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IHIのニュース
日経平均は4日ぶり反発。492.89円高の27940.90円(出来高概算6億1000万株)で前場の取引を終えている。
13日の米株式市場でNYダウは4日ぶりに反発し、433ドル高となった。4月の卸売物価指数(PPI)は前月比0.6%の上昇と市場予想(0.3%上昇)を上回ったが、消費者物価指数(CPI)の大幅な上振れを見た後だけに、市場は冷静に受け止めた。長期金利の上昇一服でハイテク株が買われたほか、週間の新規失業保険申請件数が予想以上に減少したことを好感して景気敏感株も上昇。「恐怖指数」とされる米株の変動性指数(VIX)は23.13(-4.46)に低下した。本日の日経平均はこうした流れを引き継いで275円高からスタートすると、朝方には一時27946.56円(498.55円高)まで上昇。ただ、28000円近辺では上値も重く、堅調もみ合いの展開となった。なお、オプション5月物の特別清算指数(SQ)は概算で27748.22円となっている。
個別では、ソニーG<6758>、東エレク<8035>、レーザーテック<6920>のように前日まで下げのきつかった値がさのハイテク株が反発。日経平均への寄与が大きいソフトバンクG<9984>やファーストリテ<9983>も堅調に推移している。決算発表銘柄ではいすゞ<7202>やIHI<7013>が商いを伴って急伸しており、いすゞは東証1部上昇率上位にランクイン。アシックス<7936>やJCRファーマ<4552>はストップ高水準で前場を折り返している。一方、日本製鉄<5401>は利益確定売りに押され逆行安。決算発表銘柄ではセコム<9735>が2%超下落し、ピジョン<7956>やカシオ<6952>は急落。また、板硝子<5202>などが東証1部下落率上位に顔を出している。
セクターでは、精密機器、その他金融業、倉庫・運輸関連業などが上昇率上位で、その他も全般堅調。一方、パルプ・紙、鉄鋼、非鉄金属の3業種が下落した。東証1部の値上がり銘柄は全体の87%、対して値下がり銘柄は11%となっている。
前述のとおり米PPIの上振れはCPIに比べればサプライズがなく、日米株とも反動高の展開となった。すわ「インフレ率上昇は一時的だ」と再強調する向きも多い印象だが、果たして市場参加者はそうみているのだろうか。
前日の当欄で指摘したとおり、海外勢は日経平均の目先の下値めどを昨年末終値水準である27400円とし、株価指数先物・オプションのポジションを構築していたとされる。ただ、日経平均は急ピッチの下落で前日の引けにかけて27400円割れを達成した。
これにより海外短期勢が早々に買い戻しを入れ、本日の反発につながっている可能性はある。実際、前日の先門手口を見るとシティグループ証券やゴールドマン・サックス証券の日経平均先物の売り越しが大きかったとはいえ、その他外資系証券はさほど売りに傾いていなかった。全体の売買高はまずまず膨らんだことから、買い戻しが入っていたことを窺わせる。そもそも日経平均は前日までの3日続落で2000円以上下落しており、本日500円近く上昇していると言えど自律反発の域を出ないだろう。
また、PPIもCPI同様に上昇圧力がかかっていることには変わりない。政策当局者らが「一時的」と繰り返す一方、独アリアンツの首席経済アドバイザーであるモハメド・エラリアン氏の「連邦準備理事会(FRB)が従来の物価への評価にこだわり続けると、政策の失敗や市場の動揺を招く恐れがある」、また著名投資家スタン・ドラッケンミラー氏の「米金融政策は過激で不適切」といった警鐘は重く感じられる。
日本でも日銀の動向に注目が集まっている。日経平均が3日間で2000円以上の急落を強いられるなか、結局日銀は上場投資信託(ETF)買い入れを実施しなかった。黒田東彦総裁は前日の参院財政金融委員会で、「数日間で株価がどれだけ下がったなど、機械的なルールで行っているわけではない」と述べた。一方、市場に不測の影響を与えるとして具体的な買い入れ方針は言及を避けたという。実際の買い入れ実績は4月に1度(21日に701億円)のみ、5月に至ってはここまでゼロとなっており、消極姿勢に転じたと受け止められても致し方ないだろう。
それに、MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が27日予定している指数構成銘柄の見直しで、日本株は新規採用ゼロ、除外29銘柄となった。市場では「日本株の存在感が後退」などといった声が出ているが、これにより日本株全体で7000億円近い資金流出が見込まれており、需給的にマイナスであろうことは間違いない。
さて、本日は1000社前後が決算発表を予定しており、米国では引き続き4月小売売上高など重要な経済指標の発表が控えている。後場の取引では買い戻しの動きが続くかもしれないが、なかなか買い持ちにまでは傾きづらいところだろう。
