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*12:14JST 日経平均は9日ぶり反落、米金利の先行きが一段と気がかり
日経平均は9日ぶり反落。36.20円安の33204.82円(出来高概算7億1062万株)で前場の取引を終えている。
6日の米株式市場でダウ平均は198.78ドル安(-0.57%)と続落、ナスダック総合指数は-1.05%と3日続落。原油高に加え、8月ISM非製造業景況指数が予想を上回ったことで追加利上げ観測が再燃。長期金利が上昇するなかハイテク株を中心に軟調に推移した。一方、地区連銀経済報告(ベージュブック)で景気や雇用の鈍化の兆候が示されると金利上昇が一服、終盤にかけては下げ幅を縮小した。米株安を受けて日経平均は122.47円安からスタート。ただ、為替の円安基調を背景に即座に切り返すと80円程上昇に転じる場面もあった。しかし、連日の上昇に伴う短期的な過熱感が意識されるなか、米金利上昇を嫌気したハイテク・グロース(成長)株の下落が重しになり、前場中ごろには一時33096.47円(144.55円安)まで下落。一方、前引にかけては下げ渋って終えている。
個別では、アドバンテスト<6857>を筆頭にソシオネクスト<6526>、レーザーテック<6920>の半導体が大きく下落。ニデック<6594>、キーエンス<6861>、ダイキン<6367>、村田製<6981>、イビデン<4062>、ローム<6963>、芝浦<6590>、HOYA<7741>などのハイテクや半導体関連も下落が目立つ。米長期金利の上昇を嫌気し、ラクス<3923>、インソース<6200>、Appier<4180>、エムスリー<2413>のグロース株が大幅安。不正行為の疑いが一部で報じられたネクステージ<3186>は大幅に続落している。ユニプレス<5949>は国内証券のレーティング格下げが嫌気されて下落。
一方、国内証券が目標株価を引き上げた三菱重<7011>のほか、川崎重<7012>、IHI
<7013>が連日で強い動き。INPEX<1605>、石油資源開発<1662>の鉱業や、国内証券が揃って目標株価を引き上げた三井物産<8031>、伊藤忠<8001>、丸紅<8002>などの商社が堅調。三井不動産<8801>、三菱地所<8802>、住友不動産<8830>の不動産株は上値追いの様相を強めている。業績予想を上方修正したトーホー<8142>、丹青社<9743>のほか、国内証券によるレーティング格上げが好感されたタダノ<6395>、国内証券が目標株価を引き上げた竹内製作所<6432>も大幅高。
セクターでは精密機器、電気機器、鉄鋼が下落率上位に並んでいる一方、鉱業、建設、パルプ・紙が上昇率上位に並んでいる。東証プライム市場の値下がり銘柄が全体の51%、対して値上がり銘柄は45%となっている。
前日に発表された8月の米ISM非製造業景況指数は予想を大幅に上回った。足元では、インフレが収束しつつ景気後退はマイルドなものにとどまり、かつ来年にはインフレ沈静化と景気減速を背景に米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げが期待できるというゴルディロックス相場(適温相場)が続いていた。
こうした相場を維持していくためには、米ISM非製造業景況指数は景況感の拡大・縮小の境界値である50をわずかに上回る程度が市場としては心地よかった。しかし、結果は54.5と市場予想(52.5)を上回り、7月(52.7)から大きく上昇した。また気掛かりなのは、ISM製造業のときと同じように雇用と価格の項目が上昇している点だ。
前日に発表された米地区連銀経済報告(ベージュブック)が、先週の雇用関連指標と同様に、米労働市場の逼迫緩和を示唆したことは好材料だったが、米ISMの製造業・非製造業がともに予想を上回り、雇用と価格が上昇した点はインフレ収束が一筋縄ではいかないことを示しており、ややネガティブに映る。
米10年債利回りは6日、4.29%と(5日は4.26%)さらに上昇し、8月22日に付けた
高値4.36%を窺う動きとなっている。金利上昇を受けて債券との比較でみた株式の割高感が強まっており、米長期金利が高値を更新してくるようだと株式市場の調整は避けられないだろう。
足元の日本株は米金利上昇による為替の円安が大きな支援材料になっているが、為替介入も徐々に意識されるなか、円安余地は縮小してきていると考えられる。国内では実質賃金や実質消費の前年比マイナス傾向が続くなか、円安のマイナス効果も無視できず、日本株が円安を背景にいつまでも上昇を続けるのは難しいのではないだろうか。
5日に発表された8月の中国財新サービス業購買担当者景気指数(PMI)は51.8と7月(54.1)から大きく低下し、昨年12月以来の低水準を記録した。また、同日に発表されたドイツのサービス業と製造業を合わせた総合PMIは44.6と前月(48.5)から大幅に低下、新型コロナウイルスの流行で経済が低迷した2020年5月以来の低水準となった。
中国は米国と並ぶ世界経済の要を担う国であり、ドイツは輸出型経済という点で日本と似ている。両国の経済が極めて厳しい状況にあるなか、やはり「世界の景気敏感株」とも称される日本株だけが上昇を続けていくとは考えにくい。
もちろん、東京証券取引所の鶴の一声ではじまった企業改革への期待や、中国経済の低迷深刻化を背景にアジア地域の株式の持ち高を巡って中国株から日本株へ資金をシフトする海外投資家の動きなども踏まえれば、日本株の相対的な強さは続きそうではある。しかし、現値水準からの上値の余地は大きくないと思われる。
なかなか投資に対して積極的になりにくい状況ではあるが、物色動向としては、目先は引き続き高配当利回り銘柄や割安(バリュー)株が優位な地合いが続きそうだ。グロース株は長期的には仕込み時を検討し始めたいところだが、米長期金利の先高観がくすぶるなか、短期的にはまだ厳しい状況が続くと考えられる。
