1,563円
石油資源開発のニュース
日経平均は5日続落。93.65円安の28359.10円(出来高概算5億2709万株)で前場の取引を終えている。
23日の米株式市場でダウ平均は154.02ドル安(-0.46%)と3日続落。8月製造業・サービス業PMIが予想以上に悪化したことで景気後退懸念から売り優勢でスタート。7月新築住宅販売件数も2016年来で最低となる低調な結果に終わると更なる売り圧力となった。金利が横ばいの中、ジャクソンホール会合を控えた警戒感からハイテク株の序盤の買いも続かず、終日軟調に推移。ナスダック総合指数は0.27ドル安(-0.00%)とほぼ横ばいだった。前日に大きく下落していた日経平均は自律反発狙いの買いから28.59円高からスタート。序盤に28515.61円(62.86円高)まで上昇したが、買いが続かず失速。午前中ごろからは売りが広がり、28282.21円(170.54円安)まで下落する場面があった。ただ、その後は引けにかけて緩やかに持ち直す動きとなった。
個別では、レーザーテック<6920>、東エレク<8035>、HOYA<7741>などの半導体関連株が軒並み下落。任天堂<7974>、ファーストリテ<9983>、キーエンス<6861>、OLC<4661>、ダイキン<6367>の値がさ株が安い。メルカリ<4385>、リクルートHD<6098>、エムスリー<2413>、ベイカレント<6532>などグロース(成長)株は大きく下落。花王<4452>、資生堂<4911>のディフェンシブ系のほか、武田薬<4502>、エーザイ<4523>などの医薬品、ほか、大阪チタ<5726>、東邦チタニウム<5727>の下落が目立つ。
一方、原油先物価格の上昇を支援要因に連日でINPEX<1605>、石油資源開発<1662>が大幅高で、富士石油<5017>は急伸。来年夏以降に柏崎刈羽原子力発電所など国内の原発計7基の再稼働を目指す方針と伝わり、東京電力HD<9501>が大幅高。三井物産<8031>、丸紅<8002>などの商社株や、三菱重<7011>、川崎重<7012>、IHI<7013>、日揮HD<1963>など重厚長大産業関連も軒並み高い。科学事業の売却交渉において、米投資ファンドのベインキャピタルを軸に調整に入ったと伝わっているオリンパス<7733>は年初来
高値を更新。中期業績計画のローリングを発表したエンビプロHD<5698>も買われた。
セクターではその他製品、陸運、サービスが下落率上位となった一方、鉱業、電気・ガス、ゴム製品が上昇率上位となった。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体40%、対して値上がり銘柄は55%となっている。
日経平均は前日に続き、本日も冴えない展開で弱い動きが目立つ。前日の米株式市場ではダウ平均が下落したとはいえ、ナスダック総合指数はほぼ横ばい、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)にいたっては+0.74%の上昇だったが、本日の東京市場では、半導体を中心にハイテク・グロース株が全般弱い。一方、日経平均もTOPIX(東証株価指数)も揃って本日の下落で25日移動平均線近くまで調整しており、同線からの大幅な上方乖離率が縮小、テクニカル面での過熱感は解消された。ここで踏みとどまれば、短期的な調整の範囲内ともいえそうで、まだ過度に弱気に傾いたとまでは言えない。
しかし、経済指標を中心に悪いニュースが一向に途絶えない。前日に発表された8月購買担当者指数(PMI、速報値)の総合は、ユーロ圏が49.2と7月の49.9から低下し、米国も45と7月の47.7から大きく低下。ともに活動の拡大・縮小の境界を示す50を連続して割り込んだ。特に、米国ではサービス業PMIが44.1と、上昇予想に反して7月(47.3)から大幅に低下、20年5月来で最低を記録した。明らかに記録的な水準で高止まりするインフレが消費者や企業の活動の下押し圧力として働いていることが窺える。
企業決算でもネガティブなニュースが相次いでいる。米百貨店ノードストロムが通期の売上高・利益見通しを下方修正し、時間外取引で13%超と急落している。6月下旬から需要が大きく減速し、在庫の積み上がりなどが重石になった。経営幹部は低所得の顧客層を中心に需要の鈍化が明確に表れたと述べている。一方で興味深いのが、米高級住宅建設のトール・ブラザーズも四半期受注の急減を理由に売上見通しを下方修正したことだ。年初からの住宅ローン金利の大幅な上昇や住宅価格の記録的な高騰で、住宅需要が急速に鈍化していることは経済指標からすでに判明していることだが、高所得者層を対象とした企業でも影響は免れないということだ。PMIの50割れと相まって、景気後退の可能性は日に日に高まっていると考えるべきだろう。
