jojuさんのブログ
★ユーロ圏は最適通貨圏からかい離(日本化現象。角栄病)
以下、ギリシャ問題に関する議論より転載(ユーロ圏経済の問題点)
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ドイツは最適通貨圏にするために、ギリシャやら南欧やらを締めて生産性を高めさせねばならぬ、、そういう発想ではないでしょうか?
金融政策がドイツ中心なので、南欧経済にとっては引き締めが強すぎ、それで生産性を効率的に上げられるのか、という問題がありそう
ECBがドイツ中心の金融政策のままでは、ドイツと南欧の生産性格差は漸次開き、最適通貨圏からかい離していくと予想。
なぜなら、全要素生産性の向上は金融引き締めでもバブルでも効率的に行えないから。
そうなるのは生産向上には”適度な”リスク選好が最適だから。
以上を解決する抜本的方策は、金融政策だけでなく、労働者も企業もユーロ圏全体でごっちゃに混ぜること。
企業や労働に関する法制を統一し、企業も労働者も国境なく自由に行き来できるようにすること、実際に行き来するような促進策を取ること。
当然、財政政策も統一する必要があり、そうなると納税も各国政府でなく、欧州中央政府に納める必要が出てくるだろう。
こうした措置は、最適通貨圏からのかい離が広がらないうちにやらねば困難。
そうでなければ、統合してもドイツ国民の損が膨らみ、ドイツ国民の不満爆発となる。
、、、どういう経路をとっても、ユーロ圏経済は統一進展よりも解体に進む確率のほうが高いと思う。
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ユーロ圏経済の解体は欧州にとっては悪いことではない(政治同盟としての欧州共同体は維持)。
なぜなら、世界の辺境だった欧州が強くなったのは小国同士が切磋琢磨し続けてきたからであり、ユーロ圏の解体はそこに欧州を引き戻してくれるからである(欧州文化の源流?とされる古代ギリシャ文化が栄えたのも都市国家乱立時。 マケドニアによる統一後は逆に衰退)
欧州統一はむしろ、欧州経済の凋落につながり、欧州の民主主義を衰退させる可能性が高い。
そうなるのは、民主主義の基盤は、市民の経済力増大とそれにより権力の分立だが、経済低迷で市民の経済力低下となり、欧州統一で官僚機構に権力集中となるからである(後者は経済低落の強力な原因でもある)。
それは、巨大な官僚機構に権力が集中し(一種の社会主義化)、経済的に凋落した市民(市民の代表たる政治家や企業も)がその言いなりになる構図、、、経済低迷長期化の日本で見られるのと同じ構図(日本化現象)である。
欧州諸国間で世界大戦の悲劇を繰り返さないためには、政治同盟としての欧州共同体だけでよく、経済統一や官僚機構の統一は不要。
むしろ、それらは欧州諸民族間の軋轢を高めることになりかねない(南欧経済の不安定化=欧州の左傾化と併せ、隣の独裁国家・ロシアには好都合な状況になる)
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経済論壇で良く見られるのは、ユーロ圏の維持には、金融政策の統一と同時に財政政策の統一が必要との論説。
金融政策がドイツ中心な以上、金融引き締め的になる南欧には、ドイツが財政出動で景気浮揚を図るべきということ。
これはありていに言えば、金融政策と財政政策のバーターである。
これは正しいか?
おそらく間違っている。
それは金融政策と財政政策は、政策目的も政策の影響度も政策の時間軸も異なるからである。
目的・・・金融政策は景気の中立化。 財政政策の主目的は不況時の労働者救済。
(財政政策は通貨量を変えないので景気(通貨流動性)に持続的効果を持たない)
影響度・・・金融政策は景気と為替をコントール出来る。財政政策にはそれが出来ない。
(財政政策は為替をコントロール出来ないので、海外の金融政策の自国波及には無力)
時間軸・・・金融政策の影響は緩慢だが持続的。財政政策は即効性があるが短期的。
(財政政策は即効性がある反面、景気を持続的に変えられない。 財政政策で持続的に
景気を支えようとすると資源配分のひずみ=生産性の低迷=財政悪化を起こす。 い
わゆる日本化現象である。 日本では、景気抑制的な金融政策と「景気対策」名目の
財政出動(実態は財政政策を通じた特定有権者への所得再分配(税金詐取)。角栄
病)が長期間行われ、財政悪化、政府債務・政府資産の増大、国民負担率の増大、公
的部門への資金・資産の集中、経済成長の低落が劇的に進み、景気低迷の長期化で少
子化、人口減に至った)
、、、つまり、金融政策と財政政策はバーター出来ない。
財政政策は、金融政策の不始末を短期的にカバーする施策に過ぎず(金融政策のミスでの恐慌時に労働者を即効的に一時的に救済する施策)、中長期的には(市場原理が働かない政府経由ゆえ)資源配分を歪ませ生産性低下要因になるので、財政・金融のバーターは最適通貨圏からのかい離を促進する方向(もしくはドイツ国民の負担増大方向)に作用するだろう
(補足)角栄病とその治療: かつては建設業、公共事業所管官庁を中心に見られたが、現在では医療・福祉、環境、文教、産業政策所管官庁など多くの省庁に広がっており、そのため与野党にまたがって感染している。 省庁と利権団体の一体化が進み(利権団体の子息が省庁に就職等)、以前よりも重症化。 税金を沢山分捕ってばらまく(=フトコロに入れる)行為を際限なく麻薬患者的に繰り返すので、税率と政府債務の右肩上がり傾向が止まらなくなる。 バラまき拡大の名目を立てるため、火の無いところに煙を立てるデマ拡散や景気抑制にやっきになる副次的症状もある。
自民党で発症するようになったが、大元の感染源は、財源無視の福祉バラマキで票集めを進めた社会党・共産党など左翼政党(現在は民主党がメイン)。
治療には、景気中立の金融政策を続けることがポイントで、これによりバラマキ名目を無くすことが出来る。 同時に、景気浮揚での本業利益のほうが、(役所からの)バラマキ利益より格段に大きいことを利権団体に実感させることが出来るので、利権団体の病毒性も無くせる。 また、不況が短期化するので、感染源たる左翼政党の根絶にも効果的である。
景気中立の金融政策になってるか否かは、主としてインフレ率2%の維持、副次的に民間債務の適正さ、株式・不動産など資産価格の適正さから判断出来る。
角栄病の治療により日本化現象(①社会主義化、官僚支配、経済停滞、民主主義と自由経済の形骸化、②バラマキ拡大、不公正の拡大、公的部門の肥大化、財政悪化、経済成長低迷、国民負担率増大)も漸次改善されていく。
なお、持続的な予防には、官庁幹部の民間からの登用、政権毎の幹部入れ替え、官庁採用の公正化など、官庁にも市場原理を働かせることが必要である(市場原理(公正原理)から隔離されたエリアは常に感染源になりうるので)。
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