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天昇電気工業のニュース
■業績動向
1. 2020年3月期の業績概要
(1) 損益状況
天昇電気工業<6776>の2020年3月期の連結業績は、売上高18,351百万円(前期比4.1%増)、営業利益1,044百万円(同10.0%増)、経常利益1,022百万円(同4.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益700百万円(同18.9%増)となった。
営業増益とはなったが、主要因は減価償却費の減少(前期比253百万円減)であり、償却前営業利益は前期比7.0%減の2,091百万円であった。主な向け先である自動車関連部品メーカーからの需要は、上半期までは比較的好調であったが、下半期に入りスローダウンした。特に米中貿易摩擦の影響もあり米国での販売が低調に推移したことが同社への需要にも響いた。ただし日系自動車メーカー間では販売に差が出始めており、同社の主たる向け先メーカー(トヨタ自動車<7203>及びSUBARU<7270>)は相対的には良かったこと、さらに同社製品を採用している車種の販売も比較的好調だったようで、同社への影響は最小限にとどまったと言える。
また営業外損益では、前期は営業外収益で為替差益32百万円、保険受取金13百万円が発生したのに対し、2020年3月期は営業外費用で為替差損が29百万円発生したことなどから経常利益の伸びは営業利益を下回った。また特別損益では、前期は特別損失として固定資産圧縮損79百万円、段階取得に係る差損58百万円を計上したが、2020年3月期はこれらが消失したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比18.9%の増益となった。
(2) セグメント別状況
同社で公表されているセグメント別状況は地域別となっており、同社の事業の本来の姿を理解するためにはこの区分はあまり意味がない。主要顧客の生産増などから「日本成形関連事業」の売上高は15,871百万円(前期比1.3%増)となった。減価償却費や梱包資材等の先行経費負担がピークアウトしたことなどからセグメント利益は664百万円(同6.6%増)と増収率を上回る増益率となった。「中国成形関連事業」の売上高は443百万円(同15.8%増)、セグメント利益は41百万円(同59.4%増)となり、金額は小さいが増収増益を維持した。子会社の株式追加取得により前期から新たにセグメントに追加された「アメリカ成形関連事業」の売上高は1,746百万円(同37.1%増)、セグメント利益は113百万円(同83.7%増)となり、大幅増益となった。「不動産関連事業」は、売上高289百万円(同4.3%減)、セグメント利益223百万円(同5.5%減)となった。海外事業が連結利益に貢献し始めていることは注目に値するだろう。
(3) 設備投資額と減価償却費
2020年3月期の設備投資額(有形固定資産取得額)は2,178百万円(前期は809百万円)であった。主に矢吹第二工場への投資を行ったが、投資レベルとしてはピークを越した。この結果、減価償却費は1,047百万円(同1,300百万円)となった。こちらも峠を越したと言えるが、2020年9月に矢吹工場が竣工し減価償却費が発生することから、2021年3月期以降は再び減価償却費が増加する可能性が高い。
財務内容は改善しつつあり、自己資本比率は38.8%へ上昇
2. 財務状況とキャッシュ・フローの状況
2020年3月期末の財務状況は以下のようになった。流動資産は7,864百万円(前期末比576百万円減)となったが、主要科目では現金及び預金が前期末比34百万円増、売上債権(電子記録債権含む)が同451百万円減、たな卸資産が同107百万円減となった。固定資産は9,234百万円(同1,597百万円増)となったが、内訳は有形固定資産が同1,685百万円増、投資その他の資産が同73百万円減であった。この結果、資産合計は17,099百万円(同1,022百万円増)となった。
流動負債は7,475百万円(同278百万円増)となったが、主な変動は、営業外電子記録債務の増加216百万円などである。固定負債は2,546百万円(同28百万円減)となったが、主に長期借入金の増加72百万円、リース債務の減少190百万円などによる。純資産は7,077百万円(同772百万円増)となったが、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加650百万円などによる。この結果、2020年3月期末の自己資本比率は38.8%となり前期末(36.6%)から2.2ポイント改善した。
また2020年3月期の営業活動によるキャッシュ・フローは2,317百万円の収入となったが、主な収入は税金等調整前当期純利益の計上994百万円、減価償却費1,047百万円、売上債権の減少445百万円、たな卸資産の減少102百万円などで、主な支出は、仕入債務の減少8百万円などであった。投資活動によるキャッシュ・フローは2,083百万円の支出となったが、主な支出は有形固定資産の取得による支出2,178百万円などによる。財務活動によるキャッシュ・フローは74百万円の支出となったが、主な収入は長短借入金の増加(ネット)16百万円、自己株式の売却による収入174百万円、主な支出はリース債務の返済214百万円による。この結果、現金及び現金同等物は143百万円増加し、2020年3月期末の残高は3,008百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<EY>
