明日の株式相場戦略=中低位株で勝機を捉える地合いに
きょう(28日)の東京株式市場では日経平均が更なる高みを目指す展開で、引け際に500円高を超える瞬間があった。今週に入ってからの値動きだけを見ればバブル的な色彩が強く、踏み上げ相場の佳境という印象を受ける。200日移動平均線が走る2万1600円台半ばが一つの上値の関門とみられていたが、寄り付き早々にクリアした。
前場の午前10時半頃に先物に数千枚の成り行き買いが入り、日経平均を押し上げる格好となったが、市場では「成り行きで数千枚単位の買いが入るのは極めて珍しく、大口のロスカット(空売りの買い戻し)ではなかったかと推測されている」(国内証券マーケットアナリスト)という声があった。200日線のハードルを軽く飛び越えてきたことで、粘っていた売り方が諦めたということを意味する。その後、後場に入っていったん上げ幅を縮小したが、午後1時過ぎから再び買い直される展開となり、引け際にも先物を絡めた買いで駆け込むようにきょうの高値水準に噴き上げた。とにかく強い相場だが、一部では「持たざるリスク」という言葉も聞かれ始めた。売り方が作る相場が終焉に近づいていることを暗示しているようでもあり、そろそろ振り子の向きが変わる可能性にも警戒しておく必要がある。
個別では中低位株に相対的優位性があるという地合いがしばらく続くのではないか。連日上値を突き進むような展開とはなりにくいものの、新型コロナウイルスを免罪符に足もとの業績不問という流れは有利に働く。全体指数と連動しにくい面もあり、上値余地を見逃されている銘柄は多いように思われる。
そのなか、ダイトーケミックス<4366.T>が戻り足を形成しつつある。「アビガン」の中間体供給で急速人気化した後に調整を入れていた。アビガンについては、5月中の承認断念と伝えられたが、あくまで月内の承認は難しいということ。有力なコロナ薬候補であることに相違ないという認識は国民にも広く浸透している。既に動意しているが600円付近の押し目は狙えそうだ。同じ観点から、中低位株の範疇からは外れるがよく似た波動を示しているものに広栄化学工業<4367.T>がある。同社は「レムデシビル」の原料も生産している。
また、センサー関連では株価500円台の大泉製作所<6618.T>に意外性がある。新型コロナで空気清浄機などに注目が集まっている。その関連株として同社の存在は見逃されていると思われ、どこかで上げ足を加速しそうだ。株価700円台のフライトホールディングス<3753.T>もマークしたい。ITコンサルティングを手掛けデジタルトランスフォーメーション(DX)のテーマに乗る銘柄。モバイル決済でも実績が高く、コロナ収束後の成長シナリオが描きやすい。20年3月期は営業損益が大幅黒字転換するなど実態面も追い風で、25日移動平均線をサポートラインに上昇トレンド継続が見込める。
低位株ではNaITO<7624.T>が静かに上値を慕っている。株価は200円未満で依然として出遅れ感が強い。機械工具商社であり、鉄鋼や電子部品などを取り扱う名古屋の老舗、岡谷鋼機<7485.NG>を親会社に持つ。同じく株価低位の機械商社アルテック<9972.T>が商いを膨らませ動意しており、NaITOにも物色の矛先が向かう可能性がある。25日・75日移動平均線のゴールデンクロス目前でテクニカル的も狙い目といえそうだ。
このほか、株価は4ケタ付近で瀬踏みしていた長野計器<7715.T>が上放れのタイミングが近いように見える。5月13日にストップ高に買われた後も目先筋の利益確定売りを吸収し下値を切り上げてきた。23年3月期に売上高560億円、営業利益率7%以上という新たな中期営計画は現在の株価で織り込んでいるとは思えない。また、こちらは時価総額1000億円強とやや大型だが、トプコン<7732.T>の動きが良い。国土交通省が旗振り役となっている建設業界のICT化(アイ・コンストラクション)の担い手として買い戻しが本格化する可能性がある。
日程面では、あすは4月の完全失業率、4月の有効求人倍率、4月の鉱工業生産指数(速報値)、4月の商業動態統計がいずれも朝方取引開始前に開示される。また、後場取引時間中に5月の消費動向調査、4月の住宅着工などが発表される。海外では5月の仏CPI(速報値)、5月のユーロ圏消費者物価異数(速報値)のほか、5月の米消費者態度指数(確報値)、5月の米シカゴ購買部協会景気指数、4月の米個人所得・個人支出などが予定されている。また、インド、トルコ、ブラジルの1~3月期GDPも発表される見通し。
