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シンプレクス・ホールディングスのニュース
―旺盛を極める企業のデジタル投資需要、高成長トレンドに乗る有望株を安値買い―
新型コロナウイルスの変異株であるオミクロン株は世界の株式市場に多大な影響を与えている。昨年まで月足で9年連続上昇というハイパフォーマンスの11月も今年はまさかの大陰線を引いた。しかし、売りが一巡したここはチャンスとなる。足もとで改めて物色ターゲットとして浮上しているのが、ウィズコロナ環境でもリオープン(経済再開)環境でも収益性に影響が出ないデジタル関連のソリューションを手掛ける企業群だ。
●売り飽き気分が台頭、投資指標は陰の極
週末3日の東京市場は買い優勢の地合いとなった。前日の米国株市場でNYダウが600ドルを超える上昇で今年最大の上げ幅を記録したことを受け、日経平均も切り返しに転じ2万8000円台を回復、高値引けとなった。値上がり銘柄数は全体の9割以上を占め、不透明な相場環境にあっても既に売り飽き気分が台頭していることを物語っている。オミクロン株の実態把握がまだできていない段階でも、株式市場はこの悪材料を日柄的に織り込むことは可能だ。市場関係者の間では「テクニカル的には東京市場は大底圏にある。投資マインドはかなり冷え込んだ状態だが、こういう場面が得てして買い場となっている」(準大手証券ストラテジスト)という声も出ている。
2日の時点で東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)は70%を割り込む水準で、マザーズ市場に至っては64%台まで水準を切り下げていた。つまり陰の極にあった。また、日経平均の75日移動平均線は2万9000円近辺を横に走っているが、時価はそこから依然として1000円近くも下方カイ離した状態にある。仮にここからもう一段下に振られることがあっても、強気に買い下がるスタンスで対処して報われる公算が大きい。
●外部環境に左右されない収益成長性
企業のデジタル化投資需要は旺盛を極めている。新型コロナウイルスの影響もあって、業務合理化に際し、 ビッグデータや人工知能(AI)、あるいは IoT技術を採り入れる動きが活発化している。かつてはAI関連というと成長期待はあっても足もとの収益が伴っていない銘柄が少なくなかったが、最近では業績面でも好調に収益拡大トレンドをたどる銘柄が数多く輩出されている。これまで人間の労働力を使ってアナログ的に処理していた案件にデジタル技術を活用したソリューションを加え、飛躍的な効率化やコストダウンを図るいわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)へのシフトが官民を問わず急速に進んでいる。その流れが、AI・DX関連銘柄の株価を強く刺激している。
岸田文雄首相は就任後最初の記者会見で政策骨子として「分配なくして成長なし」を謳い、これが独り歩きして株式市場にはマイナスイメージを与えたが、「新しい資本主義実現会議」の緊急提言には成長戦略についての項目にも、しっかりとその内容が刻まれている。そのなかで科学技術立国の推進に向け、デジタル、グリーン、AI、量子、バイオ、宇宙など先端科学技術の研究開発・実証に大胆な投資を行うことを明示している。AIや量子などの革新的な技術が出現し、イノベーションを巡る国際競争が激化するなか、経済安全保障強化の観点から先端的な重要技術を早急に育成する方針を掲げる。
これに先立って2018年に経済産業省が称した「2025年の崖」もまだ我々の記憶に新しい。経産省によってDX促進の必要性が強く叫ばれ、ソフト開発やクラウド、IoTソリューションなどにスポットライトが当たった。「数年以内にシステム刷新を集中的に進めないと年間で最大12兆円という経済損失が発生する」という分析が話題となったが、その一方で「DX化が成就した場合には、30年の段階で実質GDPにして130兆円超の経済押し上げ効果が発現する」という見解も示した。そして、ほぼ時を同じくして、ビッグデータの普及とディープラーニングの登場でAI技術は飛躍的な進歩を遂げた。これが、現在のDXシフトの礎となっている。
●反撃の狼煙が上がるAI・DX関連5銘柄
企業のデジタル変革は幅広い業界に及んでいる。金融分野のフィンテックに始まり、医療分野のヘルステック、教育分野のエドテック、農業分野ではアグリテックなどが注目を集めた。更に人事分野ではHRテックなどの導入の動きが進んでいる。このほか不動産テックや物流テック、建設テックなど、あらゆる業界でDX融合の動きが顕在化している。しかし、全体の割合からすると、DX化に向けて明確に舵を切っている企業は依然として半分に届いていないという観測もある。逆に言えばそれだけDX推進を担う側の企業にとって収益獲得の機会は多い。
新型コロナウイルスの感染拡大は人類にとって今なお大きな試練となっているが、その対応で生まれた リモートワークをはじめとするさまざまなIT技術の活用が、経済に新たな形で活力を与えている。また、AIやビッグデータを取り扱うデータサイエンティストの育成も人材ビジネスの新たなステージを示唆している。今回は、AI・DX関連に位置づけられる銘柄群の中から、成長性に富むビジネスモデルを有し、なおかつ、足もとの収益も様変わりしている業績高変化株を5銘柄セレクトした。
◎ホットリンク <3680> [東証M]
