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日経平均は3日ぶり大幅反発、ひとまず自律反発も「慎重姿勢広がる」

配信元:フィスコ
投稿:2021/12/21 12:16
 日経平均は3日ぶり大幅反発。559.02円高の28496.83円(出来高概算5億1000万株)
で前場の取引を終えている。

 週明け20日の米株式市場でNYダウは大幅に3日続落し、433ドル安となった。世界的に新型コロナウイルス感染者数の増加やそれに伴う規制強化の動きが広がり、来年1月に開催予定だった世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)が延期されることが伝わると、投資家心理が一段と悪化した。また、バイデン政権が推し進める歳出案の早期成立の見込みが立たず、エコノミストが経済成長見通しを引き下げたことも嫌気された。ただ、NYダウは一時700ドル近く下落したものの、その後買い戻しが入って下げ幅を縮小。ここ2日で1100円あまり下落していた日経平均も、本日は買い戻しや自律反発期待の買いが先行して371円高からスタートした。香港ハンセン指数の反発や時間外取引でのNYダウ先物の上昇も支援材料となり、28518.70円(580.89円高)まで上昇する場面があった。

 個別では、レーザーテック<6920>任天堂<7974>東エレク<8035>が3%超上昇しているほか、ソフトバンクG<9984>、トヨタ自<7203>郵船<9101>といったその他売買代金上位も全般堅調。新型コロナ飲み薬が変異株「オミクロン型」にも有効との初期分析を発表した塩野義<4507>は7%近く上昇している。業績予想の修正を発表したあすか製薬HD<4886>も急反発。また、クラウディア<3607>などが東証1部上昇率上位に顔を出している。一方、売買代金上位ではZHD<4689>が逆行安となり、ソフトバンク<
9434>も小幅に下落。売上計上時期を巡る社内調査実施を発表した日本M&A<2127>、業績下方修正を発表した日機装<6376>は売りがかさみ、井筒屋<8260>などとともに東証1部下落率上位に顔を出している。

 セクターでは、全33業種がプラスとなり、その他製品、不動産業、証券、金属製品、ゴム製品などが上昇率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の86%、対して値下がり銘柄は11%となっている。

 NYダウなどの海外株価指数が下げ一服となったことを受け、本日の日経平均も大幅反発する展開となっている。ここ2日の下げ幅の半分ほどを取り戻し、日足チャート上では28500円近辺に位置する5日移動平均線水準を回復する場面もあった。塩野義の飲み薬の有効性が確認され、新型コロナ「オミクロン型」感染拡大への懸念が和らいだとの見方があるほか、前日に中国の景気減速懸念から大きく売られた香港株がひとまず反発していることも安心感につながった可能性がある。東証1部銘柄の9割近くが上昇し、業種別でも全33セクターが上昇する全面高の展開。ただ、ここまでの東証1部売買代金は1兆1000億円あまりにとどまっている。年末年始を前に取引参加者は少なくなっているようだ。

 新興市場でもマザーズ指数が+1.80%と3日ぶり反発。時価総額トップのメルカリ<4385>などが上昇し、売買代金トップのサイエンスアーツ<4412>も急反発している。ただ、前日上場したヒュウガプライマ<7133>とグローバルセキュ<4417>は揃って大きく下落。前の週の新規上場銘柄が振るわず、今週からのIPO(新規株式公開)ラッシュに不安もあったが、ヒュウガプライマやグローバルセキュは公開価格を4割ほど上回る堅調な初値を付けた。もっとも、これら2銘柄が本日大きく下落しているのを見ると、IPOラッシュ中とあって投資資金の足は速そうだ。

 なお、本日東証2部に新規上場した湖北工業<6524>は公開価格比+32.5%という初値を付け、マザーズ上場のラバブルマーケ<9254>はまだ買い気配が続いている。一方、東証2部上場のライフドリンクC<2585>とマザーズJDR(外国株信託受益証券)上場のYCP<9257>は公開価格割れスタートとなり、初値買い人気が二極化している印象を受ける。明日22日はFinatext<4419>やリニューアブル<9522>など6社が新規上場し、これらIPO銘柄の動向がより注目されそうだ。また、11月後半から大幅下落を強いられてきたマザーズ指数だが、最近のマザーズ指数先物の売買高の増加を見ると、IPOラッシュ通過後の持ち直しを期待できるかもしれない。

 さて、直近の大幅下落による値ごろ感などから国内外の株式相場はひとまず反発した。ただ、海外では新型コロナ「オミクロン型」感染拡大が続き、たのみの米歳出案も米民主党マンチン上院議員の反対で早期成立が見通しづらくなった。米金融大手ゴールドマン・サックスはこれを踏まえ、来年の米GDP(質国内総生産)成長率予想を下方修正。来年11月の米中間選挙に向けて、与野党対立どころか米民主党内の足並みの乱れが露呈したことも注意しておく必要があるだろう。

 また、主要中央銀行のタカ派姿勢への傾斜も引き続き懸念材料だ。米金融大手バンク・オブ・アメリカ(BofA)などは、量的緩和時代は終えんに向かうとして弱気の投資スタンスを示している。実際、実需筋が多いとされるBofA証券の東証株価指数(TOPIX)先物の取引手口を見ると、ここ数日売り越しに傾いてきた。

 こうしたグローバルな投資家・市場関係者の慎重姿勢を見ると、本日の日経平均は薄商いのなか短期筋主導で自律反発しているに過ぎないと考えざるを得ない。アジア市場では香港ハンセン指数が既に失速気味で、後場の日経平均も節目意識の働きやすい5日移動平均線水準で一進一退の展開になるとみておきたい。
(小林大純)
<AK>
配信元: フィスコ
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