日経平均は10日ぶり小幅反落、目先調整は想定内だがイベント見極め

配信元:フィスコ
投稿:2019/09/17 12:25
 日経平均は10日ぶり小幅反落。23.55円安の21964.74円(出来高概算6億4000万株)
で前場の取引を終えている。

 16日の米株式市場でNYダウは9日ぶりに反落し、142ドル安となった。14日にサウジアラビアの石油施設が攻撃を受け、イランの関与が疑われるなど中東情勢を巡る地政学リスクの高まりから売りが先行。原油価格が急騰し、世界経済への先行き不透明感が広がった。連休明けの日経平均もこうした流れを引き継いで40円安からスタートすると、寄り付き直後には21878.63円(109.66円安)まで下落する場面があった。ただ、円相場の下落を支えにプラス圏へ浮上し、前場中ごろには一時22041.08円(52.79円高)まで上昇するなど方向感に乏しい展開だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の3割強、対して値上がり銘柄は5割強となっている。

 個別では、ソフトバンクG<9984>が売買代金トップで3%近い下落。出資先の米シェアオフィス大手が上場を延期する見通しと伝わっている。SMC<6273>は3%超の下落。中国の8月工業生産高の伸びが鈍化し、利益確定売りがかさんだようだ。その他売買代金上位ではリクルートHD<6098>などが軟調で、ファーストリテ<9983>は小安い。エーザイ<4523>はアルツハイマー病治療薬の治験中止を受けて3%の下落。また、決算が嫌気されたヤーマン<6630>などが東証1部下落率上位に顔を出した。一方、メガバンク株やトヨタ自<7203>任天堂<7974>などはしっかり。スマートフォン向けゲームの好調を受けてスクエニHD<9684>が活況となり、コロプラ<3668>はストップ高。
また、原油価格の急騰で国際帝石<1605>などの関連銘柄が大きく買われ、コロプラとともに東証1部上昇率上位に顔を出した。セクターでは、海運業、空運業、化学などが下落率上位。反面、鉱業、石油・石炭製品、その他金融業などが上昇率上位だった。

 サウジアラビアの石油施設への攻撃を受け、連休明けの東京市場も売りが先行して始まった。米国はイランの関与を指摘しており、中東情勢が一段と緊迫化する恐れがある。しかし、トランプ米大統領が対イラン強硬派のボルトン大統領補佐官を解任し対話姿勢に舵を切っていたこと、石油供給についてはトランプ氏が備蓄放出の構えを見せたことから、市場は比較的冷静に受け止めているようだ。日経平均は先週末までの9連騰でおよそ1368円上昇し、節目の22000円に乗せる場面もあった。短期的な達成感と過熱感から目先の調整は想定内だろう。一方、ここまで一本調子の上昇が続いただけに、こうした調整局面では上昇に乗り遅れた投資家の押し目買いが入りやすい。

 ただ、今週は17~18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、18~19日に日銀金融政策決定会合が開かれる予定となっている。日米の金融政策を見極めたいとの思惑から、売りにも買いにも傾きづらい状況とも言える。連休の合間であることも個人投資家の様子見ムードにつながるだろう。後場の日経平均も先週末終値を挟み一進一退の展開が続くとみておきたい。
(小林大純)
<AK>
配信元: フィスコ

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