(小林大純)
<AK>
13日の米株式市場でNYダウは4日ぶりに反発し、433ドル高となった。4月の卸売物価指数(PPI)は前月比0.6%の上昇と市場予想(0.3%上昇)を上回ったが、消費者物価指数(CPI)の大幅な上振れを見た後だけに、市場は冷静に受け止めた。長期金利の上昇一服でハイテク株が買われたほか、週間の新規失業保険申請件数が予想以上に減少したことを好感して景気敏感株も上昇。「恐怖指数」とされる米株の変動性指数(VIX)は23.13(-4.46)に低下した。本日の日経平均はこうした流れを引き継いで275円高からスタートすると、朝方には一時27946.56円(498.55円高)まで上昇。ただ、28000円近辺では上値も重く、堅調もみ合いの展開となった。なお、オプション5月物の特別清算指数(SQ)は概算で27748.22円となっている。
個別では、ソニーG<6758>、東エレク<8035>、レーザーテック<6920>のように前日まで下げのきつかった値がさのハイテク株が反発。日経平均への寄与が大きいソフトバンクG<9984>やファーストリテ<9983>も堅調に推移している。決算発表銘柄ではいすゞ<7202>やIHI<7013>が商いを伴って急伸しており、いすゞは東証1部上昇率上位にランクイン。アシックス<7936>やJCRファーマ<4552>はストップ高水準で前場を折り返している。一方、日本製鉄<5401>は利益確定売りに押され逆行安。決算発表銘柄ではセコム<9735>が2%超下落し、ピジョン<7956>やカシオ<6952>は急落。また、板硝子<5202>などが東証1部下落率上位に顔を出している。
セクターでは、精密機器、その他金融業、倉庫・運輸関連業などが上昇率上位で、その他も全般堅調。一方、パルプ・紙、鉄鋼、非鉄金属の3業種が下落した。東証1部の値上がり銘柄は全体の87%、対して値下がり銘柄は11%となっている。
前述のとおり米PPIの上振れはCPIに比べればサプライズがなく、日米株とも反動高の展開となった。すわ「インフレ率上昇は一時的だ」と再強調する向きも多い印象だが、果たして市場参加者はそうみているのだろうか。
前日の当欄で指摘したとおり、海外勢は日経平均の目先の下値めどを昨年末終値水準である27400円とし、株価指数先物・オプションのポジションを構築していたとされる。ただ、日経平均は急ピッチの下落で前日の引けにかけて27400円割れを達成した。
これにより海外短期勢が早々に買い戻しを入れ、本日の反発につながっている可能性はある。実際、前日の先門手口を見るとシティグループ証券やゴールドマン・サックス証券の日経平均先物の売り越しが大きかったとはいえ、その他外資系証券はさほど売りに傾いていなかった。全体の売買高はまずまず膨らんだことから、買い戻しが入っていたことを窺わせる。そもそも日経平均は前日までの3日続落で2000円以上下落しており、本日500円近く上昇していると言えど自律反発の域を出ないだろう。
また、PPIもCPI同様に上昇圧力がかかっていることには変わりない。政策当局者らが「一時的」と繰り返す一方、独アリアンツの首席経済アドバイザーであるモハメド・エラリアン氏の「連邦準備理事会(FRB)が従来の物価への評価にこだわり続けると、政策の失敗や市場の動揺を招く恐れがある」、また著名投資家スタン・ドラッケンミラー氏の「米金融政策は過激で不適切」といった警鐘は重く感じられる。
日本でも日銀の動向に注目が集まっている。日経平均が3日間で2000円以上の急落を強いられるなか、結局日銀は上場投資信託(ETF)買い入れを実施しなかった。黒田東彦総裁は前日の参院財政金融委員会で、「数日間で株価がどれだけ下がったなど、機械的なルールで行っているわけではない」と述べた。一方、市場に不測の影響を与えるとして具体的な買い入れ方針は言及を避けたという。実際の買い入れ実績は4月に1度(21日に701億円)のみ、5月に至ってはここまでゼロとなっており、消極姿勢に転じたと受け止められても致し方ないだろう。
それに、MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が27日予定している指数構成銘柄の見直しで、日本株は新規採用ゼロ、除外29銘柄となった。市場では「日本株の存在感が後退」などといった声が出ているが、これにより日本株全体で7000億円近い資金流出が見込まれており、需給的にマイナスであろうことは間違いない。
さて、本日は1000社前後が決算発表を予定しており、米国では引き続き4月小売売上高など重要な経済指標の発表が控えている。後場の取引では買い戻しの動きが続くかもしれないが、なかなか買い持ちにまでは傾きづらいところだろう。
(小林大純)
<AK>
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