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ロームのニュース
■米利上げ減速が支援も、米IT大手決算が重石
今週の日経平均は週間で214.62円高(+0.80%)と3週ぶりに反発。一時26週移動平均線を上回ったものの、終値では6週連続で同線下で終了。ローソク足は4週ぶりに陰線を引いた。
前の週末にウォールストリート・ジャーナル紙(WJ)が、連邦準備制度理事会(FRB)が11月連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75ptの利上げを行った後、利上げペース減速を協議する見込みと報じた。今週は日米ともに決算ウィークだったが、12月FOMCでの利上げ幅縮小の思惑が週を通して相場を下支えした。
日経平均は週明け24日から26日まで3日続伸。3日間の上げ幅は500円を超えた。FRBの利上げペース減速期待に加え、英国でスナク元財務相が次期首相に就任する見通しとなり、同国の財政不安が後退したことが支援要因になった。また、週半ばには米10月消費者信頼感指数の悪化を背景に高止まりしていた米10年債利回りが大きく低下したことも安心感を誘った。
一方、米IT大手の決算が週を通して全体相場の重石となった。GAFAM決算は週後半に発表されたアップルが相対的にましな決算となったが、それ以外は総じて市場の期待値に未達で米ナスダック総合指数の大幅下落に繋がり、東京市場の重石としても働いた。特に先行投資やコストの増加が嫌気されたメタ・プラットフォームズやアマゾン・ドットコムの株価下落が相対的に大きく、投資家心理の悪化に繋がった。ただ、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に持ち高を傾ける向きは少なく、下値も限定的だった。
■FOMC後には短期的な買い戻しの可能性
来週の東京株式市場は強含みか。11月1−2日にFOMCが開催される。上述のWJ紙の報道に加えて、その後のサンフランシスコ連銀のデーリー総裁やセントルイス連銀のブラード総裁の発言の変化もあり、今会合では次回の12月会合での利上げ幅の縮小に向けた議論が行われる見通しだ。
一連の流れを受けて、フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込むターミナルレート(政策金利の最終到達点)は一時2023年の3−5月時点で5.0%を超える水準にまで及んだが、その後、10月28日時点では同時期で4.7%強にまで低下した(米9月個人消費支出(PCE)コアデフレータや米7−9月期雇用コスト指数の結果を受けて29日には4.9%にまで再上昇している)。このように、ある程度は織り込み済みではあるが、FRBが利上げ減速の明確なシグナルを送れば、市場は素直に好感するだろう。その場合、特に指数のショート(売り持ち高)が積み上がったままの米株式市場を中心に買い戻しが入りそうだ。東京市場でも、一時大きく積み上がっていた裁定買い残は大方解消されており、年始からの海外投資家の先物ポジションがややネットショートに傾いていることを踏まえると、上方向に振れやすいと推察する。
一方で、上昇したとしても短期的なものに終わる可能性には留意しておきたい。理由は主に二つある。一つ目はスケジュール。来週末は米10月雇用統計の発表を控える。FRBが利上げ減速への地ならしを始めたとはいえ、依然としてデータ重視の姿勢は崩しておらず、今後も予想を上回る強いデータが多く出ると再び金融引き締め懸念が強まりかねない。特に、労働市場の逼迫に起因した賃金インフレが一番根強くFRBを困らせているため、雇用統計の注目度は非常に高い。そのため、指標を確認する前に大きく買い上がる向きは少ないだろう。翌週の8日には米中間選挙も控えているため、イベント前に持ち高を傾けることは考えづらい。
二つ目は企業業績。米IT大手のGAFAM決算はほぼ全敗だった。高いブランド力と包括的なサービス提供力を武器に相対的に好業績が期待された大手企業でも決算が冴えなかったことで、景気後退懸念は一段と強まっている。クレジットカード会社のアメリカン・エキスプレスや決済サービスのビザなどは好決算で、米国での力強い個人消費が確認されたが、この高い収益水準がいつまで続くかは不透明だ。GAFAM決算なども受けて、今後は米国で企業の10−12月期および来年度以降の業績予想の下方修正が進む可能性がある。株価の決定要因の一つである一株当たり利益(EPS)の低下が想定される中、実需筋の買いは期待しにくい。
短期的にはFRBの金融政策の「ピボット(転換)」を受けた米長期金利の低下と株価収益率(PER)の上昇が見込めそうだが、こちらの持続性は雇用統計、そして翌週に控える米10月消費者物価指数(CPI)次第となろう。引き続き高い変動率(ボラティリティー)に注意を払いたい。
国内では決算発表が佳境を迎える。31日の村田製作所<6981>、コマツ<6301>のほか、11月1日のトヨタ自動車<7203>、ソニーグループ<6758>、三井物産<8031>、日本製鉄<5401>、ローム<6963>、2日のエムスリー<2413>などが注目されよう。トヨタ自動車の決算では、自動車生産台数の下振れなどはすでに10月下旬に伝わっているため、部材不足の解消と生産正常化の時期の明確化やコスト増加の変化幅などが焦点となってこよう。三井物産は業績予想の上方修正や自社株買いなどの株主還元の有無とそれらの規模が注目される。
■米ISM景気指数、中国PMI、米雇用統計など
来週は31日に9月鉱工業生産、9月住宅着工統計、中国10月製造業/非製造業購買担当者景気指数(PMI)、11月1日に10月新車販売台数、中国10月財新製造業PMI、米10月ISM製造業景気指数、米FOMC、2日に日銀金融政策決定会合議事要旨(9月21−22日開催分)、米パウエル議長記者会見、3日に英国金融政策委員会、米10月ISM非製造業景気指数、4日に米10月雇用統計などが予定されている。
