803円
オンワードホールディングスのニュース
日経平均は大幅に3日続落。644.82円安の27473.21円(出来高概算6億4000万株)で前場の取引を終えている。
8日の米株式市場でNYダウは反落し、259ドル安となった。東京都で4回目の緊急事態宣言が発出され、五輪も1都3県の会場全てで無観客とすることが決まるなど、世界的な新型コロナウイルス変異株の流行で世界経済の回復が妨げられるとの懸念が強まった。週間の新規失業保険申請件数が予想外に増加したこともこうした見方を強めた。
長期金利が低下したにもかかわらず、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数も-0.7%と5日ぶりに反落。本日の東京市場でもこうした流れを引き継ぎ、リスク回避目的の売りが先行して日経平均は378円安からスタートし、取引時間中としては6月21日以来およそ2週間ぶりに28000円を割り込んだ。その後も軟調な展開が続き、前場中ごろを過ぎると27419.40円(698.63円安)まで下落する場面があった。
なお、オプション7月物の特別清算指数(SQ)は概算で27726.72円となっている。
個別では、売買代金トップのソフトバンクG<9984>が3%近く下落しているほか、郵船<9101>が4%超の下落。世界的な景気鈍化懸念が広がっているとみられ、日本電産<6594>やファナック<6954>も下げが目立っている。任天堂<7974>、トヨタ自<7203>、ファーストリテ<9983>といったその他売買代金上位も全般軟調。決算が嫌気された乃村工芸<9716>やコジマ<7513>は急落し、東証1部下落率上位に顔を出している。一方、レーザーテック<6920>やエーザイ<4523>が小高い。エーザイは共同開発のアルツハイマー病治療薬を巡って米バイオジェン株が上昇し、買い材料視されているようだ。第1四半期決算が黒字転換したオンワードHD<8016>は大幅高。同様に決算が好感されたUSENNEX<9418>、SHIFT<3697>、竹内製作<6432>などが東証1部上昇率上位に顔を出している。
セクターでは、全33業種がマイナスとなり、海運業、機械、ゴム製品、非鉄金属、サービス業などが下落率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の86%、対して値上がり銘柄は11%となっている。
既に前日までの2日間でおよそ525円下落していた日経平均だが、本日はそれを大きく上回る下落幅で前場を折り返した。筆者も含め、上場投資信託(ETF)の分配金捻出に絡んだ売り一巡後の短期的な反発に期待していた向きにとっては、その前に28000円割れという手痛い洗礼を受けることになってしまった。日足チャートを見ると27000円台半ばに位置する200日移動平均線、あるいは5月安値27385.03円あたりでの底堅さ発揮に期待したいところだが、一方で5月安値と6月安値27795.86円を結んだラインを割り込み、三角もち合いを下放れるような格好となったのは強気派にとって嫌な流れかもしれない。
アジア市場では中国・上海総合指数が軟調で、韓国総合株価指数(KOSPI)はやや下げがきつい。前日大幅安となった香港ハンセン指数は下げ渋っているが、一時マイナスに転じるなど不安定な動きとなっている。
米経済指標の鈍化や日本のワクチン普及遅れ、新型コロナ感染状況がクローズアップされがちで、「健全な調整」「いずれ解消される」とみる強気派が多かったが、ここにきて米長期金利の低下が止まらず、株安が各国市場にも広がっていることから、世界経済の減速懸念が否応なく意識されているようだ。個別株でも郵船や日本電産、ファナックの下げの大きさにこうした懸念が顕著に表れている。
まず米長期金利だが、従前より景気回復による債券価格の下落(利回りの上昇)を見込んだヘッジファンドのショートポジション(売り持ち)がかなりたまっているとの指摘があった。かねて当欄で指摘しているとおり、10年債利回りの推移などを見るとこうした「リフレトレード」は3月ごろがピークだったと考えられるが、足元の利回り低下を見る限りまだまだショートポジションは多く残っているのだろう。一方、利回り水準の低下とともに押し目買いも入りそうなところだが、既に夏季休暇に入っている市場参加者が多く、手控えムードが漂っているもよう。目先は長期金利の本格的な反転上昇は期待しにくいかもしれない。
ショートカバー(買い戻し)の引き金を引いたのは7日に開示された6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録だったとみられている。巷では金融緩和の縮小を急がないというハト派的内容だったと解説されているが、むしろ住宅価格の上昇圧力の高まりで、複数の委員から「不動産担保証券(MBS)の買い入れ減額を先行するのが望ましい」との発言があったことの方が市場参加者には注目されているようだ。
また中国でも、当局が否定しているとはいえ、不動産バブル抑制のために金融政策は引き締め方向にあるとの懸念が根強いようだ。IPO(新規株式公開)したばかりの中国配車アプリ最大手、滴滴出行(ディディ)に対する米中政府からの風当たりの強さ、それに同社株の下落を見るにつけ、米中対立の悪影響への懸念も拭えない。ソフトバンクGは5月以降、調整基調が続いている。
そもそも日経平均29000~30000円円水準でアップサイドへの期待と顕在化しつつあるダウンサイドリスクのどちらが大きいか、冷静に判断すれば十分に警戒できたと思うが、そうした解説は乏しかった印象を受ける。
さて、本日もETF分配金に絡んだ売り観測があり、海外市場を睨みつつの神経質な相場展開が続きそうだ。また、引け後には安川電<6506>などの決算発表が予定されているため、注目しておきたい。
