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―賃上げと内需回復の好循環に期待、バフェット効果で見直し機運高まる―
東京株式市場が上昇基調を強めている。16日の日経平均株価は前日比216円高の2万9842円と4日続伸し、3万円台乗せが目前に迫った。更に、TOPIXは2021年9月高値を更新し、1990年8月以来、約33年ぶりの水準に上昇した。この株高を演出しているのが、海外投資家だ。海外勢は日本株の割安さに加え賃上げの実施による内需の回復期待など、構造面の変革を評価している面もあるとみられている。市場には外国人買いを背景にした一段の日本株の上昇期待が膨らんでいる。
●米国市場から日本への資金シフトの可能性も
海外勢の日本株への攻勢が続いている。東証によると、海外投資家は5月第1週まで日本の現物株を6週連続で買い越した。この間の累計買い越し金額は2兆3000億円超に達した。先物も買い越し基調にあり、現物と先物の合計でも5週連続の買い越しとなった。この日は日経平均株価が3万円に迫り、TOPIXはバブル崩壊後の高値圏に浮上したが、やはり海外投資家の買い流入の可能性が指摘されている。
今年に入り現物と先物の合計では、海外投資家は3兆6000億円強の買い越しとなっている。足もとでは、先物でショートを仕掛けていたヘッジファンドなど海外投機筋や個人投資家などの買い戻しも入っているとみられ、“踏み上げ相場”との声もある。海外市場との比較でも、日経平均株価は昨年末から14%、TOPIXは12%上昇しており、NYダウの0.6%高やS&P500種株価指数の7%高を凌駕している。「景気後退懸念が強まる米国市場から日本株へ資金シフトする動きもあるのではないか」(市場関係者)との観測も出ている。
●バフェット発言で海外勢の視線が日本に向く
海外勢が買い越し姿勢を強めた背景には何があるのだろうか。分かりやすいのは、「投資の神様」と呼ばれるウォーレン・バフェット氏が日本株を評価したことだ。同氏は4月に三菱商事 <8058> [東証P]など大手商社株の保有株比率を引き上げたことを明らかにするとともに、日本株に対して前向きな姿勢を示した。地政学的な安定性も日本株の評価要因に挙げている。「バフェット氏の発言で、これまで全く興味を示さなかった日本株に海外投資家の視線が向いたことは大きいだろう」(同)との見方は少なくない。
また、東証が「PBR1倍割れ」の是正を上場企業に求めたことや、植田和男氏が新総裁に就任し新体制が発足した日銀が金融緩和姿勢の継続を示したことも安心感を呼んだ。もちろん、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が「5類」に移行したことによる経済正常化やインバウンド需要に向けた期待も強い。
●春闘での30年ぶりの賃上げ水準を評価、外国人買いは継続も
加えて、見逃せないのが今年の春闘(春季労使交渉)が30年ぶりの賃上げ水準となったことだ。賃上げによる脱デフレ期待が膨らむという構造変化を海外投資家は評価した可能性は高い。エコノミストからは「本当に長い間なかったことだが、うまくいけば賃上げによる内需拡大が見込める形になった」と評価する声が上がっている。
今後に関しても、「海外投資家の日本株への見直し買いはなお続く可能性も」(アナリスト)と期待する声が出ている。更なる外国人買い継続が期待できる要因は、来年からのNISA(少額投資非課税制度)の拡充により、幅広い個人投資家の資金流入が見込めることが評価されているためだ。また、状況次第では夏場に向け衆院の解散・総選挙もあり得るなか、「自民党勝利による政権の安定化を先取る形で海外投資家が買いを入れることも」(同)とみられている。
●業績回復期待の自動車株などに買い姿勢強まる可能性も
海外投資家の日本株買いの対象としては、まずは日本の代表株を組み入れた指数の構成銘柄が注目されそうだ。米ブラックロックが運用する海外最大の日本株ETFであるiシェアーズMSCIジャパンETF
特に、今後は外国人好みの銘柄である 半導体などハイテク株に加えて、日産自動車 <7201> [東証P]やホンダ <7267> [東証P]など自動車株に対する見直し買いを期待する見方がある。自動車は一時の半導体不足が解消されつつあるなか、生産の回復に連動する格好で業績拡大が予想されている。また、内需株の動向からも目が離せない。インバウンド需要に乗るJR東日本 <9020> [東証P]など電鉄株やKDDI <9433> [東証P]のような通信株、三井不動産 <8801> [東証P]のような不動産株なども注目されている。
足もとの外国人買いは大型主力株が中心とみられているが、今後は中小型株が見直される局面も予想される。米国の有力日本株ETFであるウィズダムツリー・日本小型株配当ファンド
株探ニュース
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