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コスモエネルギーホールディングスのニュース
日経平均は3日ぶり反発。74.78円高の26168.45円(出来高概算4億907万株)で前場の取引を終えている。
29日の米株式市場でダウ平均は345.09ドル高(+1.04%)と反発。投資家の節税対策の損出し売りが一巡し、来年に向けた買い戻しが先行。週次新規失業保険申請件数が予想通り増加したことで金利が低下し、ハイテク株を中心に買い戻しが入り、主要株価指数は終日堅調に推移した。ナスダック総合指数は+2.59%と大幅反発。米国株高を引き継いで日経平均は194.33円高からスタート。米長期金利の上昇一服を支援要因にハイテク株中心に買い戻しが先行したが、来年の景気後退に対する懸念や金利先高観も拭えない中、戻り待ちの売りから寄り付き直後から失速する展開となった。
個別では、川崎汽船<9107>、商船三井<9104>の海運、日産自<7201>、マツダ<7261>、三菱自<7211>の輸送用機器が堅調。米アップルのスマートフォン「iPhone」の上位モデル「Pro」シリーズの生産が回復してきているとの報道を受け、TDK<6762>、イビデン<4062>、新光電工<6967>、村田製<6981>など電子部品もしっかり。三菱UFJ<8306>、第一生命HD<8750>など金融も買い優勢。資生堂<4911>、OLC<4661>など内需系の一角も高い。通期計画の上方修正と増配を発表したアダストリア<2685>は急伸。一方、米ナスダック高を好感しきれずレーザーテック<6920>、東エレク<8035>のほか、リクルートHD<6098>、サイボウズ<4776>などハイテク・グロース株の一角が安い。INPEX<1605>、コスモエネHD<5021>、住友商事<8053>など資源関連も軟調。
セクターでは、海運、ガラス・土石、保険が上昇率上位となった一方、食料品、鉱業、水産・農林が下落率上位となった。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の72%、対して値下がり銘柄は22%となっている。
前日のナスダック指数が2%超、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は3%超も反発したものの、日経平均は寄り天井で何とも冴えない展開。来年の景気後退が懸念される中、今年は「掉尾の一振」は起こらず、市場の陰鬱なムードが年末最後まで続く形となった。さて、当コンテンツも今年は本日が最後ということで、今日は少し中長期的な視点から、来年、2023年の見通しについてまとめてみたいと思う。メインシナリオとそれが外れた場合のリスクシナリオについて順に説明していく。
まず、今の株式市場が考えているメインシナリオは、来年前半は厳しくても、年後半は明るい展望が描けるのではないかというものだ。具体的には、年前半は、各国中央銀行による金融引き締めの継続や世界経済の景気後退に伴い、企業業績の悪化を通じて株価が下値模索になるという予想。一方、年半ば頃から、具体的には全国人民代表大会が開催される3月以降には、中国での新型コロナ感染も沈静化し、ゼロコロナ政策のさらなる緩和と景気対策により、中国経済が本格回復に向かうことが予想されている。
また、米国経済も、年後半には、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ沈静化と景気後退を理由に利下げに転じることで、景気が底入れしていくことが、フェデラルファンド(FF)金利先物市場からは見て取れる。つまり、スタグフレーション(インフレと景気後退の併存)色が強まる欧州は一年を通じて厳しいものの、米中2大国の景気が年央から底入れすることで、株式市場も上昇に転じていくというシナリオだ。
これに対してリスクシナリオとしては、インフレが想定以上に長期化して、各国中央銀行による金融引き締めも長期化、市場が現在予想している来年後半のFRBの利下げ転換も実現されず、景気も底入れするどころか、むしろ一段と悪化していくというものだ。それでは、このリスクシナリオの前提となっている、インフレが想定以上に長期化する可能性について説明していきたい。
米国ではすでにモノのインフレは沈静化して、残る問題はサービス分野のインフレのみと言われている。しかし、そのサービス分野のインフレを左右する労働市場の逼迫は続いたままで、収束する兆しがまだ見られていない。この労働市場の逼迫の背景としては低い労働参加率が指摘されている。コロナ禍当初は感染を恐れて一時的に働くことをやめている人、学校が休校のために育児で休業を強いられている人のほか、大規模な財政政策に支えられ当面働かなくても食べていけるために仕事に就いていない人たちなどが多くいた。これが低い労働参加率に繋がっているとされ、あくまで一時的な要因として考えられていた。