1. 2020年3月期の業績概要
(1) 損益状況
天昇電気工業<6776>の2020年3月期の連結業績は、売上高18,351百万円(前期比4.1%増)、営業利益1,044百万円(同10.0%増)、経常利益1,022百万円(同4.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益700百万円(同18.9%増)となった。
営業増益とはなったが、主要因は減価償却費の減少(前期比253百万円減)であり、償却前営業利益は前期比7.0%減の2,091百万円であった。主な向け先である自動車関連部品メーカーからの需要は、上半期までは比較的好調であったが、下半期に入りスローダウンした。特に米中貿易摩擦の影響もあり米国での販売が低調に推移したことが同社への需要にも響いた。ただし日系自動車メーカー間では販売に差が出始めており、同社の主たる向け先メーカー(トヨタ自動車<7203>及びSUBARU<7270>)は相対的には良かったこと、さらに同社製品を採用している車種の販売も比較的好調だったようで、同社への影響は最小限にとどまったと言える。
また営業外損益では、前期は営業外収益で為替差益32百万円、保険受取金13百万円が発生したのに対し、2020年3月期は営業外費用で為替差損が29百万円発生したことなどから経常利益の伸びは営業利益を下回った。また特別損益では、前期は特別損失として固定資産圧縮損79百万円、段階取得に係る差損58百万円を計上したが、2020年3月期はこれらが消失したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比18.9%の増益となった。
(2) セグメント別状況
同社で公表されているセグメント別状況は地域別となっており、同社の事業の本来の姿を理解するためにはこの区分はあまり意味がない。主要顧客の生産増などから「日本成形関連事業」の売上高は15,871百万円(前期比1.3%増)となった。減価償却費や梱包資材等の先行経費負担がピークアウトしたことなどからセグメント利益は664百万円(同6.6%増)と増収率を上回る増益率となった。「中国成形関連事業」の売上高は443百万円(同15.8%増)、セグメント利益は41百万円(同59.4%増)となり、金額は小さいが増収増益を維持した。子会社の株式追加取得により前期から新たにセグメントに追加された「アメリカ成形関連事業」の売上高は1,746百万円(同37.1%増)、セグメント利益は113百万円(同83.7%増)となり、大幅増益となった。「不動産関連事業」は、売上高289百万円(同4.3%減)、セグメント利益223百万円(同5.5%減)となった。海外事業が連結利益に貢献し始めていることは注目に値するだろう。
(3) 設備投資額と減価償却費
2020年3月期の設備投資額(有形固定資産取得額)は2,178百万円(前期は809百万円)であった。主に矢吹第二工場への投資を行ったが、投資レベルとしてはピークを越した。この結果、減価償却費は1,047百万円(同1,300百万円)となった。こちらも峠を越したと言えるが、2020年9月に矢吹工場が竣工し減価償却費が発生することから、2021年3月期以降は再び減価償却費が増加する可能性が高い。
財務内容は改善しつつあり、自己資本比率は38.8%へ上昇
2. 財務状況とキャッシュ・フローの状況
2020年3月期末の財務状況は以下のようになった。流動資産は7,864百万円(前期末比576百万円減)となったが、主要科目では現金及び預金が前期末比34百万円増、売上債権(電子記録債権含む)が同451百万円減、たな卸資産が同107百万円減となった。固定資産は9,234百万円(同1,597百万円増)となったが、内訳は有形固定資産が同1,685百万円増、投資その他の資産が同73百万円減であった。この結果、資産合計は17,099百万円(同1,022百万円増)となった。
流動負債は7,475百万円(同278百万円増)となったが、主な変動は、営業外電子記録債務の増加216百万円などである。固定負債は2,546百万円(同28百万円減)となったが、主に長期借入金の増加72百万円、リース債務の減少190百万円などによる。純資産は7,077百万円(同772百万円増)となったが、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加650百万円などによる。この結果、2020年3月期末の自己資本比率は38.8%となり前期末(36.6%)から2.2ポイント改善した。
また2020年3月期の営業活動によるキャッシュ・フローは2,317百万円の収入となったが、主な収入は税金等調整前当期純利益の計上994百万円、減価償却費1,047百万円、売上債権の減少445百万円、たな卸資産の減少102百万円などで、主な支出は、仕入債務の減少8百万円などであった。投資活動によるキャッシュ・フローは2,083百万円の支出となったが、主な支出は有形固定資産の取得による支出2,178百万円などによる。財務活動によるキャッシュ・フローは74百万円の支出となったが、主な収入は長短借入金の増加(ネット)16百万円、自己株式の売却による収入174百万円、主な支出はリース債務の返済214百万円による。この結果、現金及び現金同等物は143百万円増加し、2020年3月期末の残高は3,008百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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