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*12:20JST 日経平均は小反落、決算発表を終えた個別株物色中心
日経平均は小反落。18.16円安の28475.31円(出来高概算4億6249万株)で前場の取引を終えている。
前週末14日の米国株式市場のダウ平均は143.22ドル安(-0.42%)と反落。予想を上回った銀行決算を好感し、寄り付き後は一時上昇。しかし、4月ミシガン大消費者信頼感指数や同指数の1年期待インフレ率が予想を上回ったため、金利先高観が再燃して下落に転じた。その後も連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事が一段の金融引き締めが必要との考えを示すと、5月連邦公開市場委員会(FOMC)の追加利上げがほぼ織り込まれ、軟調に推移。ナスダック総合指数も反落、主要株価指数がそろって下落した米株市場を受けて、4月17日の日経平均は前週末比44.52円高の28537.99円と7営業日続伸でスタート、その後は上げ幅を縮小して前週末終値付近でもみ合い展開となっている。
個別では、東エレク<8035>やレーザーテック<6920>、アドバンテ<6857>などの半導体関連株、三菱商事<8058>や丸紅<8002>などの商社株が軟調に推移。任天堂<7974>やファーストリテ<9983>、ベイカレント・コンサルティング<6532>、日本製鉄<5401>なども下落。そのほか、23年2月期好決算を発表したものの材料出尽くし感が優勢となったヨシムラフード<2884>、今期下方修正と減配を発表したジンズホールディングス<3046>が急落、アステリア<3853>、サーバーワークス<4434>、アークランズ<9842>などが東証プライム市場の値下り率上位に顔を出した。
一方、郵船<9101>や川崎汽船<9107>などの海運株、三菱UFJ<8306>や三井住友<8316>、みずほ<8411>など金融株は上昇。JR東<9020>やJR西<9021>などの鉄道株も堅調に推移、ファナック<6954>、トヨタ自<7203>、ソフトバンクG<9984>、信越化<4063>、なども上昇した。ほか、23年2月期決算を好感されたDDホールディングス<3073>、第1四半期決算の想定以上の収益改善をポジティブ視する動きが先行しているマネーフォワード<3994>が急騰、アークランドサービスホールディングス<3085>、横浜ゴム<5101>、三陽商会<8011>などが東証プライム市場の値上がり率上位に顔を出した。
セクターでは卸売業、鉱業、小売業が下落率上位となった一方、海運、ゴム製品、その他金融業が上昇率上位となった。東証プライムの値上がり銘柄は全体の38%、対して値下がり銘柄は57%となっている。
本日の日経平均は、米国市場の下落の影響は受けつつも、輸出関連の他、米大手銀行の決算評価からメガバンクなどへの資金流入が見られるなど前週からの強い流れを維持する展開となった。ただ、朝方の買い一巡後は買い進む動きは乏しく、こう着感の強い展開となっている。
新興市場でももみ合い展開が続いている。マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は下落してスタート。朝方にプラス圏に浮上するも、買いは続かず前週末終値付近でこう着感が強まっている。景気後退懸念が強まっていることが国内の個人投資家心理の重しとなっているか。また、ウォラー理事のタカ派発言に加えて米長期金利が3.5%台まで上昇しており、バリュエーション面での割高感が意識されやすい新興株を手掛けにくい可能性がある。前引け時点での東証マザーズ指数は0.05%安、東証グロース市場Core指数は0.08%高となった。
さて、米国株は2023年初めから堅調に推移し、3月初めまで下落基調が続いたものの3月中旬から持ち直して4月にかけてさらに上げ幅を広げてきた。米国の銀行の金融不安が後退し、世界金融危機が起こる兆候が見られないと判断されていることに加えて、物価上昇率が下がり続けていることが株価の押し上げ要因となっているだろう。
米著名投資家ウォーレン・バフェット氏も米国の銀行の経営破綻を受けて、銀行業界や米国の銀行預金の安全性についてパニックに陥る必要はないとの考えを示している。