<FA>
今週の日経平均は週間で214.62円高(+0.80%)と3週ぶりに反発。一時26週移動平均線を上回ったものの、終値では6週連続で同線下で終了。ローソク足は4週ぶりに陰線を引いた。
前の週末にウォールストリート・ジャーナル紙(WJ)が、連邦準備制度理事会(FRB)が11月連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75ptの利上げを行った後、利上げペース減速を協議する見込みと報じた。今週は日米ともに決算ウィークだったが、12月FOMCでの利上げ幅縮小の思惑が週を通して相場を下支えした。
日経平均は週明け24日から26日まで3日続伸。3日間の上げ幅は500円を超えた。FRBの利上げペース減速期待に加え、英国でスナク元財務相が次期首相に就任する見通しとなり、同国の財政不安が後退したことが支援要因になった。また、週半ばには米10月消費者信頼感指数の悪化を背景に高止まりしていた米10年債利回りが大きく低下したことも安心感を誘った。
一方、米IT大手の決算が週を通して全体相場の重石となった。GAFAM決算は週後半に発表されたアップルが相対的にましな決算となったが、それ以外は総じて市場の期待値に未達で米ナスダック総合指数の大幅下落に繋がり、東京市場の重石としても働いた。特に先行投資やコストの増加が嫌気されたメタ・プラットフォームズやアマゾン・ドットコムの株価下落が相対的に大きく、投資家心理の悪化に繋がった。ただ、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に持ち高を傾ける向きは少なく、下値も限定的だった。
■FOMC後には短期的な買い戻しの可能性
来週の東京株式市場は強含みか。11月1−2日にFOMCが開催される。上述のWJ紙の報道に加えて、その後のサンフランシスコ連銀のデーリー総裁やセントルイス連銀のブラード総裁の発言の変化もあり、今会合では次回の12月会合での利上げ幅の縮小に向けた議論が行われる見通しだ。
一連の流れを受けて、フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込むターミナルレート(政策金利の最終到達点)は一時2023年の3−5月時点で5.0%を超える水準にまで及んだが、その後、10月28日時点では同時期で4.7%強にまで低下した(米9月個人消費支出(PCE)コアデフレータや米7−9月期雇用コスト指数の結果を受けて29日には4.9%にまで再上昇している)。このように、ある程度は織り込み済みではあるが、FRBが利上げ減速の明確なシグナルを送れば、市場は素直に好感するだろう。その場合、特に指数のショート(売り持ち高)が積み上がったままの米株式市場を中心に買い戻しが入りそうだ。東京市場でも、一時大きく積み上がっていた裁定買い残は大方解消されており、年始からの海外投資家の先物ポジションがややネットショートに傾いていることを踏まえると、上方向に振れやすいと推察する。
一方で、上昇したとしても短期的なものに終わる可能性には留意しておきたい。理由は主に二つある。一つ目はスケジュール。来週末は米10月雇用統計の発表を控える。FRBが利上げ減速への地ならしを始めたとはいえ、依然としてデータ重視の姿勢は崩しておらず、今後も予想を上回る強いデータが多く出ると再び金融引き締め懸念が強まりかねない。特に、労働市場の逼迫に起因した賃金インフレが一番根強くFRBを困らせているため、雇用統計の注目度は非常に高い。そのため、指標を確認する前に大きく買い上がる向きは少ないだろう。翌週の8日には米中間選挙も控えているため、イベント前に持ち高を傾けることは考えづらい。
二つ目は企業業績。米IT大手のGAFAM決算はほぼ全敗だった。高いブランド力と包括的なサービス提供力を武器に相対的に好業績が期待された大手企業でも決算が冴えなかったことで、景気後退懸念は一段と強まっている。クレジットカード会社のアメリカン・エキスプレスや決済サービスのビザなどは好決算で、米国での力強い個人消費が確認されたが、この高い収益水準がいつまで続くかは不透明だ。GAFAM決算なども受けて、今後は米国で企業の10−12月期および来年度以降の業績予想の下方修正が進む可能性がある。株価の決定要因の一つである一株当たり利益(EPS)の低下が想定される中、実需筋の買いは期待しにくい。
短期的にはFRBの金融政策の「ピボット(転換)」を受けた米長期金利の低下と株価収益率(PER)の上昇が見込めそうだが、こちらの持続性は雇用統計、そして翌週に控える米10月消費者物価指数(CPI)次第となろう。引き続き高い変動率(ボラティリティー)に注意を払いたい。
国内では決算発表が佳境を迎える。31日の村田製作所<6981>、コマツ<6301>のほか、11月1日のトヨタ自動車<7203>、ソニーグループ<6758>、三井物産<8031>、日本製鉄<5401>、ローム<6963>、2日のエムスリー<2413>などが注目されよう。トヨタ自動車の決算では、自動車生産台数の下振れなどはすでに10月下旬に伝わっているため、部材不足の解消と生産正常化の時期の明確化やコスト増加の変化幅などが焦点となってこよう。三井物産は業績予想の上方修正や自社株買いなどの株主還元の有無とそれらの規模が注目される。
■米ISM景気指数、中国PMI、米雇用統計など
来週は31日に9月鉱工業生産、9月住宅着工統計、中国10月製造業/非製造業購買担当者景気指数(PMI)、11月1日に10月新車販売台数、中国10月財新製造業PMI、米10月ISM製造業景気指数、米FOMC、2日に日銀金融政策決定会合議事要旨(9月21−22日開催分)、米パウエル議長記者会見、3日に英国金融政策委員会、米10月ISM非製造業景気指数、4日に米10月雇用統計などが予定されている。
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