明日の株式相場に向けて=天を衝くガラスの階段
きょう(11日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比392円高の4万2224円と3日続伸。今週は上値が重いという大方の見方を覆し、見事に上昇気流に乗った。米CPI発表を控えまだ油断はできないが、ここまでショート筋は完全に裏目を引いた格好となっている。ただし、個別株ベースでは必ずしも株高を満喫できていないケースが多い。今月下旬からは企業の四半期決算発表が本格化するが、ここでのポイントは止まらない円安。政府・日銀の苦悩とは裏腹に企業業績には増額要因として働くが、これを個別に株価に反映できる企業とそうでない企業に分かれることは、よく認識しておく必要がある。
大型株優位の構図は米国も日本も同様だが、日経平均がここからノンストップで4万円台半ばから後半を目指すような強調展開を想定するのであれば、日経平均構成比率の高い銘柄を買っておけばよい理屈となる。例えば半導体製造装置では東京エレクトロン<8035.T>、アドバンテスト<6857.T>がツートップ、AI関連相場の旗艦銘柄ではソフトバンクグループ<9984.T>。また、半導体素材なら信越化学工業<4063.T>、電子部品ならTDK<6762.T>、このほか人材関連のリクルートホールディングス<6098.T>といったところだ。ただ、日経平均はここまで脇目もふらず全力疾走の連続で、さすがに疲れも見える。息を整える時間は必要であり、今のタイミングで大型株に照準を合わせるのには一考を要する。それでも大型株にしか投資意欲が湧かないというのであれば、相対的に出遅れている銘柄に的を絞った方が期待値は高そうだ。
高値圏を邁進する銘柄はそれ相応の背景があるからこそだが、株価位置が高ければそれだけ横殴りの風を受けやすい。ひとたび悪材料が出ると、その軽重は置くとしてそれを口実に利益確定売りの洗礼を浴びることになる。直近では三菱重工業<7011.T>が11連騰の後の3日続落となったが、この3日間で日経平均は1500円近く水準を切り上げている。その上げ潮の中で、想定の域を外れた“逆行安”といえるが、これは同社株にとどまらない。利益を確定したいが、手放した瞬間に持たざるリスクに苛まれるという恐怖から売りを出せなかった向きにとって、背中を押してくれる何かしらの悪材料はある意味福音となる。
それでも王道を行くというならソフトバンクGの分散買い。傘下の英半導体設計アームホールディングス<ARM>の時価総額が日本円にして約32兆円で、ソフトバンクGの時価総額のおよそ1.8倍。金額にして15兆円近い開きがあり、親であるソフトバンクGがアームの時価総額にキャッチアップするのは自然な流れだ。しかし、前述のように最高値圏を走る銘柄は、硝子の階段を踏みしめているような怖さもある。日経平均構成比上位の銘柄で出遅れているものを探すと、ファナック<6954.T>、京セラ<6971.T>などが挙げられる。
このほか、今はあまり光が当たっていない中小型株も、日経平均やTOPIXなど全体指数の上昇に一服感が出た時は必ず出番が回る。「人の行く裏に道あり花の山」という相場格言に倣って、今すぐ結果を求めず静かに中小型株を拾っておくのも立派なストラテジーといえる。先週取り上げた銘柄では丸運<9067.T>が満を持して材料株の本領を発揮した。とはいえ、材料性や株式需給の思惑にフォーカスするのではなく、基本はファンダメンタルズからの視点が大切。同社株は業績高変化が見込まれるにもかかわらず、PBR0.5倍近辺に放置されているというミスマッチ感が投資マネーの琴線に触れた。
これに続く候補としては今期も業績拡大が続くアイダエンジニアリング<6118.T>や日本コンクリート工業<5269.T>。また、データセンター関連の穴株でピーク利益更新トレンドを継続する八洲電機<3153.T>も押し目形成場面は買い場とみたい。生成AI対応のハイパースケールデータセンターへの需要が高まるなか、800Gbpsイーサネット対応コネクターや超高密度メモリー用ソケットで活躍の機会を捉えている山一電機<6941.T>にも目を配っておきたい。
あすは株価指数オプション7月物の特別清算指数(オプションSQ)算出日にあたる。また、3カ月物国庫短期証券の入札が午前中に行われるほか、午後取引時間中に5月の鉱工業生産指数(確報値)や生活意識に関するアンケート調査の結果が日銀から開示される。海外では6月の中国貿易統計、4~6月期シンガポールGDPのほか、6月の米生産者物価指数(PPI)、7月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・速報値)など。(銀)