一方、再度拡大していたFRBのバランスシート推移を確認すると、直近では縮小を開始している。また、国際通貨基金(IMF)は、金利上昇による利払い増加や成長の鈍化などで、世界の債務は徐々に増大しており、財政余力で危機に備えるよう求めている。ただ、銀行の資産の一部である投資有価証券は、急激な金利上昇を受けて含み損が拡大しており、2022年末時点での米銀の含み損は約6200億ドルとなっているという。
また、投資ファンドや年金基金などのノンバンクに起因する可能性についても注意する必要があるとの声も聞かれている。ノンバンクの金融資産の約2割を占めるオープンエンド型投資ファンドの流動性リスクが高いという。ファンドに資金を提供する投資家がいつでも解約できる一方、ファンドが保有する資産の流動性が低く、流動性のミスマッチが生じている場合、ファンド保有の金融資産価格が下落した際、投資家が解約に動き、ある種の取り付け騒ぎが起こることで金融市場に大きな打撃を与えやすいと想定されている。このような新たなリスクが浮上している点は認識しておいて損はないだろう。
過去の当欄では、米銀行破綻に続いて不動産市場への警戒も強まっていることも示唆した。住宅ローン金利の高騰により不動産需要が激減、中でも欧州の不動産市場が心配されている。金利上昇で不動産市場が不調となり、不動産が元になっている取引が多いクレジット市場が混乱し、負の連鎖が世界の金融市場全体に波及する想定である欧州中央銀行(ECB)の金融政策が不動産市場にストレスがかかるのは確実であるとみられていた。負の連鎖が欧州市場から始まる可能性があることも再度頭の片隅に置いておきたい。
さて、毎週月曜日の当欄を担当する筆者は、いまだに長期的には欧州不動産市場の動向や金融不安などの再燃、更なるネガティブ材料の浮上によって株価が下落するシナリオを想定して相場を見守っている。直近では株価を押し上げる材料がポジティブに捉えられているが、上述のネガティブな側面も存在していることは忘れてはいけない。後場の日経平均は、もみ合い展開が続くか。引き続き、決算発表を終えた個別材料株への物色が継続するか注目しておきたい。
(山本泰三)
<AK>
前週末14日の米国株式市場のダウ平均は143.22ドル安(-0.42%)と反落。予想を上回った銀行決算を好感し、寄り付き後は一時上昇。しかし、4月ミシガン大消費者信頼感指数や同指数の1年期待インフレ率が予想を上回ったため、金利先高観が再燃して下落に転じた。その後も連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事が一段の金融引き締めが必要との考えを示すと、5月連邦公開市場委員会(FOMC)の追加利上げがほぼ織り込まれ、軟調に推移。ナスダック総合指数も反落、主要株価指数がそろって下落した米株市場を受けて、4月17日の日経平均は前週末比44.52円高の28537.99円と7営業日続伸でスタート、その後は上げ幅を縮小して前週末終値付近でもみ合い展開となっている。
個別では、東エレク<8035>やレーザーテック<6920>、アドバンテ<6857>などの半導体関連株、三菱商事<8058>や丸紅<8002>などの商社株が軟調に推移。任天堂<7974>やファーストリテ<9983>、ベイカレント・コンサルティング<6532>、日本製鉄<5401>なども下落。そのほか、23年2月期好決算を発表したものの材料出尽くし感が優勢となったヨシムラフード<2884>、今期下方修正と減配を発表したジンズホールディングス<3046>が急落、アステリア<3853>、サーバーワークス<4434>、アークランズ<9842>などが東証プライム市場の値下り率上位に顔を出した。
一方、郵船<9101>や川崎汽船<9107>などの海運株、三菱UFJ<8306>や三井住友<8316>、みずほ<8411>など金融株は上昇。JR東<9020>やJR西<9021>などの鉄道株も堅調に推移、ファナック<6954>、トヨタ自<7203>、ソフトバンクG<9984>、信越化<4063>、なども上昇した。ほか、23年2月期決算を好感されたDDホールディングス<3073>、第1四半期決算の想定以上の収益改善をポジティブ視する動きが先行しているマネーフォワード<3994>が急騰、アークランドサービスホールディングス<3085>、横浜ゴム<5101>、三陽商会<8011>などが東証プライム市場の値上がり率上位に顔を出した。