(中村潤一)
出所:MINKABU PRESS
前場の午前10時半頃に先物に数千枚の成り行き買いが入り、日経平均を押し上げる格好となったが、市場では「成り行きで数千枚単位の買いが入るのは極めて珍しく、大口のロスカット(空売りの買い戻し)ではなかったかと推測されている」(国内証券マーケットアナリスト)という声があった。200日線のハードルを軽く飛び越えてきたことで、粘っていた売り方が諦めたということを意味する。その後、後場に入っていったん上げ幅を縮小したが、午後1時過ぎから再び買い直される展開となり、引け際にも先物を絡めた買いで駆け込むようにきょうの高値水準に噴き上げた。とにかく強い相場だが、一部では「持たざるリスク」という言葉も聞かれ始めた。売り方が作る相場が終焉に近づいていることを暗示しているようでもあり、そろそろ振り子の向きが変わる可能性にも警戒しておく必要がある。
個別では中低位株に相対的優位性があるという地合いがしばらく続くのではないか。連日上値を突き進むような展開とはなりにくいものの、新型コロナウイルスを免罪符に足もとの業績不問という流れは有利に働く。全体指数と連動しにくい面もあり、上値余地を見逃されている銘柄は多いように思われる。
そのなか、ダイトーケミックス<4366.T>が戻り足を形成しつつある。「アビガン」の中間体供給で急速人気化した後に調整を入れていた。アビガンについては、5月中の承認断念と伝えられたが、あくまで月内の承認は難しいということ。有力なコロナ薬候補であることに相違ないという認識は国民にも広く浸透している。既に動意しているが600円付近の押し目は狙えそうだ。同じ観点から、中低位株の範疇からは外れるがよく似た波動を示しているものに広栄化学工業<4367.T>がある。同社は「レムデシビル」の原料も生産している。
また、センサー関連では株価500円台の大泉製作所<6618.T>に意外性がある。新型コロナで空気清浄機などに注目が集まっている。その関連株として同社の存在は見逃されていると思われ、どこかで上げ足を加速しそうだ。株価700円台のフライトホールディングス<3753.T>もマークしたい。ITコンサルティングを手掛けデジタルトランスフォーメーション(DX)のテーマに乗る銘柄。モバイル決済でも実績が高く、コロナ収束後の成長シナリオが描きやすい。20年3月期は営業損益が大幅黒字転換するなど実態面も追い風で、25日移動平均線をサポートラインに上昇トレンド継続が見込める。
低位株ではNaITO<7624.T>が静かに上値を慕っている。株価は200円未満で依然として出遅れ感が強い。機械工具商社であり、鉄鋼や電子部品などを取り扱う名古屋の老舗、岡谷鋼機<7485.NG>を親会社に持つ。同じく株価低位の機械商社アルテック<9972.T>が商いを膨らませ動意しており、NaITOにも物色の矛先が向かう可能性がある。25日・75日移動平均線のゴールデンクロス目前でテクニカル的も狙い目といえそうだ。
このほか、株価は4ケタ付近で瀬踏みしていた長野計器<7715.T>が上放れのタイミングが近いように見える。5月13日にストップ高に買われた後も目先筋の利益確定売りを吸収し下値を切り上げてきた。23年3月期に売上高560億円、営業利益率7%以上という新たな中期営計画は現在の株価で織り込んでいるとは思えない。また、こちらは時価総額1000億円強とやや大型だが、トプコン<7732.T>の動きが良い。国土交通省が旗振り役となっている建設業界のICT化(アイ・コンストラクション)の担い手として買い戻しが本格化する可能性がある。
日程面では、あすは4月の完全失業率、4月の有効求人倍率、4月の鉱工業生産指数(速報値)、4月の商業動態統計がいずれも朝方取引開始前に開示される。また、後場取引時間中に5月の消費動向調査、4月の住宅着工などが発表される。海外では5月の仏CPI(速報値)、5月のユーロ圏消費者物価異数(速報値)のほか、5月の米消費者態度指数(確報値)、5月の米シカゴ購買部協会景気指数、4月の米個人所得・個人支出などが予定されている。また、インド、トルコ、ブラジルの1~3月期GDPも発表される見通し。
(中村潤一)
出所:MINKABU PRESS
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