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日経平均は続落。142.08円安の27543.39円(出来高概算5億6361万株)で前場の取引を終えている。
7日の米株式市場でダウ平均は265.67ドル高(+0.78%)と反発。米連邦準備制度理事会(FRB)高官がタカ派色と強めたことで売りが先行。その後、パウエル議長がディスインフレの初期段階にあるとの見解を改めて示すと、安心感から上昇に転換。議長の利上げ長期化を示唆する発言により一時荒い展開も見られたが、年内に利上げ終了の軌道は変わらないとの見方から、終盤にかけて上げ幅を拡大した。ナスダック総合指数は+1.90%と3日ぶり反発。日経平均は5.27円高からスタートも、為替の円高進行や指数寄与度上位銘柄の決算を受けた急落が重しとなり、すぐに下落に転じると、一時27458.53円(226.94円安)まで下げ幅を拡大。一方、27500円割れからは押し目買いなども入り、その後は下げ渋った。
個別では、大幅な赤字決算のソフトバンクG<9984>、業績予想の下方修正と減配を発表した任天堂<7974>がそれぞれ大きく下落。サプライズに乏しい決算から失望感が先行した大阪チタ<5726>や、業績予想を下方修正したシャープ<6753>も急落。太陽誘電<6976>は想定超の業績悪化を受けて大幅安。前日の決算を嫌気した売りが続いた三菱重<7011>は大幅続落となり、IHI<7013>は好決算ながらも出尽くし感が先行し下落。
ほか、横河電機<6841>、丸井G<8252>などが決算を材料に大幅に下落。シュッピン<3179>は業績・配当予想の下方修正で急落し、東証プライム市場の値下がり率トップとなっている。
一方、米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の大幅高を受けレーザーテック<6920>、アドバンテスト<6857>、ディスコ<6146>などが大きく上昇。エーザイ<4523>、武田薬<4502>、第一三共<4568>など医薬品も総じて高い。三菱UFJ<8306>、三井住友<8316>、みずほ<8411>、りそなHD<8308>の銀行は続伸。INPEX<1605>、石油資源開発<1662>、三井物産<8031>、住友商事<8053>など資源関連の一角も堅調。前期業績上振れのスミダ<6817>のほか、好決算を材料にフューチャー<4722>、グローリー<6457>、JESHD<6544>、協和キリン<4151>、ゴールドウイン<8111>などが大幅高となっている。
セクターではその他製品、鉄鋼、非鉄金属が下落率上位となった一方、医薬品、鉱業、繊維製品が上昇率上位となった。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の44%、対して値上がり銘柄は49%となっている。
前日の米株式市場はパウエル議長のインタビュー発言を無難に消化し、ハイテク株を中心に大幅高。一方、本日の東京市場では、指数寄与度の大きい任天堂やソフトバンクGの決算を嫌気した株価急落のほか、為替の円高進行が重しとなり、日経平均はマイナス圏で推移。東証株価指数(TOPIX)も小幅に下落している。ただ、米SOX指数の大幅反発や米スカイワークス・ソリューションズの好決算などを背景に、半導体関連株の上昇が指数を支えている。一方、米ハイテク株高を好感し、マザーズ先物は上昇しているものの、ナスダック指数の上昇率に比べるとやや物足りない印象がある。
前日のワシントン・エコノミッククラブでのインタビューで、パウエルFRB議長は連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見と同様にディスインフレに言及。大きくタカ派には傾かなかったことで目先の安心感を誘った。しかし、今後も強い雇用データが続けば、ターミナルレート(政策金利の最終到達点)が、最新のドットチャート(政策金利見通し)が示す中央値5.125%を上回る可能性にも言及した。また、米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、大幅に上振れた米雇用統計を受けて、利上げの影響がまだ労働市場にほとんど影響を与えていないことに驚きを示すと同時に、ターミナルレートは引き続き5.4%まで引き上げるべきとの見解を示した。
