2,136円
ダブルスタンダードのニュース
日経平均は続落。72.93円安の27006.66円(出来高概算6億2000万株)で前場の取引を終えている。
週明け14日の米株式市場でNYダウは3日続落し、171ドル安となった。緊迫するウクライナ情勢への懸念に加え、セントルイス連銀のブラード総裁が金融引き締めを前倒しで実施する必要性を強調したことから、一時400ドルを超える下落となった。その後、ロシアのプーチン大統領がウクライナ問題の外交的解決の可能性を示し下げ渋る場面もあったが、米政府がキエフにある大使館の移転計画を明らかにすると、引けにかけて再び売りに押された。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数はほぼ変わらず。前日に600円あまり下落した日経平均だが、本日は良好な企業決算などを支えに押し目買いが先行する形で103円高からスタートした。ただ、外部環境の不透明感から戻りを試す動きは限られ、早々にマイナス転換すると26933.87円(145.72円安)まで下落する場面があった。
個別では、ソフトバンクG<9984>、トヨタ自<7203>、東エレク<8035>、ソニーG<6758>などがさえない。決算発表銘柄では日本郵政<6178>が3%の下落となり、リクルートHD<6098>やクボタ<6326>、ゆうちょ銀行<7182>は急落。また、Dスタンダード<3925>が東証1部下落率トップとなり、ネットプロHD<7383>はストップ安を付けている。一方、売買代金トップのレーザーテック<6920>は堅調。決算が好感されたSMC<
6273>は4%超上昇し、これにつれてかキーエンス<6861>も買い優勢だ。キリンHD<2503>はミャンマー事業撤退や自社株買い実施を受けて買われている。その他の決算発表銘柄では日ペHD<4612>やコーセー<4922>、住友林<1911>などが急伸。また、朝日インテック<7747>がストップ高を付け、スノーピーク<7816>はストップ高水準での買い気配が続いている。
セクターでは、サービス業、保険業、鉱業などが下落率上位。一方、ゴム製品、小売業、倉庫・運輸関連業などが上昇率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の34%、対して値上がり銘柄は61%となっている。
本日の日経平均は朝方こそ押し目買いが先行したものの、その後おおむねマイナス圏で推移して前場を折り返した。日足チャートを見ると27000円近辺で下げ渋る動きだが、連日の陰線形成にムードの悪さは拭えない。前日に5日移動平均線を割り込んだことで値動き良化への期待は後退か。改めて、10日に下降する25日移動平均線を一時上回ったところが戻り売り機会だったという見方もできる。規模別指数では大型が軟調だが、中型や小型はまずまず堅調。前引けの日経平均が-0.27%なのに対し、東証株価指数(TOPIX)は-0.23%。ここまでの東証1部売買代金は1兆4000億円あまりで、前日までと比べやや減少している印象だ。
決算発表銘柄ではSMCなど好反応を示すものも少なからずあるとはいえ、比較的評価の高いリクルートHDの急落に売り圧力の強さが感じられる。医療器具の朝日インテック、アウトドア・キャンプ用品のスノーピークなど、業績鈍化・落ち込み懸念を打ち返した企業の方が戻り余地の大きさから買いが入りやすいものと考えられる。
新興市場ではマザーズ指数が-0.04%と続落。前日の米市場でハイテク株の一角に押し目買いが入った流れから、マザーズ指数も朝方の売りが一巡すると前日終値近辺で推移している。東証1部の中小型株と同様、個人投資家の物色意欲は根強いことが窺える。一方、マザーズ指数は前日に-4.54%という大幅下落を強いられており、戻りの鈍い印象も拭えない。また、前日に決算発表したFRONTEO<2158>の動向も注目したい。取引時間中に売買成立する場面もあったが、前引け時点ではストップ安水準での売り気配。同社は個人投資家に人気が高く、信用買い残も相応に高水準となっている。個人投資家の資金余力やセンチメントの更なる悪化が懸念される。
さて、前日の米市場ではウクライナ情勢の緊迫化などから原油先物相場(ウエスト・テキサス・インターミディエート、WTI3月物)の上昇が続き、1バレル=95.46ドル(+2.36ドル)となった。これが意識されてか、期待インフレ率の指標とされる10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)も2.48%(+0.05pt)に上昇した。
こうしたインフレ圧力の高まりから金融引き締め観測も強く、米債券市場では短期の年限を中心に金利が上昇。2年1.57%(+0.07pt)、10年1.99%(+0.05%)となった。利回り曲線(イールドカーブ)の平たん化(フラットニング)は一段と進む格好となっている。セントルイス連銀のブラード総裁はインフレ対応が遅れれば米連邦準備理事会(FRB)への「信頼性が損なわれる可能性がある」としたうえで、「計画されている緩和解除を従来よりも前倒しする必要がある」などと発言したという。
市場関係者からは「米長期金利の上昇余地は限られる」といった声も根強く聞かれる。しかし、米金融大手バンク・オブ・アメリカ(BofA)の調査では欧州投資家が社債を売り、現金の保有比率を高めていることがわかったなどと米メディアが報じている。米金融大手ゴールドマン・サックスは資産配分における社債の投資判断を引き下げ、逆に現金を引き上げた。これまでの金利上昇(債券価格の下落)で債券投資家の多くは損失が出ているものとみられている。債券投資家の現金選好が一段と強まる可能性もあるだろう。
結局のところ株式投資家の押し目買い意欲が根強いといえ、外部環境の不透明感は拭いづらい。また、今週も16日の米連邦公開市場委員会(FOMC、1月25~26日開催)議事録公表を始め、米中の主要経済指標の発表など注目イベントは多い。後場の日経平均も引き続き戻りの鈍い展開になるとみておきたい。
