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―相場上昇継続なら堅調展開に、16社が下旬に集中上場で投資資金の分散警戒―
日経平均株価は7日に昨年11月下旬以来、約3ヵ月半ぶりに2万8300円台を回復し、足もとの相場には明るさが見え始めた。米インフレ懸念などに落ち着きが見えれば、春相場は予想外の強さを発揮することも期待できそうだ。そんななか、注目されているのが 3月IPOだ。例年3月は数多くのIPOが登場する時期だが、今年は初の「ネット銀行」が上場するほか、「VTuber(バーチャルユーチューバー)」関連銘柄の登場などが関心を集めている。
●3社同時上場が4日あり短期集中型に
3月のIPOは、22日以降に16社が登場する。その内訳は、東証スタンダード市場へ3社、東証グロース市場への単独上場が11社、東証グロースと福証Qボードへの重複上場が1社、名証メイン市場へ上場が1社というものだ。ロシアによるウクライナ軍事侵攻の影響などから、昨年3月は新規上場が8社にとどまったこともあり、今年は倍増する格好となる。特に、1日に3社が同時上場する日が4日あるなど短期間に集中する。
今年に入ってからのIPOは1月に1社、2月に1社と出足は低調だった。ただ、数少ないIPOに人気が集中したことから、1月のテクノロジーズ <5248> [東証G]と2月のプライム・ストラテジー <5250> [東証S]の初値はともに公開価格の2倍超に高騰した。3月IPOに関して、市場からは「注目企業が限られ、やや新鮮味に欠ける銘柄が多い」(アナリスト)との見方も出ており、短期間に上場が集中することから資金が分散することも警戒されている。ただ、日経平均株価が2万8000円台を回復し上昇基調を強めていることは「3月IPOにとっては追い風に働く」(市場関係者)とみられている。
●ネット銀行で初の上場「住信SBIネット銀行」に関心
3月IPOで最も規模の大きな案件となるのが、29日に登場する住信SBIネット銀行 <7163> [東証S]だ。昨年3月にIPOを予定していたが上場が延期されたことから、今回は1年越しの再挑戦となる。想定公開価格で弾いた資金吸収額は約600億円で、時価総額は1900億円となる。初のインターネット銀行の上場となる見込みだが、三井住友トラスト・ホールディングス <8309> [東証P]傘下の三井住友信託銀行とSBIホールディングス <8473> [東証P]が大株主でスタンダード市場へ上場する。
インターネット銀行は、店舗を持たないため固定費を圧縮でき一般の銀行に比べ収益性の高さが指摘されている。上場時の規模が大きいため初値は飛びにくいが「落ち着いた水準で株価がつけばセカンダリー(流通)市場での人気期待も」(アナリスト)という。
●VTuber関連「カバー」やお絵描きアプリの「アイビス」に注目
また、27日にグロース市場に上場するカバー <5253> [東証G]も高い関心を集めている。同社は、VTuber事務所「ホロライブプロダクション」を運営している。昨年6月に上場したANYCOLOR <5032> [東証G]に続くVTuber関連銘柄となるが、高い成長性からやはり人気化が期待されている。ただ、仮条件から弾いた資金吸収額は100億円超と大きいことに加え、大株主にベンチャーキャピタルが多く、株価が上昇した場合、エニーカラーと同様に売却制限(ロックアップ)に関連する大株主の保有株売却の動きを警戒する声もある。
また、23日にグロース市場に上場するアイビス <9343> [東証G]も注目されている。モバイル向けお絵描きアプリ「ibisPaint(アイビスペイント)」が世界的な人気を集めている。1月に累計ダウンロード数は3億を超え、175ヵ国以上で利用されている。仮条件から弾いた資金吸収額も7億円台、時価総額も20億円台と小さく、初値は飛ぶ展開が予想されている。ただ、「お絵描きアプリはパソコンがメイン。モバイル向けはニッチな分野であり、より大きな市場を獲得できるかが焦点」(アナリスト)ともみられている。
●SHINKOやハルメクHD、NIBの動向なども
以下、主な新規上場企業をスケジュールに沿ってみてみたい。22日には3月IPOのトップバッターとなるSHINKO <7120> [東証S]がスタンダード市場に上場する。同社はIT機器などの保守・販売及び人材派遣を手掛ける。資金吸収額は20億円強。
23日にはアイビスに加えハルメクホールディングス <7119> [東証G]と日本ナレッジ <5252> [東証G]が上場する。ハルメクHDは50代以上の女性向け雑誌「ハルメク」や物販などを手掛ける。想定資金吸収額は50億円弱とやや大きい。日本ナレッジはソフトウエアのテスト・品質検証サービスなどを手掛ける。想定資金吸収額は6億円強と小粒だ。
28日にはアクシスコンサルティング <9344> [東証G]とモンスターラボホールディングス <5255> [東証G]など3社が上場する。アクシスCはハイエンド人材領域における人材紹介など、モンスターLはデジタルトランスフォーメーション(DX)にかかるデジタルコンサルティングなどを手掛ける。29日にはノイルイミューン・バイオテック <4893> [東証G]とAnyMind Group <5027> [東証G]が登場する。NIBはCAR-T細胞療法を主とした新規がん免疫療法の開発を行っているが、業績は赤字基調だ。エニマインドはブランド企業向けマーケティング支援などを手掛ける。同社は昨年3月と12月に上場を延期しており、今回は3度目の挑戦となる。
30日にはオンラインビジネス英会話や人材紹介サービスなどを行うビズメイツ <9345> [東証G]など2社が登場。31日には障がい福祉サービス事業を手掛けるココルポート <9346> [東証G]など3社が上場を果たす。
■3月IPO一覧
コード
上場日 ・市場 企業名 主幹事
22日 7120・東S SHINKO 大和
23日 9343・東G アイビス 東海東京
23日 7119・東G ハルメクホールディングス みずほ
23日 5252・東G 日本ナレッジ SBI
27日 5253・東G カバー みずほ
28日 9344・東G アクシスコンサルティング 野村
28日 5255・東G モンスターラボホールディングス 大和
28日 5254・東G Arent みずほ
29日 7163・東S 住信SBIネット銀行 野村
29日 5027・東G AnyMind Group みずほ
29日 4893・東G ノイルイミューン・バイオテック SMBC日興
30日 9345・東G ビズメイツ みずほ
30日 5257・東S ノバシステム みずほ
31日 6225・名M エコム 東海東京
31日 9346・東G ココルポート みずほ
31日 5256・東G/福Q Fusic SBI
(注)東Sは東証スタンダード、東Gは同グロース、名Mは名証メイン、福Qは福証Qボード
株探ニュース
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