こうした背景もあり、前日の米国市場ではパウエル議長のディスインフレ発言の継続を好感し、ハイテク株を中心に大きく上昇したものの、債券市場では金利の上昇が続き、米10年債利回りは3.67%(前日比+0.03pt)と3日続伸した。フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込むターミナルレートも、6月前後をピークに5.14%と、前日の5.11%から上昇した。一方、12月時点の政策金利予想は4.80%となっており、こちらも水準はかなり切り上がってきたが、引き続き年後半に利下げを予想する点は変わっていない。
しかし、6日、イエレン米財務長官も「月間50万人増の雇用があり、失業率が約50年ぶりの低水準となっているときに、景気後退は起こらない」と語っている。実際、これまでの米企業決算を振り返ってみても、企業のセンチメントの悪化により、法人向けビジネスの落ち込みは著しいが、底堅い個人消費を背景に個人向けビジネスでは好調の維持が目立っている。米小売売上高は直近2カ月連続で前月比マイナスと減速しており、今後も個人消費の好調が続くかは注視する必要があるが、仮に需給の引き締まった労働市場の長期化を背景に、個人消費の底堅さが続くのであれば、確かに景気後退は軽度ではあっても、深刻な形ではやってこないのかもしれない。
ただ、それは今の株式市場が恐れている深刻な企業業績の悪化を通じた株価下落が回避できるとの期待を高める一方、FRBの年内の利下げの可能性は大きく低下させることになる。今の市場は企業業績のここからの悪化はさほど酷くならないのではないかという希望を持ちつつ、年末にかけてのFRBの利下げも同時に期待している。しかし、景気後退が市場に混乱をもたらす程に深刻なものにならない限り、FRBの年内の利下げは今のところ考えにくい。現状の株式市場のシナリオにはやや矛盾が生じており、この点はどこかで修正が必要なのではないかと考える。
一方、米国の主要株価指数が揃って200日移動平均線を大きく上抜け、明確なトレンド転換を見せ、その後も堅調な推移を見せている状況をみれば、弱気一辺倒でもいられない。足元で米長期金利が反発傾向にあるとはいえ、昨年ほどの金利の急上昇がもはや想定しにくい中、いまの株式市場を揺さぶる景気や為替との連動性が低い、内需系グロース株などは相対的な投資妙味が高いと考える。マネーフォワード<3994>やSansan<4443>のほか、Appier Group<4180>などの高成長企業の株価は上値追い傾向にある。こうした市場の動向に振らされず高成長を続けている銘柄に注目していきたい。
(仲村幸浩)
<AK>
7日の米株式市場でダウ平均は265.67ドル高(+0.78%)と反発。米連邦準備制度理事会(FRB)高官がタカ派色と強めたことで売りが先行。その後、パウエル議長がディスインフレの初期段階にあるとの見解を改めて示すと、安心感から上昇に転換。議長の利上げ長期化を示唆する発言により一時荒い展開も見られたが、年内に利上げ終了の軌道は変わらないとの見方から、終盤にかけて上げ幅を拡大した。ナスダック総合指数は+1.90%と3日ぶり反発。日経平均は5.27円高からスタートも、為替の円高進行や指数寄与度上位銘柄の決算を受けた急落が重しとなり、すぐに下落に転じると、一時27458.53円(226.94円安)まで下げ幅を拡大。一方、27500円割れからは押し目買いなども入り、その後は下げ渋った。
個別では、大幅な赤字決算のソフトバンクG<9984>、業績予想の下方修正と減配を発表した任天堂<7974>がそれぞれ大きく下落。サプライズに乏しい決算から失望感が先行した大阪チタ<5726>や、業績予想を下方修正したシャープ<6753>も急落。太陽誘電<6976>は想定超の業績悪化を受けて大幅安。前日の決算を嫌気した売りが続いた三菱重<7011>は大幅続落となり、IHI<7013>は好決算ながらも出尽くし感が先行し下落。
ほか、横河電機<6841>、丸井G<8252>などが決算を材料に大幅に下落。シュッピン<3179>は業績・配当予想の下方修正で急落し、東証プライム市場の値下がり率トップとなっている。
一方、米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の大幅高を受けレーザーテック<6920>、アドバンテスト<6857>、ディスコ<6146>などが大きく上昇。エーザイ<4523>、武田薬<4502>、第一三共<4568>など医薬品も総じて高い。三菱UFJ<8306>、三井住友<8316>、みずほ<8411>、りそなHD<8308>の銀行は続伸。INPEX<1605>、石油資源開発<1662>、三井物産<8031>、住友商事<8053>など資源関連の一角も堅調。前期業績上振れのスミダ<6817>のほか、好決算を材料にフューチャー<4722>、グローリー<6457>、JESHD<6544>、協和キリン<4151>、ゴールドウイン<8111>などが大幅高となっている。
