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*12:15JST 日経平均は大幅に3日続伸、株価の大幅高に対しては批判的な眼差しが必要か
日経平均は大幅に3日続伸。380.20円高の28013.86円(出来高概算4億9198万株)で前場の取引を終えている。
10日の米株式市場でダウ平均は101.23ドル高(+0.30%)と3日続伸。3月雇用統計の結果が労働市場の堅調さを示したため金利上昇を嫌気した売りが先行。その後、米国経済の見通しが改善し、金融システム不安も一段と後退する中、ダウ平均は上昇に転換。一方、連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げ観測が強まり、金利先高観を重しにハイテクは軟調に推移、ナスダック総合指数は-0.02%と小幅に反落した。本日の日経平均は、ダウ平均の上昇や下落スタートながらも終盤にかけて下げ幅をほぼ取り戻したナスダックの動きを好感したほか、円安・ドル高も追い風に262.24円高からスタート。朝高後はもみ合いが続いていたが、香港ハンセン指数の上昇も支援要因に後半から騰勢を強めると、日経平均は28000円を回復して前場を終えた。
個別では、米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の大幅反発を受けて東エレク<8035>、アドバンテスト<6857>、スクリン<7735>の半導体のほか、太陽誘電<6976>、新光電工<6967>、三井ハイテック<6966>、TDK<6762>などのハイテクが大きく上昇。三井物産<8031>、丸紅<8002>など商社も総じて高い。大幅増益決算が評価されたSHIFT<3697>が急騰し、好決算や新中期経営計画などが好感されたライフコーポ<8194>も急伸。USENNEXT<9418>も好決算が評価された。ほか、月次業績を手掛かりにMonotaRO<3064>
が、決算を受けたあく抜け感や既存店売上高を材料にコスモス薬品<3349>が大幅高となった。
一方、第一三共<4568>、武田薬<4502>の医薬品、JR東海<9022>、JR東<9020>の陸運、JAL<9201>、ANA<9202>の空運など、ディフェンシブやリオープン(経済再開)の一角が軟調。ライク<2462>、東京個別指導学院<4745>は決算が嫌気されて大幅安。サカタのタネ<1377>も決算を受けて売られた。子会社の業績下方修正を材料にHEROZ<4382>は急落している。
セクターでは卸売、精密機器、電気機器が上昇率上位に並んだ一方、空運、水産・農林、医薬品の3業種が下落した。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の75%、対して値下がり銘柄は19%となっている。
本日の東京市場は大幅高で、日経平均は28000円を回復している。要因は大きく分けて二つあると考える。一つは、日本銀行の植田和男総裁が10日、記者会見で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)について「継続するのが適当」と発言、2%の物価目標の達成も「簡単ではない」と述べ、現在の大規模緩和の修正観測が後退したことだ。これにより、円安・ドル高が進み、日本株の買い戻しに寄与しているようだ。
二つ目は指数寄与度の大きい半導体を中心としたハイテク株の上昇だろう。韓国のサムスン電子が先週末7日に発表した1-3月(第1四半期)決算は大幅減益で、利益は2009年の世界金融危機以来の低水準だった。しかし、メモリー半導体の減産を表明したことで需給の改善が加速するとの期待が高まったようで、決算直後のサムスン株は大幅に上昇。前日の米株式市場でもフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が+1.8%と5日ぶりに大幅反発した。
ほか、4月に入ってから半導体関連株の軟調ぶりが目立っていたが、関連株の1-3月期の株価パフォーマンスが良かっただけに、新年度相場入りに伴う国内金融機関の
「益出し」が一時的な重しになっていた可能性も考えられる。こうした需給要因が改善したところに上述した複数の好材料が重なり、本日の半導体株の大幅上昇につながった可能性がありそうだ。
しかし、半導体などハイテクを巡る市況が本当に底入れしたかどうかは疑わしい。
半導体の好不況の市況サイクルは3-4年と言われている。また、株価が市況に対して半年程先回りする傾向も踏まえると、たしかに最近多く見られる半導体市況の底入れを指摘する記事の解説にも一理ありそうだ。しかし、先述した韓国サムスン電子の四半期ベースの収益水準の動向をみると、なかなか自信をもって底入れとは判断しにくい。また、今回は新型コロナショック後のサプライチェーン(供給網)混乱の影響で、コロナ禍に半導体が過剰生産された経緯がある。この点がこれまでのサイクルとやや実情を異なるものにしている可能性には留意しておくべきだろう。つまり、水準としては底入れしたとしても、その後にV字回復とはならずにL字型で底這いが続く可能性も考えられるということだ。
また、ハイテクでは先週末に発表された安川電機<6506>の決算もやや気掛かりだ。
こちらも四半期ベースの受注高をみると減少トレンドが鮮明で底入れしたとはまだ判断しにくい。半導体分野の影響が大きいACサーボモーターの受注は依然として低水準で調整継続しているほか、電気自動車(EV)投資の恩恵が大きいとされているロボット受注も前年同期比および前四半期比で減速している。今期見通しも市場コンセンサスを上回ったが、楽観的な印象が拭えないのか、前日の株価は下落、本日も反発は鈍い。
さらに、IT市場専門の調査会社IDCレポートは米スマートフォン大手、アップルの第1四半期におけるパソコン(PC)出荷台数が40%減少したとの分析を発表し、需要鈍化が警戒されている。IDCの一部専門家は「在庫は依然として健全な4-6週間分の範囲をはるかに超えている」、「大幅な値引きをしても、PCメーカーなどは在庫の高水準が7-9月に入っても続く可能性がある」などと指摘している。
投資家には、本日の株価上昇に対して強気になり過ぎることなく、批判的な眼差しで捉え、大幅高に対しては買い持ち高を削減するなど逆張り的な戦略で対応することを個人的には推奨する。