セクターでは卸売業、鉱業、小売業が下落率上位となった一方、海運、ゴム製品、その他金融業が上昇率上位となった。東証プライムの値上がり銘柄は全体の38%、対して値下がり銘柄は57%となっている。
本日の日経平均は、米国市場の下落の影響は受けつつも、輸出関連の他、米大手銀行の決算評価からメガバンクなどへの資金流入が見られるなど前週からの強い流れを維持する展開となった。ただ、朝方の買い一巡後は買い進む動きは乏しく、こう着感の強い展開となっている。
新興市場でももみ合い展開が続いている。マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は下落してスタート。朝方にプラス圏に浮上するも、買いは続かず前週末終値付近でこう着感が強まっている。景気後退懸念が強まっていることが国内の個人投資家心理の重しとなっているか。また、ウォラー理事のタカ派発言に加えて米長期金利が3.5%台まで上昇しており、バリュエーション面での割高感が意識されやすい新興株を手掛けにくい可能性がある。前引け時点での東証マザーズ指数は0.05%安、東証グロース市場Core指数は0.08%高となった。
さて、米国株は2023年初めから堅調に推移し、3月初めまで下落基調が続いたものの3月中旬から持ち直して4月にかけてさらに上げ幅を広げてきた。米国の銀行の金融不安が後退し、世界金融危機が起こる兆候が見られないと判断されていることに加えて、物価上昇率が下がり続けていることが株価の押し上げ要因となっているだろう。
米著名投資家ウォーレン・バフェット氏も米国の銀行の経営破綻を受けて、銀行業界や米国の銀行預金の安全性についてパニックに陥る必要はないとの考えを示している。
一方、再度拡大していたFRBのバランスシート推移を確認すると、直近では縮小を開始している。また、国際通貨基金(IMF)は、金利上昇による利払い増加や成長の鈍化などで、世界の債務は徐々に増大しており、財政余力で危機に備えるよう求めている。ただ、銀行の資産の一部である投資有価証券は、急激な金利上昇を受けて含み損が拡大しており、2022年末時点での米銀の含み損は約6200億ドルとなっているという。
また、投資ファンドや年金基金などのノンバンクに起因する可能性についても注意する必要があるとの声も聞かれている。ノンバンクの金融資産の約2割を占めるオープンエンド型投資ファンドの流動性リスクが高いという。ファンドに資金を提供する投資家がいつでも解約できる一方、ファンドが保有する資産の流動性が低く、流動性のミスマッチが生じている場合、ファンド保有の金融資産価格が下落した際、投資家が解約に動き、ある種の取り付け騒ぎが起こることで金融市場に大きな打撃を与えやすいと想定されている。このような新たなリスクが浮上している点は認識しておいて損はないだろう。
過去の当欄では、米銀行破綻に続いて不動産市場への警戒も強まっていることも示唆した。住宅ローン金利の高騰により不動産需要が激減、中でも欧州の不動産市場が心配されている。金利上昇で不動産市場が不調となり、不動産が元になっている取引が多いクレジット市場が混乱し、負の連鎖が世界の金融市場全体に波及する想定である欧州中央銀行(ECB)の金融政策が不動産市場にストレスがかかるのは確実であるとみられていた。負の連鎖が欧州市場から始まる可能性があることも再度頭の片隅に置いておきたい。
さて、毎週月曜日の当欄を担当する筆者は、いまだに長期的には欧州不動産市場の動向や金融不安などの再燃、更なるネガティブ材料の浮上によって株価が下落するシナリオを想定して相場を見守っている。直近では株価を押し上げる材料がポジティブに捉えられているが、上述のネガティブな側面も存在していることは忘れてはいけない。後場の日経平均は、もみ合い展開が続くか。引き続き、決算発表を終えた個別材料株への物色が継続するか注目しておきたい。
(山本泰三)
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