セクターではその他製品、鉄鋼、非鉄金属が下落率上位となった一方、医薬品、鉱業、繊維製品が上昇率上位となった。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の44%、対して値上がり銘柄は49%となっている。
前日の米株式市場はパウエル議長のインタビュー発言を無難に消化し、ハイテク株を中心に大幅高。一方、本日の東京市場では、指数寄与度の大きい任天堂やソフトバンクGの決算を嫌気した株価急落のほか、為替の円高進行が重しとなり、日経平均はマイナス圏で推移。東証株価指数(TOPIX)も小幅に下落している。ただ、米SOX指数の大幅反発や米スカイワークス・ソリューションズの好決算などを背景に、半導体関連株の上昇が指数を支えている。一方、米ハイテク株高を好感し、マザーズ先物は上昇しているものの、ナスダック指数の上昇率に比べるとやや物足りない印象がある。
前日のワシントン・エコノミッククラブでのインタビューで、パウエルFRB議長は連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見と同様にディスインフレに言及。大きくタカ派には傾かなかったことで目先の安心感を誘った。しかし、今後も強い雇用データが続けば、ターミナルレート(政策金利の最終到達点)が、最新のドットチャート(政策金利見通し)が示す中央値5.125%を上回る可能性にも言及した。また、米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、大幅に上振れた米雇用統計を受けて、利上げの影響がまだ労働市場にほとんど影響を与えていないことに驚きを示すと同時に、ターミナルレートは引き続き5.4%まで引き上げるべきとの見解を示した。
こうした背景もあり、前日の米国市場ではパウエル議長のディスインフレ発言の継続を好感し、ハイテク株を中心に大きく上昇したものの、債券市場では金利の上昇が続き、米10年債利回りは3.67%(前日比+0.03pt)と3日続伸した。フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込むターミナルレートも、6月前後をピークに5.14%と、前日の5.11%から上昇した。一方、12月時点の政策金利予想は4.80%となっており、こちらも水準はかなり切り上がってきたが、引き続き年後半に利下げを予想する点は変わっていない。
しかし、6日、イエレン米財務長官も「月間50万人増の雇用があり、失業率が約50年ぶりの低水準となっているときに、景気後退は起こらない」と語っている。実際、これまでの米企業決算を振り返ってみても、企業のセンチメントの悪化により、法人向けビジネスの落ち込みは著しいが、底堅い個人消費を背景に個人向けビジネスでは好調の維持が目立っている。米小売売上高は直近2カ月連続で前月比マイナスと減速しており、今後も個人消費の好調が続くかは注視する必要があるが、仮に需給の引き締まった労働市場の長期化を背景に、個人消費の底堅さが続くのであれば、確かに景気後退は軽度ではあっても、深刻な形ではやってこないのかもしれない。
ただ、それは今の株式市場が恐れている深刻な企業業績の悪化を通じた株価下落が回避できるとの期待を高める一方、FRBの年内の利下げの可能性は大きく低下させることになる。今の市場は企業業績のここからの悪化はさほど酷くならないのではないかという希望を持ちつつ、年末にかけてのFRBの利下げも同時に期待している。しかし、景気後退が市場に混乱をもたらす程に深刻なものにならない限り、FRBの年内の利下げは今のところ考えにくい。現状の株式市場のシナリオにはやや矛盾が生じており、この点はどこかで修正が必要なのではないかと考える。
一方、米国の主要株価指数が揃って200日移動平均線を大きく上抜け、明確なトレンド転換を見せ、その後も堅調な推移を見せている状況をみれば、弱気一辺倒でもいられない。足元で米長期金利が反発傾向にあるとはいえ、昨年ほどの金利の急上昇がもはや想定しにくい中、いまの株式市場を揺さぶる景気や為替との連動性が低い、内需系グロース株などは相対的な投資妙味が高いと考える。マネーフォワード<3994>やSansan<4443>のほか、Appier Group<4180>などの高成長企業の株価は上値追い傾向にある。こうした市場の動向に振らされず高成長を続けている銘柄に注目していきたい。
(仲村幸浩)
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