(小林大純)
<AK>
週明け14日の米株式市場でNYダウは3日続落し、171ドル安となった。緊迫するウクライナ情勢への懸念に加え、セントルイス連銀のブラード総裁が金融引き締めを前倒しで実施する必要性を強調したことから、一時400ドルを超える下落となった。その後、ロシアのプーチン大統領がウクライナ問題の外交的解決の可能性を示し下げ渋る場面もあったが、米政府がキエフにある大使館の移転計画を明らかにすると、引けにかけて再び売りに押された。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数はほぼ変わらず。前日に600円あまり下落した日経平均だが、本日は良好な企業決算などを支えに押し目買いが先行する形で103円高からスタートした。ただ、外部環境の不透明感から戻りを試す動きは限られ、早々にマイナス転換すると26933.87円(145.72円安)まで下落する場面があった。
個別では、ソフトバンクG<9984>、トヨタ自<7203>、東エレク<8035>、ソニーG<6758>などがさえない。決算発表銘柄では日本郵政<6178>が3%の下落となり、リクルートHD<6098>やクボタ<6326>、ゆうちょ銀行<7182>は急落。また、Dスタンダード<3925>が東証1部下落率トップとなり、ネットプロHD<7383>はストップ安を付けている。一方、売買代金トップのレーザーテック<6920>は堅調。決算が好感されたSMC<
6273>は4%超上昇し、これにつれてかキーエンス<6861>も買い優勢だ。キリンHD<2503>はミャンマー事業撤退や自社株買い実施を受けて買われている。その他の決算発表銘柄では日ペHD<4612>やコーセー<4922>、住友林<1911>などが急伸。また、朝日インテック<7747>がストップ高を付け、スノーピーク<7816>はストップ高水準での買い気配が続いている。
セクターでは、サービス業、保険業、鉱業などが下落率上位。一方、ゴム製品、小売業、倉庫・運輸関連業などが上昇率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の34%、対して値上がり銘柄は61%となっている。
本日の日経平均は朝方こそ押し目買いが先行したものの、その後おおむねマイナス圏で推移して前場を折り返した。日足チャートを見ると27000円近辺で下げ渋る動きだが、連日の陰線形成にムードの悪さは拭えない。前日に5日移動平均線を割り込んだことで値動き良化への期待は後退か。改めて、10日に下降する25日移動平均線を一時上回ったところが戻り売り機会だったという見方もできる。規模別指数では大型が軟調だが、中型や小型はまずまず堅調。前引けの日経平均が-0.27%なのに対し、東証株価指数(TOPIX)は-0.23%。ここまでの東証1部売買代金は1兆4000億円あまりで、前日までと比べやや減少している印象だ。
決算発表銘柄ではSMCなど好反応を示すものも少なからずあるとはいえ、比較的評価の高いリクルートHDの急落に売り圧力の強さが感じられる。医療器具の朝日インテック、アウトドア・キャンプ用品のスノーピークなど、業績鈍化・落ち込み懸念を打ち返した企業の方が戻り余地の大きさから買いが入りやすいものと考えられる。
新興市場ではマザーズ指数が-0.04%と続落。前日の米市場でハイテク株の一角に押し目買いが入った流れから、マザーズ指数も朝方の売りが一巡すると前日終値近辺で推移している。東証1部の中小型株と同様、個人投資家の物色意欲は根強いことが窺える。一方、マザーズ指数は前日に-4.54%という大幅下落を強いられており、戻りの鈍い印象も拭えない。また、前日に決算発表したFRONTEO<2158>の動向も注目したい。取引時間中に売買成立する場面もあったが、前引け時点ではストップ安水準での売り気配。同社は個人投資家に人気が高く、信用買い残も相応に高水準となっている。個人投資家の資金余力やセンチメントの更なる悪化が懸念される。
さて、前日の米市場ではウクライナ情勢の緊迫化などから原油先物相場(ウエスト・テキサス・インターミディエート、WTI3月物)の上昇が続き、1バレル=95.46ドル(+2.36ドル)となった。これが意識されてか、期待インフレ率の指標とされる10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)も2.48%(+0.05pt)に上昇した。
こうしたインフレ圧力の高まりから金融引き締め観測も強く、米債券市場では短期の年限を中心に金利が上昇。2年1.57%(+0.07pt)、10年1.99%(+0.05%)となった。利回り曲線(イールドカーブ)の平たん化(フラットニング)は一段と進む格好となっている。セントルイス連銀のブラード総裁はインフレ対応が遅れれば米連邦準備理事会(FRB)への「信頼性が損なわれる可能性がある」としたうえで、「計画されている緩和解除を従来よりも前倒しする必要がある」などと発言したという。
市場関係者からは「米長期金利の上昇余地は限られる」といった声も根強く聞かれる。しかし、米金融大手バンク・オブ・アメリカ(BofA)の調査では欧州投資家が社債を売り、現金の保有比率を高めていることがわかったなどと米メディアが報じている。米金融大手ゴールドマン・サックスは資産配分における社債の投資判断を引き下げ、逆に現金を引き上げた。これまでの金利上昇(債券価格の下落)で債券投資家の多くは損失が出ているものとみられている。債券投資家の現金選好が一段と強まる可能性もあるだろう。
結局のところ株式投資家の押し目買い意欲が根強いといえ、外部環境の不透明感は拭いづらい。また、今週も16日の米連邦公開市場委員会(FOMC、1月25~26日開催)議事録公表を始め、米中の主要経済指標の発表など注目イベントは多い。後場の日経平均も引き続き戻りの鈍い展開になるとみておきたい。
(小林大純)
<AK>
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