668円
メドピアのニュース
日経平均は大幅反発。673.12円高の26421.84円(出来高概算7億8753万株)で前場の取引を終えている。
12日の米株式市場でNYダウは103.81ドル安と6日続落。米国経済が景気後退入りするとの懸念を背景に寄り付き後下落。高インフレや連邦準備制度理事会(FRB)の引き締めへの警戒感も強く、終日軟調に推移。不透明感が強く荒い展開が続くなか、値ごろ感からハイテク株が買われ、ナスダック総合指数は+0.05%と小幅ながら反発。米株市場はまちまちだったが、前日に500円近く下落していた日経平均は買い戻しが先行するなか170.08円高からスタート。5月限オプション取引に係る特別清算指数(SQ)は25951.24円で、これを早々に上回ったことで買い戻しが強まった。また、米長期金利が低下するなか、値がさのハイテク株の大幅高が押し上げ役となり、寄り付きから値を切り上げる展開が続いた。
個別では、1-3月期税引前損益で2兆円の赤字を計上したソフトバンクG<9984>は、あく抜け感や自社株買い継続への評価もあり、10%を超える急伸。市場予想を上回る今期計画を示した東エレク<8035>は5%高。ファーストリテ<9983>、リクルートHD<6098>、キーエンス<6861>、ベイカレント<6532>、SHIFT<3697>などグロース(成長)株も大幅に上昇。オリンパス<7733>は好決算が引き続き評価され8%高。決算が好感されたところでトプコン<7732>、日揮HD<1963>、デジハHD<3676>、フジクラ<5803>などが東証プライム値上がり率上位にランクイン。一方、決算を受けてNTTデータ<9613>、日産自<7201>、トレンド<4704>などが大幅に下落。東証プライム値下がり率上位には前日に決算発表したオイシックス<3182>、KADOKAWA<9468>、メドピア<6095>、カシオ<6952>などが並んだ。
セクターでは精密機器、電気機器、情報・通信などを筆頭にほぼ全面高。一方、電気・ガス、倉庫運輸、鉱業の3業種のみが下落となった。東証プライムの値上がり銘柄は全体の84%、対して値下がり銘柄は14%となっている。
前日に発表された米4月卸売物価指数(PPI)は、総合の伸びが前年比で予想を上回った一方、変動の激しい品目を除いたコアでは予想を下回り、インフレ懸念とインフレピークアウト期待のどちらにも軍配が上がらない結果となった。11日に発表された米4月消費者物価指数(CPI)に続き、インフレ懸念はくすぶる内容だったという印象だ。
しかし一方で、期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)は12日、2.59%と前日比-0.11ptと大幅に低下。4月21日に付けた最高値3.02%から大きく低下しており、明確な低下トレンドを描いている。
前日、FRBのパウエル議長は公共ラジオ番組で、今後2回の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で0.5ptずつ利上げするのが適切となる公算が大きいと、5月FOMC後の記者会見時と同様の見解をあらためて示した。株式市場でインフレピークアウト期待が後退している中でのこうした発言は、市場の中央銀行に対する不信感を強めかねないとも思われたが、債券市場では、米10年物BEIと並んで米10年債利回りも2.8%台へと低下するなど、低下基調が続いており、債券市場ではインフレ加速を見込んだトレードの巻き戻しが進められているもよう。
これまでの株式市場を振り返ってみると、3月中旬からの強烈なリバウンド相場時には、債券市場で織り込みが加速するインフレ懸念を無視する形で上昇し続けていたため、後になってしっぺ返しを食らうのではないかとの懸念があったが、4月以降は実際そうなってしまった。今回は、当時とは反対に、インフレ懸念が強まるなかで米主要株価指数が年初来安値を更新し続ける一方、債券市場ではそれまでのインフレ懸念の後退を表すかのような動きが続いている。
今回も株式市場が債券市場を後追いするかのような形が繰り返されるのだとすれば、今後、主要株価指数はリバウンド局面に入る可能性があろう。日本については日経平均やTOPIXのPERはすでにヒトリカルで見て十分に安値圏にあるため言わずもがなだが、米国でもS&P500指数などのPERは大分バリュエーション調整が進んできた。
むろん、今後FRBがバランスシートを縮小するなか、コロナショック前に戻したに過ぎない米株市場のバリュエーションにはまだ訂正余地が残ると思われる。ただ、米長期金利がこのまま安定した基調を保つのであれば、米国でもバリュエーション調整が一旦終わっても不思議ではない。米国では、ヘッジファンドの株式の持ち高比率はすでにかなり低く、一方で空売り比率がかなり高い水準にあるという調査もあり、需給的にも目先はリバウンドが来てもおかしくはないだろう。
上値では戻り待ちの売りをこなしていく必要があるだろうが、少なくとも短期的には下値余地は乏しくなっていると考えられる。たたき売られている中小型グロース株などは、現物で長期目線であればそろそろ打診買いを入れてみても面白いかもしれない。
後場の日経平均は堅調もみ合いを予想する。前場は買い戻しの流れが途絶えることなく、一本調子での上昇となったが、後場には買い戻しが一巡して伸び悩む可能性があろう。米主要株価指数が年初来安値圏を脱していないなか、円安進行も一服していることを踏まえると、東京市場だけがこのまま上昇し続けることは考えにくい。後場の追随買いには慎重になった方がよいだろう。