SNSを活用したマーケティング支援ビジネスを展開、SNS効果を極大化させるため、コンサルやマーケティング、データ分析など各領域のスペシャリストを揃え顧客需要を開拓。世界のソーシャルビッグデータを保有しデータ分析を通じた原因特定や仮説検証、プロモーション提案を行う。海外展開にも厚く、実態が見えにくい中国の市場や消費者を「見える化」する販促サービスを行うなどしてニーズを捉えている。21年12月期業績は売上高の4分の1を占めるクロスバウンド事業が越境ECの新サービスの寄与で大幅な伸びを達成、売上高は従来予想の53億6600万円から60億9900万円(前期比39%増)、営業利益は1億4700万円から2億2200万円(前期は2500万円の赤字)に上方修正している。来期も30~40%の大幅増益が有力視される。株価は11月29日に1067円の新高値形成後、全体地合い悪に流され800円台前半に売り込まれたが、その後は切り返しを探る場面に。下値は25日移動平均線がサポートラインとして効力を発揮しそうだ。
◎クロス・マーケティンググループ <3675>
ネットリサーチ事業を祖業とするが、付加価値を高めたデジタルマーケティング分野に重心を置きかえることで収益を急拡大させた。21年6月期は決算期変更に伴う6ヵ月の変則決算となったが、マーケティング支援のドゥ・ハウス連結化による収益押し上げが利いて営業利益は10億700万円と20年12月期の通期ベースの数字を上回った。また、22年6月期は12ヵ月決算復帰となるが、ドゥ・ハウスの通期寄与やIT人材サービスの伸びを背景に19億300万円を見込んでおり過去最高利益を大幅に更新する見通しだ。なお、東証が進める市場改革で来年1月に上場企業の所属市場が決定するが、同社はいち早く最上位市場である「プライム市場」を目指すことを表明、流通株式の時価総額基準を充たすための主要株主の株式売却などその準備にも余念がない。株価は11月中旬に急騰し1330円の実質上場来高値に駆け上がった後、連日の陰線形成でマド開け後の上昇分を吐き出した。しかし、目先売り一巡感があり1000円大台近辺は押し目買いチャンス。
◎シンプレクス・ホールディングス <4373>
今年9月下旬に東証1部に再上場した直近IPO銘柄の一角で、時流に乗るDXコンサルティングサービスを手掛け成長期待が強い。公的機関や金融機関の業務DX化支援ビジネスを主力に展開している。コンサルティングの新規案件開拓が順調で、またコンサルティングを起点としたシステムインテグレーション需要を取り込むことで成長の糧としている。直近では、NTTビジネスソリューションズ(大阪市北区)と「リモートワークAIソリューション」の販売店契約を締結したことを発表している。22年3月期売上高は前期比10%増の303億円と2ケタ増収見通しにあり、営業利益は同24%増の56億1200万円と高い伸びを見込んでいる。ただ、上期時点で営業利益は前年同期比48%増の35億4900万円を達成しており、通期も増額含みだ。株価は11月16日に上場後の最高値である3370円をつけた後調整しているが、業績上振れの可能性を視野に上値余地は十分で、2800円近辺のもみ合いを経て再浮上のタイミングをうかがう。
◎ALBERT <3906> [東証M]
AIを活用したビッグデータ解析事業などで先駆的ポジションにあり、自動運転分野など次世代分野におけるビジネス領域での活躍余地が期待されている。SBIグループとの資本連携が厚いほか、大株主にトヨタ自動車 <7203> やKDDI <9433> など業界を代表する大資本企業が名を連ね業務提携も行っている。企業のDX投資に対するニーズが高まる中で、人材が払底しているデータサイエンティストの育成でも草分けで、業界において優位性が高い。政府は25年までにAIの基礎知識を持つ人材を年間25万人育成する目標を掲げており、同社はこの国策に乗る関連最右翼として存在感を示すことになりそうだ。21年12月期業績は営業利益が前期比62%増の4億400万円を計画、更に22年12月期も2ケタ成長が有力視される。株価は11月下旬以降、一貫して下値を探る動きとなっているが株式需給悪によるもの。業績実態と成長期待を考慮すれば直近の年初来安値更新も中長期的には底値買いの好機を示唆しており、逆張り方針で対処してみたい。
◎マクニカ・富士エレホールディングス <3132>
独立系のエレクトロニクス商社として国内屈指の存在で、トップラインが22年3月期予想ベースで7200億円(前期比30%増)という高い水準にあり同業他社と一線を画している。主力として取り扱う半導体はスマートフォンや自動車向けに需要旺盛なほか、在宅勤務やオンライン授業などのコロナ禍での生活スタイルの変化が情報関連機器やデータセンター向けで新たなニーズを喚起している。AI関連事業を経営戦略上の重点分野に位置づけ、データサイエンティストのリソースと世界中の最先端技術の提供を軸に積極展開を図っている。脳科学とAIを組み合わせたヘルスケアサービスを開発する研究拠点なども開設し、オープンイノベーション推進に注力の構えだ。22年3月期営業利益は前期比6割増の300億円を見込み、配当は前期実績に30円上乗せの80円を計画している。株価は11月5日と22日に2800円台半ばで目先ダブルトップをつけた形になっているが、PERや配当利回りから時価は評価不足。3000円台乗せへの再挑戦が見込まれる。
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