(小林大純)
<AK>
8日の米株式市場でNYダウは反落し、259ドル安となった。東京都で4回目の緊急事態宣言が発出され、五輪も1都3県の会場全てで無観客とすることが決まるなど、世界的な新型コロナウイルス変異株の流行で世界経済の回復が妨げられるとの懸念が強まった。週間の新規失業保険申請件数が予想外に増加したこともこうした見方を強めた。
長期金利が低下したにもかかわらず、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数も-0.7%と5日ぶりに反落。本日の東京市場でもこうした流れを引き継ぎ、リスク回避目的の売りが先行して日経平均は378円安からスタートし、取引時間中としては6月21日以来およそ2週間ぶりに28000円を割り込んだ。その後も軟調な展開が続き、前場中ごろを過ぎると27419.40円(698.63円安)まで下落する場面があった。
なお、オプション7月物の特別清算指数(SQ)は概算で27726.72円となっている。
個別では、売買代金トップのソフトバンクG<9984>が3%近く下落しているほか、郵船<9101>が4%超の下落。世界的な景気鈍化懸念が広がっているとみられ、日本電産<6594>やファナック<6954>も下げが目立っている。任天堂<7974>、トヨタ自<7203>、ファーストリテ<9983>といったその他売買代金上位も全般軟調。決算が嫌気された乃村工芸<9716>やコジマ<7513>は急落し、東証1部下落率上位に顔を出している。一方、レーザーテック<6920>やエーザイ<4523>が小高い。エーザイは共同開発のアルツハイマー病治療薬を巡って米バイオジェン株が上昇し、買い材料視されているようだ。第1四半期決算が黒字転換したオンワードHD<8016>は大幅高。同様に決算が好感されたUSENNEX<9418>、SHIFT<3697>、竹内製作<6432>などが東証1部上昇率上位に顔を出している。
セクターでは、全33業種がマイナスとなり、海運業、機械、ゴム製品、非鉄金属、サービス業などが下落率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の86%、対して値上がり銘柄は11%となっている。
既に前日までの2日間でおよそ525円下落していた日経平均だが、本日はそれを大きく上回る下落幅で前場を折り返した。筆者も含め、上場投資信託(ETF)の分配金捻出に絡んだ売り一巡後の短期的な反発に期待していた向きにとっては、その前に28000円割れという手痛い洗礼を受けることになってしまった。日足チャートを見ると27000円台半ばに位置する200日移動平均線、あるいは5月安値27385.03円あたりでの底堅さ発揮に期待したいところだが、一方で5月安値と6月安値27795.86円を結んだラインを割り込み、三角もち合いを下放れるような格好となったのは強気派にとって嫌な流れかもしれない。
アジア市場では中国・上海総合指数が軟調で、韓国総合株価指数(KOSPI)はやや下げがきつい。前日大幅安となった香港ハンセン指数は下げ渋っているが、一時マイナスに転じるなど不安定な動きとなっている。
米経済指標の鈍化や日本のワクチン普及遅れ、新型コロナ感染状況がクローズアップされがちで、「健全な調整」「いずれ解消される」とみる強気派が多かったが、ここにきて米長期金利の低下が止まらず、株安が各国市場にも広がっていることから、世界経済の減速懸念が否応なく意識されているようだ。個別株でも郵船や日本電産、ファナックの下げの大きさにこうした懸念が顕著に表れている。
まず米長期金利だが、従前より景気回復による債券価格の下落(利回りの上昇)を見込んだヘッジファンドのショートポジション(売り持ち)がかなりたまっているとの指摘があった。かねて当欄で指摘しているとおり、10年債利回りの推移などを見るとこうした「リフレトレード」は3月ごろがピークだったと考えられるが、足元の利回り低下を見る限りまだまだショートポジションは多く残っているのだろう。一方、利回り水準の低下とともに押し目買いも入りそうなところだが、既に夏季休暇に入っている市場参加者が多く、手控えムードが漂っているもよう。目先は長期金利の本格的な反転上昇は期待しにくいかもしれない。
ショートカバー(買い戻し)の引き金を引いたのは7日に開示された6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録だったとみられている。巷では金融緩和の縮小を急がないというハト派的内容だったと解説されているが、むしろ住宅価格の上昇圧力の高まりで、複数の委員から「不動産担保証券(MBS)の買い入れ減額を先行するのが望ましい」との発言があったことの方が市場参加者には注目されているようだ。
また中国でも、当局が否定しているとはいえ、不動産バブル抑制のために金融政策は引き締め方向にあるとの懸念が根強いようだ。IPO(新規株式公開)したばかりの中国配車アプリ最大手、滴滴出行(ディディ)に対する米中政府からの風当たりの強さ、それに同社株の下落を見るにつけ、米中対立の悪影響への懸念も拭えない。ソフトバンクGは5月以降、調整基調が続いている。
そもそも日経平均29000~30000円円水準でアップサイドへの期待と顕在化しつつあるダウンサイドリスクのどちらが大きいか、冷静に判断すれば十分に警戒できたと思うが、そうした解説は乏しかった印象を受ける。
さて、本日もETF分配金に絡んだ売り観測があり、海外市場を睨みつつの神経質な相場展開が続きそうだ。また、引け後には安川電<6506>などの決算発表が予定されているため、注目しておきたい。
(小林大純)
<AK>
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