(仲村幸浩)
<AK>
12日の米株式市場でNYダウは103.81ドル安と6日続落。米国経済が景気後退入りするとの懸念を背景に寄り付き後下落。高インフレや連邦準備制度理事会(FRB)の引き締めへの警戒感も強く、終日軟調に推移。不透明感が強く荒い展開が続くなか、値ごろ感からハイテク株が買われ、ナスダック総合指数は+0.05%と小幅ながら反発。米株市場はまちまちだったが、前日に500円近く下落していた日経平均は買い戻しが先行するなか170.08円高からスタート。5月限オプション取引に係る特別清算指数(SQ)は25951.24円で、これを早々に上回ったことで買い戻しが強まった。また、米長期金利が低下するなか、値がさのハイテク株の大幅高が押し上げ役となり、寄り付きから値を切り上げる展開が続いた。
個別では、1-3月期税引前損益で2兆円の赤字を計上したソフトバンクG<9984>は、あく抜け感や自社株買い継続への評価もあり、10%を超える急伸。市場予想を上回る今期計画を示した東エレク<8035>は5%高。ファーストリテ<9983>、リクルートHD<6098>、キーエンス<6861>、ベイカレント<6532>、SHIFT<3697>などグロース(成長)株も大幅に上昇。オリンパス<7733>は好決算が引き続き評価され8%高。決算が好感されたところでトプコン<7732>、日揮HD<1963>、デジハHD<3676>、フジクラ<5803>などが東証プライム値上がり率上位にランクイン。一方、決算を受けてNTTデータ<9613>、日産自<7201>、トレンド<4704>などが大幅に下落。東証プライム値下がり率上位には前日に決算発表したオイシックス<3182>、KADOKAWA<9468>、メドピア<6095>、カシオ<6952>などが並んだ。
セクターでは精密機器、電気機器、情報・通信などを筆頭にほぼ全面高。一方、電気・ガス、倉庫運輸、鉱業の3業種のみが下落となった。東証プライムの値上がり銘柄は全体の84%、対して値下がり銘柄は14%となっている。
前日に発表された米4月卸売物価指数(PPI)は、総合の伸びが前年比で予想を上回った一方、変動の激しい品目を除いたコアでは予想を下回り、インフレ懸念とインフレピークアウト期待のどちらにも軍配が上がらない結果となった。11日に発表された米4月消費者物価指数(CPI)に続き、インフレ懸念はくすぶる内容だったという印象だ。
しかし一方で、期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)は12日、2.59%と前日比-0.11ptと大幅に低下。4月21日に付けた最高値3.02%から大きく低下しており、明確な低下トレンドを描いている。
前日、FRBのパウエル議長は公共ラジオ番組で、今後2回の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で0.5ptずつ利上げするのが適切となる公算が大きいと、5月FOMC後の記者会見時と同様の見解をあらためて示した。株式市場でインフレピークアウト期待が後退している中でのこうした発言は、市場の中央銀行に対する不信感を強めかねないとも思われたが、債券市場では、米10年物BEIと並んで米10年債利回りも2.8%台へと低下するなど、低下基調が続いており、債券市場ではインフレ加速を見込んだトレードの巻き戻しが進められているもよう。
これまでの株式市場を振り返ってみると、3月中旬からの強烈なリバウンド相場時には、債券市場で織り込みが加速するインフレ懸念を無視する形で上昇し続けていたため、後になってしっぺ返しを食らうのではないかとの懸念があったが、4月以降は実際そうなってしまった。今回は、当時とは反対に、インフレ懸念が強まるなかで米主要株価指数が年初来安値を更新し続ける一方、債券市場ではそれまでのインフレ懸念の後退を表すかのような動きが続いている。
今回も株式市場が債券市場を後追いするかのような形が繰り返されるのだとすれば、今後、主要株価指数はリバウンド局面に入る可能性があろう。日本については日経平均やTOPIXのPERはすでにヒトリカルで見て十分に安値圏にあるため言わずもがなだが、米国でもS&P500指数などのPERは大分バリュエーション調整が進んできた。
むろん、今後FRBがバランスシートを縮小するなか、コロナショック前に戻したに過ぎない米株市場のバリュエーションにはまだ訂正余地が残ると思われる。ただ、米長期金利がこのまま安定した基調を保つのであれば、米国でもバリュエーション調整が一旦終わっても不思議ではない。米国では、ヘッジファンドの株式の持ち高比率はすでにかなり低く、一方で空売り比率がかなり高い水準にあるという調査もあり、需給的にも目先はリバウンドが来てもおかしくはないだろう。
上値では戻り待ちの売りをこなしていく必要があるだろうが、少なくとも短期的には下値余地は乏しくなっていると考えられる。たたき売られている中小型グロース株などは、現物で長期目線であればそろそろ打診買いを入れてみても面白いかもしれない。
後場の日経平均は堅調もみ合いを予想する。前場は買い戻しの流れが途絶えることなく、一本調子での上昇となったが、後場には買い戻しが一巡して伸び悩む可能性があろう。米主要株価指数が年初来安値圏を脱していないなか、円安進行も一服していることを踏まえると、東京市場だけがこのまま上昇し続けることは考えにくい。後場の追随買いには慎重になった方がよいだろう。
(仲村幸浩)
<AK>
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