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日経平均は小幅続伸。44.97円高の27391.85円(出来高概算6億2714万株)で前場の取引を終えている。
1日の米株式市場でダウ平均は6.92ドル高(+0.02%)と小幅続伸。米連邦公開市場委員会(FOMC)を直前に控える中、米1月ISM製造業景気指数の下振れに伴う景気後退懸念で売りが先行。一方、FOMCで予想通り0.25ポイントの利上げが決定された後、パウエル議長が会見でディスインフレの兆候に言及するなどタカ派色を弱めたため、金利ピークアウト期待が台頭。米金利が大幅に低下する中、ドル安を好感した買い戻しも入り、ダウ平均はプラス圏で終了。ナスダック総合指数は+2.00%と大幅続伸。米株高を引き継いで日経平均は106.79円高からスタート。ただ、為替の円高が重しとなる中、27500円水準での戻り待ちの売りも根強く、寄り付き後は心理的な節目を手前に一進一退が続いた。
個別では、米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が5%超と急伸した中、東エレク<8035>、アドバンテスト<6857>、スクリン<7735>、ディスコ<6146>などが大幅高。
イビデン<4062>、新光電工<6967>、三井ハイテック<6966>、ローム<6963>、太陽誘電<
6976>などハイテクも全般堅調。マネーフォワード<3994>、Sansan<4443>、ラクス<3923>などグロース株も総じて高い。中部鋼鈑<5461>、大塚商会<4768>、正興電<6653>、サックスバーHD<9990>などは好決算を受けて急伸。日立<6501>、キーエンス<6861>も決算が評価され、買われている。
一方、金利低下でハイテク・グロース株が買われる中、景気敏感株が売られており、三菱UFJ<8306>、三井住友<8316>、東京海上<8766>、第一生命HD<8750>などの銀行・保険が下落。JFE<5411>、住友鉱<5713>、三井金<5706>、三菱ケミG<4188>、INPEX<1605>、コマツ<6301>、住友商事<8053>など資源関連も総じて軟調。為替の円高を嫌気し、日産自<7201>、マツダ<7261>、SUBARU<7270>など自動車も軒並み下落。業績予想を下方修正した住友化学<4005>、日本精工<6471>のほか、減益決算が嫌気されたBIPROGY<8056>などは大きく下落。イー・ガーディアン<6050>は低進捗決算を受けて急落となった。
セクターでは電気機器、海運、電気・ガスが上昇率上位となった一方、保険、繊維製品、空運が下落率上位となった。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の35%、対して値下がり銘柄は60%となっている。
前日のFOMCの結果自体は予想通りでサプライズはない。一方、注目されたのはパウエル議長の会見とそれを受けた市場の反応だ。パウエル議長はインフレ率2%の目標を達成するために、今後も継続的な利上げが必要とし、あと複数回の利上げを行うことが適切であるとの認識を示した。最新のドット・チャートが示す政策金利の中央値は5.125%であるため、残る3月と5月のFOMCで0.25ptの利上げが合計2回行われるという計算になる。
しかし、金利先物市場が織り込む政策金利の最終到達点(ターミナルレート)は、以前から米連邦準備制度理事会(FRB)が主張する5.1%には遠く及ばず、4.9%程度にとどまっていた。市場は早ければ3月で利上げが最後になるということを期待していたため、今回のパウエル議長の会見は改めてそうした期待は行き過ぎだということを意味したと考えられる。また、市場が期待していた利上げ停止の時期についての言及はほとんどなく、この点でも市場は肩透かしをくらった格好か。
興味深いのは、それにもかかわらず、金利先物市場が織り込むターミナルレートが、FOMCの後も上昇するどころか、むしろ小幅ながらさらに低下したということ、また、パウエル議長が会見で、経済動向が予想通りであれば、年内の利下げはないと改めて主張したにもかかわらず、年内に2回の利下げがあると考える市場の予想にも全く変化がなかった。この点については、パウエル議長が会見で、財・モノに関してディスインフレが起こり始めていると言及したことや、年始からの金利低下・株価上昇をけん制する発言が出てこなかったことなどが、かえって市場の利下げ期待を高めてしまったと考えられる。
株式市場もこの点を都合良く解釈したのか、FOMCの後、金利が大幅に低下する中、ハイテク株を中心に株価は上昇で反応した。結局、利上げ停止の時期や年内の利下げがあるかどうかという点について、FRBと市場との間に存在する大きなギャップは解消されないままに終わってしまった。
