明日の株式相場に向けて=「中低位株スーパーサイクル」で何を狙う?
週明け30日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比148円高の2万7789円と反発した。朝方の寄り付き直後(3分後)に2万7921円まで駆け上がったが、そこがきょうの高値となり、ここだけ見ると寄り付き天井の形できょうも2万7000円台後半の呪縛が解けなかったようにも思える。が、実際はそうではなかった。
日経平均の上値を押さえたのはファーストリテイリング<9983.T>の下落であり、同社株が1480円安に売られたことで日経平均を約53円押し下げた。きょうの相場の中身を見れば、かなり物色意欲が旺盛であったことが理解できる。値上がり銘柄数は1850あまりに達し、全体の85%の銘柄が上昇した。東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)もきょうの大引け時点で104.7%まで水準を切り上げてきた。
業種別では33業種すべてが上昇し、値上がり率1位が鉄鋼、2位が海運、3位が非鉄と市況関連がずらりと並んだ。コモディティ・スーパーサイクルとも言われる商品市況の高騰が株式市場にも降りてきた感じだが、もうひとつ、これらの銘柄群はPERやPBRが際立って割安に放置されている銘柄が多いことが挙げられる。
全体指数の動きを見る限り2万7000円台後半になると動きが鈍くなるが、銘柄物色の方向性がシフトチェンジしたことで、個人の資金は再び回転が効き始めている印象を受ける。例えばテーマ材料株も底値圏からのロケットスタートがみられるようになった。鈴与シンワート<9360.T>のように枯れ切った状態の材料株は火がつくと早い。デジタルトランスフォーメーション(DX)関連物色人気でいきなり目が覚めたかのような急騰相場を演じているが、売り板が極端に薄いこと、つまり事前に拾われた形跡がないことが好感されている。昨年9月から10月にかけての大相場を考えれば、滞留出来高の多い2000円台から上の水準まで株価が押し上げられて初めてリングに上がったという状況設定となり得るのかもしれない。
デジタル庁発足が明後日9月1日に控えている。9月の総裁選でひょっとしたら菅政権の置き土産になってしまうかもしれないが、このデジタル庁が中軸となったデジタル行政に向けた動きは止まらない。DX関連の出番再びというところで、鈴与シンワの突発人気もデジタル庁の始動とタイミングが合致している。アイエックス・ナレッジ<9753.T>やソルクシーズ<4284.T>が強いチャートを形成中、マイナンバー関連の本命格であるITbookホールディングス<1447.T>も動き出している。
これらに続く銘柄として株価300円前後のノムラシステムコーポレーション<3940.T>は仕切り直しのタイミング。「売上高1兆円を超える国内印刷業界2強の一角のグループ企業から、ロボット(RPA)保守サポートを受注した」と発表、同社特有の発表の仕方で業績へのインパクトが今ひとつ掴み切れないが、株価を動意づかせるエンジンとしては十分となった。このほか、ITソリューションを活用した「可視化」を強みにパッケージソフトを開発、国税連携システムなど全国自治体向けでも高実績を有するNCS&A<9709.T>もDX関連の中低位穴株として旨味を内包している。今の相場は個人投資家好みの“中低位株スーパーサイクル”に入っているようにも見えるだけに、これに限らずDX関連で株価3ケタ台の銘柄はマークしておく必要がありそうだ。
一方、低PER・低PBR株の物色が盛んだ。低レシオ・高配当利回りの宝庫である海運株フィーバーの影響かもしれないが、今回の相場は指標面の割安さに加えて高い業績変化率などが買い手掛かりとなっている。中山製鋼所<5408.T>や藤倉コンポジット<5121.T>、日鍛バルブ<6493.T>などはその典型だが、これらの銘柄もプラスアルファとして株価が3ケタ台の銘柄であることが挙げられる。この流れに該当する銘柄としては、他にVTホールディングス<7593.T>、バンドー化学<5195.T>、日東精工<5957.T>、前澤工業<6489.T>、高周波熱錬<5976.T>、オプトエレクトロニクス<6664.T>などがある。
あすのスケジュールでは、7月の有効求人倍率、7月の失業率、7月の鉱工業生産(速報値)、7月の住宅着工、8月の消費動向調査など。海外では、8月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)、中国非製造業PMI、8月の独失業率、8月のユーロ圏消費者物価指数、6月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、8月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)、8月の米消費者信頼感指数など。(銀)