しかし、新型コロナの感染が収まり、財政政策によって一時蓄えられた貯金が消費され尽くしてからも、労働参加率は低いままである。こうした事態を受けて、どうやら本当の理由はもっと構造的なものなのではないかということが指摘されるようになってきた。そこで、いま指摘されているのが、従来から言われているコロナを契機に早期退職した人たちに加え、コロナによって亡くなった人の数と移民の不足だ。具体的には、米国ではコロナ感染により100万人以上の人が亡くなったが、そのうち半分の50万人は労働者だったと言われている。また、コロナ以降、移民の数が減少していて、レモンド米商務長官は移民が100万人足りないと言及しているという。
つまり、これまで一時的と考えられていた低い労働参加率は実はもっと構造的なもので、時間が解決するといった単純なものではないのではないかということが懸念されてきている。また、来年は年半ば頃から中国経済が回復に向かう可能性があると先述したが、世界経済の要である中国経済が回復するとなれば、エネルギーや非鉄金属などの資源価格が再び高騰する可能性があり、すでに沈静化したとされているモノのインフレまでもが再び問題に発展する可能性がある。
話しをまとめると、米国での労働市場の構造的な需給逼迫によりサービス分野のインフレが長期化する可能性があること、また、中国経済の回復により、すでに沈静化したとされているモノのインフレも再燃する可能性があること、これらが実際に起こった場合には、いま市場が期待しているようなFRBの利下げは当然期待できないし、景気減速下で高水準の金利が据え置かれることで景気も底入れするどころか、景気後退がより深刻に、より長期化する可能性すらあるということになる。これがリスクシナリオの全貌であり、この場合、株価は年後半も下値模索の展開を強いられることになるだろう。
もっとも、暗い事ばかり言っていては、株式投資は始まらない。夜明け前が最も暗いとも言われ、誰もが買いたくないような時こそ買い場であったということもよくある話だ。全体相場観については、個人的には夜明けにはまだ時間がかかると見ているが、個別で言えば、景気動向と連動性の低い内需系グロース株などはすでに中長期目線で買い場が訪れていると考える。2023年、年明けは米国でISM製造業・サービス業景気指数や米連邦公開市場委員会(FOMC議事録)(12月開催分)、雇用統計など重要イベントが目白押しだ。スケジュール的にも目先は強気になりにくいだろうが、年末特有の節税対策の損出し売りなども一巡したこともあり、リオープン・インバウンド関連などの手堅いところと合わせて内需系グロース株などを一考してもよいだろう。
(仲村幸浩)
<AK>
29日の米株式市場でダウ平均は345.09ドル高(+1.04%)と反発。投資家の節税対策の損出し売りが一巡し、来年に向けた買い戻しが先行。週次新規失業保険申請件数が予想通り増加したことで金利が低下し、ハイテク株を中心に買い戻しが入り、主要株価指数は終日堅調に推移した。ナスダック総合指数は+2.59%と大幅反発。米国株高を引き継いで日経平均は194.33円高からスタート。米長期金利の上昇一服を支援要因にハイテク株中心に買い戻しが先行したが、来年の景気後退に対する懸念や金利先高観も拭えない中、戻り待ちの売りから寄り付き直後から失速する展開となった。
個別では、川崎汽船<9107>、商船三井<9104>の海運、日産自<7201>、マツダ<7261>、三菱自<7211>の輸送用機器が堅調。米アップルのスマートフォン「iPhone」の上位モデル「Pro」シリーズの生産が回復してきているとの報道を受け、TDK<6762>、イビデン<4062>、新光電工<6967>、村田製<6981>など電子部品もしっかり。三菱UFJ<8306>、第一生命HD<8750>など金融も買い優勢。資生堂<4911>、OLC<4661>など内需系の一角も高い。通期計画の上方修正と増配を発表したアダストリア<2685>は急伸。一方、米ナスダック高を好感しきれずレーザーテック<6920>、東エレク<8035>のほか、リクルートHD<6098>、サイボウズ<4776>などハイテク・グロース株の一角が安い。INPEX<1605>、コスモエネHD<5021>、住友商事<8053>など資源関連も軟調。
セクターでは、海運、ガラス・土石、保険が上昇率上位となった一方、食料品、鉱業、水産・農林が下落率上位となった。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の72%、対して値下がり銘柄は22%となっている。
前日のナスダック指数が2%超、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は3%超も反発したものの、日経平均は寄り天井で何とも冴えない展開。来年の景気後退が懸念される中、今年は「掉尾の一振」は起こらず、市場の陰鬱なムードが年末最後まで続く形となった。さて、当コンテンツも今年は本日が最後ということで、今日は少し中長期的な視点から、来年、2023年の見通しについてまとめてみたいと思う。メインシナリオとそれが外れた場合のリスクシナリオについて順に説明していく。
