日経平均は小幅上昇、政府・日銀による積極的な対応策に注目

配信元:フィスコ
投稿:2020/03/16 12:15
 日経平均は小幅に上昇。18.54円高の17449.59円(出来高概算10億8000万株)で前場の取引を終えた。各国中央銀行による金融政策の報道を受けて、朝方から荒い値動きとなった。先週末の米国市場では、新型コロナウイルスの感染拡大が広がる中、トランプ大統領は最大500億ドル(約5兆円)の財政出動を可能にする国家非常事態を宣言。これを受けた米株高が材料視される展開が期待された。

 しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)は3日に続いて再び臨時の会合を開き、政策金利を一気に1%引き下げ、事実上のゼロ金利政策に踏み切ることを決定。市場の判断が混乱するなか、グローベックスの米株先物の弱さが嫌気される格好に。一方で、日本銀行は正午から金融政策決定会合を前倒しで開くと発表すると強弱感が対立。日経平均は寄り付き後10分程度で500円を超える荒い値動きをみせた。その後も主要7カ国
(G7)首脳による緊急のテレビ会議を日本時間の16日午後11時から開くとの報道もあり、やや期待感が先行する格好となり、小幅ながらプラス圏で前場の取引を終えた。

 東証1部の騰落銘柄は値上がり数が1700を超えており、全体の8割近くを占めている。セクターでは、空運、水産農林、陸運、証券、パルプ紙が堅調。半面、ゴム製品、鉱業、輸送用機器、保険、建設が冴えない。指数インパクトの大きいところでは、KDDI<9433>中外薬<4519>が堅調。一方で、ファミリーマート<8028>、アステラス薬<4503>京セラ<6971>が冴えない。

 日経平均はシカゴ先物にサヤ寄せするギャップアップが期待される中、シカゴ先物が1000円を超える下落で推移する中、日経平均は150円程度の上昇から始まった。その後、日本銀行が金融政策決定会合を前倒しで開くと発表を受けて、寄り付き直後には1
7726.98円まで急伸したが、その後は急速に下押す流れの中、17185.27円まで下押す局面もみられた。先物主導によるAIアルゴが発動したとみられ、短時間での荒い値動きだった。

 日経平均は朝方の10分間の荒い値動きの後は、先週末の終値を挟んでのこう着をみせている。G7首脳による緊急のテレビ会議の内容のほか、日銀の金融政策決定会合の結果を見極めたいところであろう。指数インパクトの大きいソフトバンクG<9984>、ファーストリテ<9983>などもほぼ小動きの状況であり、方向感は掴みづらいところであろう。

 とはいえ、トランプ大統領の財政出動を可能にする国家非常事態を宣言したことにより、米国はスピード感のある対応をみせてくることが考えられる。日本も政府・日銀による積極的な対応策が示されるようだと、少なからず金融市場の混乱に対してショックアブソーバー的な動きをみせてくることが期待される。
<AK>
配信元: フィスコ

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