出所:MINKABU PRESS
日経平均の上値を押さえたのはファーストリテイリング<9983.T>の下落であり、同社株が1480円安に売られたことで日経平均を約53円押し下げた。きょうの相場の中身を見れば、かなり物色意欲が旺盛であったことが理解できる。値上がり銘柄数は1850あまりに達し、全体の85%の銘柄が上昇した。東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)もきょうの大引け時点で104.7%まで水準を切り上げてきた。
業種別では33業種すべてが上昇し、値上がり率1位が鉄鋼、2位が海運、3位が非鉄と市況関連がずらりと並んだ。コモディティ・スーパーサイクルとも言われる商品市況の高騰が株式市場にも降りてきた感じだが、もうひとつ、これらの銘柄群はPERやPBRが際立って割安に放置されている銘柄が多いことが挙げられる。
全体指数の動きを見る限り2万7000円台後半になると動きが鈍くなるが、銘柄物色の方向性がシフトチェンジしたことで、個人の資金は再び回転が効き始めている印象を受ける。例えばテーマ材料株も底値圏からのロケットスタートがみられるようになった。鈴与シンワート<9360.T>のように枯れ切った状態の材料株は火がつくと早い。デジタルトランスフォーメーション(DX)関連物色人気でいきなり目が覚めたかのような急騰相場を演じているが、売り板が極端に薄いこと、つまり事前に拾われた形跡がないことが好感されている。昨年9月から10月にかけての大相場を考えれば、滞留出来高の多い2000円台から上の水準まで株価が押し上げられて初めてリングに上がったという状況設定となり得るのかもしれない。
デジタル庁発足が明後日9月1日に控えている。9月の総裁選でひょっとしたら菅政権の置き土産になってしまうかもしれないが、このデジタル庁が中軸となったデジタル行政に向けた動きは止まらない。DX関連の出番再びというところで、鈴与シンワの突発人気もデジタル庁の始動とタイミングが合致している。アイエックス・ナレッジ<9753.T>やソルクシーズ<4284.T>が強いチャートを形成中、マイナンバー関連の本命格であるITbookホールディングス<1447.T>も動き出している。
これらに続く銘柄として株価300円前後のノムラシステムコーポレーション<3940.T>は仕切り直しのタイミング。「売上高1兆円を超える国内印刷業界2強の一角のグループ企業から、ロボット(RPA)保守サポートを受注した」と発表、同社特有の発表の仕方で業績へのインパクトが今ひとつ掴み切れないが、株価を動意づかせるエンジンとしては十分となった。このほか、ITソリューションを活用した「可視化」を強みにパッケージソフトを開発、国税連携システムなど全国自治体向けでも高実績を有するNCS&A<9709.T>もDX関連の中低位穴株として旨味を内包している。今の相場は個人投資家好みの“中低位株スーパーサイクル”に入っているようにも見えるだけに、これに限らずDX関連で株価3ケタ台の銘柄はマークしておく必要がありそうだ。
一方、低PER・低PBR株の物色が盛んだ。低レシオ・高配当利回りの宝庫である海運株フィーバーの影響かもしれないが、今回の相場は指標面の割安さに加えて高い業績変化率などが買い手掛かりとなっている。中山製鋼所<5408.T>や藤倉コンポジット<5121.T>、日鍛バルブ<6493.T>などはその典型だが、これらの銘柄もプラスアルファとして株価が3ケタ台の銘柄であることが挙げられる。この流れに該当する銘柄としては、他にVTホールディングス<7593.T>、バンドー化学<5195.T>、日東精工<5957.T>、前澤工業<6489.T>、高周波熱錬<5976.T>、オプトエレクトロニクス<6664.T>などがある。
あすのスケジュールでは、7月の有効求人倍率、7月の失業率、7月の鉱工業生産(速報値)、7月の住宅着工、8月の消費動向調査など。海外では、8月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)、中国非製造業PMI、8月の独失業率、8月のユーロ圏消費者物価指数、6月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、8月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)、8月の米消費者信頼感指数など。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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