昨日は重要な経済指標も発表された。米供給管理協会(ISM)による1月製造業景気指数は47.4と市場予想(48.0)を下回り、5カ月連続で悪化、景況感の拡大・縮小の境界値である50を3カ月連続で下回った。項目別では新規受注が42.5と、前月(45.1)から一段と低下し、景気減速の加速が示唆される内容となった。
一方、米労働省が発表した雇用動態調査(JOLTS)における昨年12月の求人件数は1101万件と予想に反して前月比で増加(前月修正値は1044万件)、市場予想(1030万件)も上回った。また、失業者1人に対する求人件数は1.9件と過去最高に近い水準にまで上昇した。米1月ADP雇用統計も、雇用者数の伸びは市場予想を下回ったものの、雇用者や転職者の賃金は高い伸びが続き、総じて労働市場の逼迫が長期化していることが示された。
景気の減速が加速しつつある中、サービス分野のインフレにつながる労働市場の逼迫は長期化しており、FRBの金融政策の舵取りは一段と難しくなったといえる。労働市場の逼迫に対する懸念がくすぶる中、今週末の米雇用統計に対する注目度は一段と高まっており、平均時給の伸びがどれだけ鈍化するか、ここを見極めるまでは動きづらいだろう。
さらに、今晩は米国でアップル、アルファベット、アマゾン・ドットコムの決算が予定されている。米IT大手「GAFAM」の決算では、すでにマイクロソフトが発表済みだが、増収率の鈍化と今後の低調な見通しを受けて、直後の株価反応はあまり良くなかった。その後、同社株価が堅調に推移しているのは、地合いに助けられているところが大きいと思われるが、今晩のGAFAMの決算次第では、投資家心理が大きく悪化する可能性は否定できないため、注意したい。
米国では、S&P500種株価指数のほか、SOX指数、中小型株のラッセル2000などの主要株価指数の週足チャートをみると、過去の高値同士を結んだレジスタンスラインを上抜けており、トレンド転換の様相が強まっている。ただ、目立った好材料が確認されていない中での年始からの大幅上昇については懐疑的な声も多い。たしかに「強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育つ」との格言もある。しかし、モルガン・スタンレーやJPモルガンなどの大手金融機関の著名ストラテジストは足元の株価上昇に乗るべきでないと注意を促している。また、2008年の金融危機前に住宅市場の崩壊に賭けた「世紀の空売り」で有名になった投資家マイケル・バーリ氏は、1月31日に「Sell.(売れ)」と一言だけツイートしている。こうした市場関係者の忠告は傾聴に値するだろう。
(仲村幸浩)
<AK>
1日の米株式市場でダウ平均は6.92ドル高(+0.02%)と小幅続伸。米連邦公開市場委員会(FOMC)を直前に控える中、米1月ISM製造業景気指数の下振れに伴う景気後退懸念で売りが先行。一方、FOMCで予想通り0.25ポイントの利上げが決定された後、パウエル議長が会見でディスインフレの兆候に言及するなどタカ派色を弱めたため、金利ピークアウト期待が台頭。米金利が大幅に低下する中、ドル安を好感した買い戻しも入り、ダウ平均はプラス圏で終了。ナスダック総合指数は+2.00%と大幅続伸。米株高を引き継いで日経平均は106.79円高からスタート。ただ、為替の円高が重しとなる中、27500円水準での戻り待ちの売りも根強く、寄り付き後は心理的な節目を手前に一進一退が続いた。
個別では、米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が5%超と急伸した中、東エレク<8035>、アドバンテスト<6857>、スクリン<7735>、ディスコ<6146>などが大幅高。
イビデン<4062>、新光電工<6967>、三井ハイテック<6966>、ローム<6963>、太陽誘電<
6976>などハイテクも全般堅調。マネーフォワード<3994>、Sansan<4443>、ラクス<3923>などグロース株も総じて高い。中部鋼鈑<5461>、大塚商会<4768>、正興電<6653>、サックスバーHD<9990>などは好決算を受けて急伸。日立<6501>、キーエンス<6861>も決算が評価され、買われている。
一方、金利低下でハイテク・グロース株が買われる中、景気敏感株が売られており、三菱UFJ<8306>、三井住友<8316>、東京海上<8766>、第一生命HD<8750>などの銀行・保険が下落。JFE<5411>、住友鉱<5713>、三井金<5706>、三菱ケミG<4188>、INPEX<1605>、コマツ<6301>、住友商事<8053>など資源関連も総じて軟調。為替の円高を嫌気し、日産自<7201>、マツダ<7261>、SUBARU<7270>など自動車も軒並み下落。業績予想を下方修正した住友化学<4005>、日本精工<6471>のほか、減益決算が嫌気されたBIPROGY<8056>などは大きく下落。イー・ガーディアン<6050>は低進捗決算を受けて急落となった。