一方で、日米ともに企業業績については、未だに7-9月期以降は増益と堅調さが見込まれている。しかし、米7月消費者物価指数(CPI)の減速の主要因となったエネルギー・資源価格はその後全体的に下げ止まり、底入れ感を強めている。ニューヨーク・マーカンタイル取引所のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエイト、期近物)
原油先物価格は23日、1バレル=93.74ドル(+3.89%)と大幅に上昇した。イラン核合意の再建協議が妥結して制裁解除後の同国生産量が回復する場合には、サウジアラビアでは生産量を調整する可能性があると、減産が示唆されているようだ。
資源価格が再び上昇基調にあるなか、欧米の景気減速は著しく、中国も一向に回復ペースを速めてこないばかりか、むしろ足を引っ張りそうな勢い。マージン悪化の継続と需要減速が相まってしまえば、自ずと企業業績は悪化の道を辿ることにならざるを得ない。足元では、米連邦準備制度理事会(FRB)と市場の利上げスケジュールを巡るギャップの話が多いが、それはさることながら、市場は企業業績の見通しについても実体からかなりギャップを持っている気がしてならない。
目先はジャクソンホール会合が焦点だが、これを通過したところで、あく抜け感から再び相場が上昇基調に戻るとは考えない方がよいだろう。個人的にはここから先、何をもって株式市場が持続的に上昇していくと考えられるのかが分からない。筆者が悲観的過ぎるのかもしれないが、米国のコアCPIが年内に+3%くらいまで下がってこない限り、持続的な上昇基調を取り戻していくシナリオが現時点ではほとんど描けない
(むろん、行き過ぎた楽観の揺り戻しなどから強烈なリバウンドは随所にあるだろうが)。空売りでなく、個別株を買うのであれば、4-6月決算で価格転嫁と需要の底堅さが同時に確認された、安心感のある内需ディフェンシブ銘柄くらいしか今は投資したいと思えない。
(仲村幸浩)
<AK>
23日の米株式市場でダウ平均は154.02ドル安(-0.46%)と3日続落。8月製造業・サービス業PMIが予想以上に悪化したことで景気後退懸念から売り優勢でスタート。7月新築住宅販売件数も2016年来で最低となる低調な結果に終わると更なる売り圧力となった。金利が横ばいの中、ジャクソンホール会合を控えた警戒感からハイテク株の序盤の買いも続かず、終日軟調に推移。ナスダック総合指数は0.27ドル安(-0.00%)とほぼ横ばいだった。前日に大きく下落していた日経平均は自律反発狙いの買いから28.59円高からスタート。序盤に28515.61円(62.86円高)まで上昇したが、買いが続かず失速。午前中ごろからは売りが広がり、28282.21円(170.54円安)まで下落する場面があった。ただ、その後は引けにかけて緩やかに持ち直す動きとなった。
個別では、レーザーテック<6920>、東エレク<8035>、HOYA<7741>などの半導体関連株が軒並み下落。任天堂<7974>、ファーストリテ<9983>、キーエンス<6861>、OLC<4661>、ダイキン<6367>の値がさ株が安い。メルカリ<4385>、リクルートHD<6098>、エムスリー<2413>、ベイカレント<6532>などグロース(成長)株は大きく下落。花王<4452>、資生堂<4911>のディフェンシブ系のほか、武田薬<4502>、エーザイ<4523>などの医薬品、ほか、大阪チタ<5726>、東邦チタニウム<5727>の下落が目立つ。
一方、原油先物価格の上昇を支援要因に連日でINPEX<1605>、石油資源開発<1662>が大幅高で、富士石油<5017>は急伸。来年夏以降に柏崎刈羽原子力発電所など国内の原発計7基の再稼働を目指す方針と伝わり、東京電力HD<9501>が大幅高。三井物産<8031>、丸紅<8002>などの商社株や、三菱重<7011>、川崎重<7012>、IHI<7013>、日揮HD<1963>など重厚長大産業関連も軒並み高い。科学事業の売却交渉において、米投資ファンドのベインキャピタルを軸に調整に入ったと伝わっているオリンパス<7733>は年初来
高値を更新。中期業績計画のローリングを発表したエンビプロHD<5698>も買われた。