出所:MINKABU PRESS
大型株優位の構図は米国も日本も同様だが、日経平均がここからノンストップで4万円台半ばから後半を目指すような強調展開を想定するのであれば、日経平均構成比率の高い銘柄を買っておけばよい理屈となる。例えば半導体製造装置では東京エレクトロン<8035.T>、アドバンテスト<6857.T>がツートップ、AI関連相場の旗艦銘柄ではソフトバンクグループ<9984.T>。また、半導体素材なら信越化学工業<4063.T>、電子部品ならTDK<6762.T>、このほか人材関連のリクルートホールディングス<6098.T>といったところだ。ただ、日経平均はここまで脇目もふらず全力疾走の連続で、さすがに疲れも見える。息を整える時間は必要であり、今のタイミングで大型株に照準を合わせるのには一考を要する。それでも大型株にしか投資意欲が湧かないというのであれば、相対的に出遅れている銘柄に的を絞った方が期待値は高そうだ。
高値圏を邁進する銘柄はそれ相応の背景があるからこそだが、株価位置が高ければそれだけ横殴りの風を受けやすい。ひとたび悪材料が出ると、その軽重は置くとしてそれを口実に利益確定売りの洗礼を浴びることになる。直近では三菱重工業<7011.T>が11連騰の後の3日続落となったが、この3日間で日経平均は1500円近く水準を切り上げている。その上げ潮の中で、想定の域を外れた“逆行安”といえるが、これは同社株にとどまらない。利益を確定したいが、手放した瞬間に持たざるリスクに苛まれるという恐怖から売りを出せなかった向きにとって、背中を押してくれる何かしらの悪材料はある意味福音となる。
それでも王道を行くというならソフトバンクGの分散買い。傘下の英半導体設計アームホールディングス<ARM>の時価総額が日本円にして約32兆円で、ソフトバンクGの時価総額のおよそ1.8倍。金額にして15兆円近い開きがあり、親であるソフトバンクGがアームの時価総額にキャッチアップするのは自然な流れだ。しかし、前述のように最高値圏を走る銘柄は、硝子の階段を踏みしめているような怖さもある。日経平均構成比上位の銘柄で出遅れているものを探すと、ファナック<6954.T>、京セラ<6971.T>などが挙げられる。
このほか、今はあまり光が当たっていない中小型株も、日経平均やTOPIXなど全体指数の上昇に一服感が出た時は必ず出番が回る。「人の行く裏に道あり花の山」という相場格言に倣って、今すぐ結果を求めず静かに中小型株を拾っておくのも立派なストラテジーといえる。先週取り上げた銘柄では丸運<9067.T>が満を持して材料株の本領を発揮した。とはいえ、材料性や株式需給の思惑にフォーカスするのではなく、基本はファンダメンタルズからの視点が大切。同社株は業績高変化が見込まれるにもかかわらず、PBR0.5倍近辺に放置されているというミスマッチ感が投資マネーの琴線に触れた。
これに続く候補としては今期も業績拡大が続くアイダエンジニアリング<6118.T>や日本コンクリート工業<5269.T>。また、データセンター関連の穴株でピーク利益更新トレンドを継続する八洲電機<3153.T>も押し目形成場面は買い場とみたい。生成AI対応のハイパースケールデータセンターへの需要が高まるなか、800Gbpsイーサネット対応コネクターや超高密度メモリー用ソケットで活躍の機会を捉えている山一電機<6941.T>にも目を配っておきたい。
あすは株価指数オプション7月物の特別清算指数(オプションSQ)算出日にあたる。また、3カ月物国庫短期証券の入札が午前中に行われるほか、午後取引時間中に5月の鉱工業生産指数(確報値)や生活意識に関するアンケート調査の結果が日銀から開示される。海外では6月の中国貿易統計、4~6月期シンガポールGDPのほか、6月の米生産者物価指数(PPI)、7月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・速報値)など。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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