セクターでは電気機器、海運、電気・ガスが上昇率上位となった一方、保険、繊維製品、空運が下落率上位となった。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の35%、対して値下がり銘柄は60%となっている。
前日のFOMCの結果自体は予想通りでサプライズはない。一方、注目されたのはパウエル議長の会見とそれを受けた市場の反応だ。パウエル議長はインフレ率2%の目標を達成するために、今後も継続的な利上げが必要とし、あと複数回の利上げを行うことが適切であるとの認識を示した。最新のドット・チャートが示す政策金利の中央値は5.125%であるため、残る3月と5月のFOMCで0.25ptの利上げが合計2回行われるという計算になる。
しかし、金利先物市場が織り込む政策金利の最終到達点(ターミナルレート)は、以前から米連邦準備制度理事会(FRB)が主張する5.1%には遠く及ばず、4.9%程度にとどまっていた。市場は早ければ3月で利上げが最後になるということを期待していたため、今回のパウエル議長の会見は改めてそうした期待は行き過ぎだということを意味したと考えられる。また、市場が期待していた利上げ停止の時期についての言及はほとんどなく、この点でも市場は肩透かしをくらった格好か。
興味深いのは、それにもかかわらず、金利先物市場が織り込むターミナルレートが、FOMCの後も上昇するどころか、むしろ小幅ながらさらに低下したということ、また、パウエル議長が会見で、経済動向が予想通りであれば、年内の利下げはないと改めて主張したにもかかわらず、年内に2回の利下げがあると考える市場の予想にも全く変化がなかった。この点については、パウエル議長が会見で、財・モノに関してディスインフレが起こり始めていると言及したことや、年始からの金利低下・株価上昇をけん制する発言が出てこなかったことなどが、かえって市場の利下げ期待を高めてしまったと考えられる。
株式市場もこの点を都合良く解釈したのか、FOMCの後、金利が大幅に低下する中、ハイテク株を中心に株価は上昇で反応した。結局、利上げ停止の時期や年内の利下げがあるかどうかという点について、FRBと市場との間に存在する大きなギャップは解消されないままに終わってしまった。
昨日は重要な経済指標も発表された。米供給管理協会(ISM)による1月製造業景気指数は47.4と市場予想(48.0)を下回り、5カ月連続で悪化、景況感の拡大・縮小の境界値である50を3カ月連続で下回った。項目別では新規受注が42.5と、前月(45.1)から一段と低下し、景気減速の加速が示唆される内容となった。
一方、米労働省が発表した雇用動態調査(JOLTS)における昨年12月の求人件数は1101万件と予想に反して前月比で増加(前月修正値は1044万件)、市場予想(1030万件)も上回った。また、失業者1人に対する求人件数は1.9件と過去最高に近い水準にまで上昇した。米1月ADP雇用統計も、雇用者数の伸びは市場予想を下回ったものの、雇用者や転職者の賃金は高い伸びが続き、総じて労働市場の逼迫が長期化していることが示された。
景気の減速が加速しつつある中、サービス分野のインフレにつながる労働市場の逼迫は長期化しており、FRBの金融政策の舵取りは一段と難しくなったといえる。労働市場の逼迫に対する懸念がくすぶる中、今週末の米雇用統計に対する注目度は一段と高まっており、平均時給の伸びがどれだけ鈍化するか、ここを見極めるまでは動きづらいだろう。
さらに、今晩は米国でアップル、アルファベット、アマゾン・ドットコムの決算が予定されている。米IT大手「GAFAM」の決算では、すでにマイクロソフトが発表済みだが、増収率の鈍化と今後の低調な見通しを受けて、直後の株価反応はあまり良くなかった。その後、同社株価が堅調に推移しているのは、地合いに助けられているところが大きいと思われるが、今晩のGAFAMの決算次第では、投資家心理が大きく悪化する可能性は否定できないため、注意したい。
米国では、S&P500種株価指数のほか、SOX指数、中小型株のラッセル2000などの主要株価指数の週足チャートをみると、過去の高値同士を結んだレジスタンスラインを上抜けており、トレンド転換の様相が強まっている。ただ、目立った好材料が確認されていない中での年始からの大幅上昇については懐疑的な声も多い。たしかに「強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育つ」との格言もある。しかし、モルガン・スタンレーやJPモルガンなどの大手金融機関の著名ストラテジストは足元の株価上昇に乗るべきでないと注意を促している。また、2008年の金融危機前に住宅市場の崩壊に賭けた「世紀の空売り」で有名になった投資家マイケル・バーリ氏は、1月31日に「Sell.(売れ)」と一言だけツイートしている。こうした市場関係者の忠告は傾聴に値するだろう。
(仲村幸浩)
<AK>
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