(仲村幸浩)
<AK>
6日の米株式市場でダウ平均は198.78ドル安(-0.57%)と続落、ナスダック総合指数は-1.05%と3日続落。原油高に加え、8月ISM非製造業景況指数が予想を上回ったことで追加利上げ観測が再燃。長期金利が上昇するなかハイテク株を中心に軟調に推移した。一方、地区連銀経済報告(ベージュブック)で景気や雇用の鈍化の兆候が示されると金利上昇が一服、終盤にかけては下げ幅を縮小した。米株安を受けて日経平均は122.47円安からスタート。ただ、為替の円安基調を背景に即座に切り返すと80円程上昇に転じる場面もあった。しかし、連日の上昇に伴う短期的な過熱感が意識されるなか、米金利上昇を嫌気したハイテク・グロース(成長)株の下落が重しになり、前場中ごろには一時33096.47円(144.55円安)まで下落。一方、前引にかけては下げ渋って終えている。
個別では、アドバンテスト<6857>を筆頭にソシオネクスト<6526>、レーザーテック<6920>の半導体が大きく下落。ニデック<6594>、キーエンス<6861>、ダイキン<6367>、村田製<6981>、イビデン<4062>、ローム<6963>、芝浦<6590>、HOYA<7741>などのハイテクや半導体関連も下落が目立つ。米長期金利の上昇を嫌気し、ラクス<3923>、インソース<6200>、Appier<4180>、エムスリー<2413>のグロース株が大幅安。不正行為の疑いが一部で報じられたネクステージ<3186>は大幅に続落している。ユニプレス<5949>は国内証券のレーティング格下げが嫌気されて下落。
一方、国内証券が目標株価を引き上げた三菱重<7011>のほか、川崎重<7012>、IHI
<7013>が連日で強い動き。INPEX<1605>、石油資源開発<1662>の鉱業や、国内証券が揃って目標株価を引き上げた三井物産<8031>、伊藤忠<8001>、丸紅<8002>などの商社が堅調。三井不動産<8801>、三菱地所<8802>、住友不動産<8830>の不動産株は上値追いの様相を強めている。業績予想を上方修正したトーホー<8142>、丹青社<9743>のほか、国内証券によるレーティング格上げが好感されたタダノ<6395>、国内証券が目標株価を引き上げた竹内製作所<6432>も大幅高。
セクターでは精密機器、電気機器、鉄鋼が下落率上位に並んでいる一方、鉱業、建設、パルプ・紙が上昇率上位に並んでいる。東証プライム市場の値下がり銘柄が全体の51%、対して値上がり銘柄は45%となっている。
前日に発表された8月の米ISM非製造業景況指数は予想を大幅に上回った。足元では、インフレが収束しつつ景気後退はマイルドなものにとどまり、かつ来年にはインフレ沈静化と景気減速を背景に米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げが期待できるというゴルディロックス相場(適温相場)が続いていた。
こうした相場を維持していくためには、米ISM非製造業景況指数は景況感の拡大・縮小の境界値である50をわずかに上回る程度が市場としては心地よかった。しかし、結果は54.5と市場予想(52.5)を上回り、7月(52.7)から大きく上昇した。また気掛かりなのは、ISM製造業のときと同じように雇用と価格の項目が上昇している点だ。
前日に発表された米地区連銀経済報告(ベージュブック)が、先週の雇用関連指標と同様に、米労働市場の逼迫緩和を示唆したことは好材料だったが、米ISMの製造業・非製造業がともに予想を上回り、雇用と価格が上昇した点はインフレ収束が一筋縄ではいかないことを示しており、ややネガティブに映る。
米10年債利回りは6日、4.29%と(5日は4.26%)さらに上昇し、8月22日に付けた
高値4.36%を窺う動きとなっている。金利上昇を受けて債券との比較でみた株式の割高感が強まっており、米長期金利が高値を更新してくるようだと株式市場の調整は避けられないだろう。
足元の日本株は米金利上昇による為替の円安が大きな支援材料になっているが、為替介入も徐々に意識されるなか、円安余地は縮小してきていると考えられる。国内では実質賃金や実質消費の前年比マイナス傾向が続くなか、円安のマイナス効果も無視できず、日本株が円安を背景にいつまでも上昇を続けるのは難しいのではないだろうか。
5日に発表された8月の中国財新サービス業購買担当者景気指数(PMI)は51.8と7月(54.1)から大きく低下し、昨年12月以来の低水準を記録した。また、同日に発表されたドイツのサービス業と製造業を合わせた総合PMIは44.6と前月(48.5)から大幅に低下、新型コロナウイルスの流行で経済が低迷した2020年5月以来の低水準となった。
中国は米国と並ぶ世界経済の要を担う国であり、ドイツは輸出型経済という点で日本と似ている。両国の経済が極めて厳しい状況にあるなか、やはり「世界の景気敏感株」とも称される日本株だけが上昇を続けていくとは考えにくい。
もちろん、東京証券取引所の鶴の一声ではじまった企業改革への期待や、中国経済の低迷深刻化を背景にアジア地域の株式の持ち高を巡って中国株から日本株へ資金をシフトする海外投資家の動きなども踏まえれば、日本株の相対的な強さは続きそうではある。しかし、現値水準からの上値の余地は大きくないと思われる。
なかなか投資に対して積極的になりにくい状況ではあるが、物色動向としては、目先は引き続き高配当利回り銘柄や割安(バリュー)株が優位な地合いが続きそうだ。グロース株は長期的には仕込み時を検討し始めたいところだが、米長期金利の先高観がくすぶるなか、短期的にはまだ厳しい状況が続くと考えられる。
(仲村幸浩)
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