まず、今の株式市場が考えているメインシナリオは、来年前半は厳しくても、年後半は明るい展望が描けるのではないかというものだ。具体的には、年前半は、各国中央銀行による金融引き締めの継続や世界経済の景気後退に伴い、企業業績の悪化を通じて株価が下値模索になるという予想。一方、年半ば頃から、具体的には全国人民代表大会が開催される3月以降には、中国での新型コロナ感染も沈静化し、ゼロコロナ政策のさらなる緩和と景気対策により、中国経済が本格回復に向かうことが予想されている。
また、米国経済も、年後半には、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ沈静化と景気後退を理由に利下げに転じることで、景気が底入れしていくことが、フェデラルファンド(FF)金利先物市場からは見て取れる。つまり、スタグフレーション(インフレと景気後退の併存)色が強まる欧州は一年を通じて厳しいものの、米中2大国の景気が年央から底入れすることで、株式市場も上昇に転じていくというシナリオだ。
これに対してリスクシナリオとしては、インフレが想定以上に長期化して、各国中央銀行による金融引き締めも長期化、市場が現在予想している来年後半のFRBの利下げ転換も実現されず、景気も底入れするどころか、むしろ一段と悪化していくというものだ。それでは、このリスクシナリオの前提となっている、インフレが想定以上に長期化する可能性について説明していきたい。
米国ではすでにモノのインフレは沈静化して、残る問題はサービス分野のインフレのみと言われている。しかし、そのサービス分野のインフレを左右する労働市場の逼迫は続いたままで、収束する兆しがまだ見られていない。この労働市場の逼迫の背景としては低い労働参加率が指摘されている。コロナ禍当初は感染を恐れて一時的に働くことをやめている人、学校が休校のために育児で休業を強いられている人のほか、大規模な財政政策に支えられ当面働かなくても食べていけるために仕事に就いていない人たちなどが多くいた。これが低い労働参加率に繋がっているとされ、あくまで一時的な要因として考えられていた。
しかし、新型コロナの感染が収まり、財政政策によって一時蓄えられた貯金が消費され尽くしてからも、労働参加率は低いままである。こうした事態を受けて、どうやら本当の理由はもっと構造的なものなのではないかということが指摘されるようになってきた。そこで、いま指摘されているのが、従来から言われているコロナを契機に早期退職した人たちに加え、コロナによって亡くなった人の数と移民の不足だ。具体的には、米国ではコロナ感染により100万人以上の人が亡くなったが、そのうち半分の50万人は労働者だったと言われている。また、コロナ以降、移民の数が減少していて、レモンド米商務長官は移民が100万人足りないと言及しているという。
つまり、これまで一時的と考えられていた低い労働参加率は実はもっと構造的なもので、時間が解決するといった単純なものではないのではないかということが懸念されてきている。また、来年は年半ば頃から中国経済が回復に向かう可能性があると先述したが、世界経済の要である中国経済が回復するとなれば、エネルギーや非鉄金属などの資源価格が再び高騰する可能性があり、すでに沈静化したとされているモノのインフレまでもが再び問題に発展する可能性がある。
話しをまとめると、米国での労働市場の構造的な需給逼迫によりサービス分野のインフレが長期化する可能性があること、また、中国経済の回復により、すでに沈静化したとされているモノのインフレも再燃する可能性があること、これらが実際に起こった場合には、いま市場が期待しているようなFRBの利下げは当然期待できないし、景気減速下で高水準の金利が据え置かれることで景気も底入れするどころか、景気後退がより深刻に、より長期化する可能性すらあるということになる。これがリスクシナリオの全貌であり、この場合、株価は年後半も下値模索の展開を強いられることになるだろう。
もっとも、暗い事ばかり言っていては、株式投資は始まらない。夜明け前が最も暗いとも言われ、誰もが買いたくないような時こそ買い場であったということもよくある話だ。全体相場観については、個人的には夜明けにはまだ時間がかかると見ているが、個別で言えば、景気動向と連動性の低い内需系グロース株などはすでに中長期目線で買い場が訪れていると考える。2023年、年明けは米国でISM製造業・サービス業景気指数や米連邦公開市場委員会(FOMC議事録)(12月開催分)、雇用統計など重要イベントが目白押しだ。スケジュール的にも目先は強気になりにくいだろうが、年末特有の節税対策の損出し売りなども一巡したこともあり、リオープン・インバウンド関連などの手堅いところと合わせて内需系グロース株などを一考してもよいだろう。
(仲村幸浩)
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