セクターではその他製品、陸運、サービスが下落率上位となった一方、鉱業、電気・ガス、ゴム製品が上昇率上位となった。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体40%、対して値上がり銘柄は55%となっている。
日経平均は前日に続き、本日も冴えない展開で弱い動きが目立つ。前日の米株式市場ではダウ平均が下落したとはいえ、ナスダック総合指数はほぼ横ばい、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)にいたっては+0.74%の上昇だったが、本日の東京市場では、半導体を中心にハイテク・グロース株が全般弱い。一方、日経平均もTOPIX(東証株価指数)も揃って本日の下落で25日移動平均線近くまで調整しており、同線からの大幅な上方乖離率が縮小、テクニカル面での過熱感は解消された。ここで踏みとどまれば、短期的な調整の範囲内ともいえそうで、まだ過度に弱気に傾いたとまでは言えない。
しかし、経済指標を中心に悪いニュースが一向に途絶えない。前日に発表された8月購買担当者指数(PMI、速報値)の総合は、ユーロ圏が49.2と7月の49.9から低下し、米国も45と7月の47.7から大きく低下。ともに活動の拡大・縮小の境界を示す50を連続して割り込んだ。特に、米国ではサービス業PMIが44.1と、上昇予想に反して7月(47.3)から大幅に低下、20年5月来で最低を記録した。明らかに記録的な水準で高止まりするインフレが消費者や企業の活動の下押し圧力として働いていることが窺える。
企業決算でもネガティブなニュースが相次いでいる。米百貨店ノードストロムが通期の売上高・利益見通しを下方修正し、時間外取引で13%超と急落している。6月下旬から需要が大きく減速し、在庫の積み上がりなどが重石になった。経営幹部は低所得の顧客層を中心に需要の鈍化が明確に表れたと述べている。一方で興味深いのが、米高級住宅建設のトール・ブラザーズも四半期受注の急減を理由に売上見通しを下方修正したことだ。年初からの住宅ローン金利の大幅な上昇や住宅価格の記録的な高騰で、住宅需要が急速に鈍化していることは経済指標からすでに判明していることだが、高所得者層を対象とした企業でも影響は免れないということだ。PMIの50割れと相まって、景気後退の可能性は日に日に高まっていると考えるべきだろう。
一方で、日米ともに企業業績については、未だに7-9月期以降は増益と堅調さが見込まれている。しかし、米7月消費者物価指数(CPI)の減速の主要因となったエネルギー・資源価格はその後全体的に下げ止まり、底入れ感を強めている。ニューヨーク・マーカンタイル取引所のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエイト、期近物)
原油先物価格は23日、1バレル=93.74ドル(+3.89%)と大幅に上昇した。イラン核合意の再建協議が妥結して制裁解除後の同国生産量が回復する場合には、サウジアラビアでは生産量を調整する可能性があると、減産が示唆されているようだ。
資源価格が再び上昇基調にあるなか、欧米の景気減速は著しく、中国も一向に回復ペースを速めてこないばかりか、むしろ足を引っ張りそうな勢い。マージン悪化の継続と需要減速が相まってしまえば、自ずと企業業績は悪化の道を辿ることにならざるを得ない。足元では、米連邦準備制度理事会(FRB)と市場の利上げスケジュールを巡るギャップの話が多いが、それはさることながら、市場は企業業績の見通しについても実体からかなりギャップを持っている気がしてならない。
目先はジャクソンホール会合が焦点だが、これを通過したところで、あく抜け感から再び相場が上昇基調に戻るとは考えない方がよいだろう。個人的にはここから先、何をもって株式市場が持続的に上昇していくと考えられるのかが分からない。筆者が悲観的過ぎるのかもしれないが、米国のコアCPIが年内に+3%くらいまで下がってこない限り、持続的な上昇基調を取り戻していくシナリオが現時点ではほとんど描けない
(むろん、行き過ぎた楽観の揺り戻しなどから強烈なリバウンドは随所にあるだろうが)。空売りでなく、個別株を買うのであれば、4-6月決算で価格転嫁と需要の底堅さが同時に確認された、安心感のある内需ディフェンシブ銘柄くらいしか今は投資したいと思えない。
(仲村幸浩)
<AK>
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