれば、日本株の先高観は変わらないだろうが、仮に米国株の下げが大幅なものになると、さすがに、投資家のポジション調整の影響を免れないだろう。米国株の下げが健全なものにとどまるかどうかという点も一つ焦点となってきそうだ。9月は米国株が下げやすい季節性要因もあるだけに、注意したい。
さて、香港ハンセン指数が大きく下落しているなか新規材料難ということもあり、後場の日経平均は引き続きもみ合いにとどまりそうだ。国内では、ワクチン接種を2回済ませた人の割合が遂に5割を超えたとのことで、財務健全でファイナンスリスクの小さい外食やサービスといった出遅れ経済活動再開銘柄を仕込んでおきたいところだ。
<AK>
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