(仲村幸浩)
<AK>
10日の米株式市場でダウ平均は101.23ドル高(+0.30%)と3日続伸。3月雇用統計の結果が労働市場の堅調さを示したため金利上昇を嫌気した売りが先行。その後、米国経済の見通しが改善し、金融システム不安も一段と後退する中、ダウ平均は上昇に転換。一方、連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げ観測が強まり、金利先高観を重しにハイテクは軟調に推移、ナスダック総合指数は-0.02%と小幅に反落した。本日の日経平均は、ダウ平均の上昇や下落スタートながらも終盤にかけて下げ幅をほぼ取り戻したナスダックの動きを好感したほか、円安・ドル高も追い風に262.24円高からスタート。朝高後はもみ合いが続いていたが、香港ハンセン指数の上昇も支援要因に後半から騰勢を強めると、日経平均は28000円を回復して前場を終えた。
個別では、米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の大幅反発を受けて東エレク<8035>、アドバンテスト<6857>、スクリン<7735>の半導体のほか、太陽誘電<6976>、新光電工<6967>、三井ハイテック<6966>、TDK<6762>などのハイテクが大きく上昇。三井物産<8031>、丸紅<8002>など商社も総じて高い。大幅増益決算が評価されたSHIFT<3697>が急騰し、好決算や新中期経営計画などが好感されたライフコーポ<8194>も急伸。USENNEXT<9418>も好決算が評価された。ほか、月次業績を手掛かりにMonotaRO<3064>
が、決算を受けたあく抜け感や既存店売上高を材料にコスモス薬品<3349>が大幅高となった。
一方、第一三共<4568>、武田薬<4502>の医薬品、JR東海<9022>、JR東<9020>の陸運、JAL<9201>、ANA<9202>の空運など、ディフェンシブやリオープン(経済再開)の一角が軟調。ライク<2462>、東京個別指導学院<4745>は決算が嫌気されて大幅安。サカタのタネ<1377>も決算を受けて売られた。子会社の業績下方修正を材料にHEROZ<4382>は急落している。
セクターでは卸売、精密機器、電気機器が上昇率上位に並んだ一方、空運、水産・農林、医薬品の3業種が下落した。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の75%、対して値下がり銘柄は19%となっている。
本日の東京市場は大幅高で、日経平均は28000円を回復している。要因は大きく分けて二つあると考える。一つは、日本銀行の植田和男総裁が10日、記者会見で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)について「継続するのが適当」と発言、2%の物価目標の達成も「簡単ではない」と述べ、現在の大規模緩和の修正観測が後退したことだ。これにより、円安・ドル高が進み、日本株の買い戻しに寄与しているようだ。
二つ目は指数寄与度の大きい半導体を中心としたハイテク株の上昇だろう。韓国のサムスン電子が先週末7日に発表した1-3月(第1四半期)決算は大幅減益で、利益は2009年の世界金融危機以来の低水準だった。しかし、メモリー半導体の減産を表明したことで需給の改善が加速するとの期待が高まったようで、決算直後のサムスン株は大幅に上昇。前日の米株式市場でもフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が+1.8%と5日ぶりに大幅反発した。
ほか、4月に入ってから半導体関連株の軟調ぶりが目立っていたが、関連株の1-3月期の株価パフォーマンスが良かっただけに、新年度相場入りに伴う国内金融機関の
「益出し」が一時的な重しになっていた可能性も考えられる。こうした需給要因が改善したところに上述した複数の好材料が重なり、本日の半導体株の大幅上昇につながった可能性がありそうだ。
しかし、半導体などハイテクを巡る市況が本当に底入れしたかどうかは疑わしい。
半導体の好不況の市況サイクルは3-4年と言われている。また、株価が市況に対して半年程先回りする傾向も踏まえると、たしかに最近多く見られる半導体市況の底入れを指摘する記事の解説にも一理ありそうだ。しかし、先述した韓国サムスン電子の四半期ベースの収益水準の動向をみると、なかなか自信をもって底入れとは判断しにくい。また、今回は新型コロナショック後のサプライチェーン(供給網)混乱の影響で、コロナ禍に半導体が過剰生産された経緯がある。この点がこれまでのサイクルとやや実情を異なるものにしている可能性には留意しておくべきだろう。つまり、水準としては底入れしたとしても、その後にV字回復とはならずにL字型で底這いが続く可能性も考えられるということだ。
また、ハイテクでは先週末に発表された安川電機<6506>の決算もやや気掛かりだ。
こちらも四半期ベースの受注高をみると減少トレンドが鮮明で底入れしたとはまだ判断しにくい。半導体分野の影響が大きいACサーボモーターの受注は依然として低水準で調整継続しているほか、電気自動車(EV)投資の恩恵が大きいとされているロボット受注も前年同期比および前四半期比で減速している。今期見通しも市場コンセンサスを上回ったが、楽観的な印象が拭えないのか、前日の株価は下落、本日も反発は鈍い。
さらに、IT市場専門の調査会社IDCレポートは米スマートフォン大手、アップルの第1四半期におけるパソコン(PC)出荷台数が40%減少したとの分析を発表し、需要鈍化が警戒されている。IDCの一部専門家は「在庫は依然として健全な4-6週間分の範囲をはるかに超えている」、「大幅な値引きをしても、PCメーカーなどは在庫の高水準が7-9月に入っても続く可能性がある」などと指摘している。
投資家には、本日の株価上昇に対して強気になり過ぎることなく、批判的な眼差しで捉え、大幅高に対しては買い持ち高を削減するなど逆張り的な戦略で対応することを個人的には推奨する。
(仲村幸浩)
<AK>
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