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―米国や中国など巨大市場は順調に拡大、大手ソフト銘柄などに投資妙味も―
世界のゲーム業界はコロナ禍による巣ごもり 需要を捉えて大きく伸長している。米国では、年末商戦でゲーム機やゲームソフトの販売が好調。「自宅で余暇を過ごす時間が増え、家庭用ゲームの需要が相対的に高まった」(アナリスト)要因が大きい。これを受け、任天堂 <7974> やソニー <6758> の業績予想が大幅増額修正されるなど、日本のゲーム関連企業は強力な追い風を享受している。世界的に上昇機運を強めるゲーム関連 の有望銘柄を探った。
●2020年の世界ゲーム市場は20%増の成長
世界的にゲーム関連株が上昇している。米大手ゲームソフト開発会社のエレクトロニック・アーツや、アクティビジョン・ブリザード、テイクツー・インタラクティブなどが最高値圏で推移しているほか、中国の騰訊控股(テンセント)も昨春から株価は約2倍に急騰している。この背景にあるのは、もちろん新型コロナウイルス感染拡大による世界的な巣ごもり需要だ。海外調査会社では、2020年の世界のゲーム市場は19年に比べ約2割増の1749億ドルに拡大したとみている。この世界的なゲーム市場の拡大は、なお続き23年には2179億ドルに成長するとも予想されている。
●大手ゲームソフト会社は最高益基調と追い風強い
その世界的なゲームブームの象徴的な存在となっているのが、日本の任天堂とソニーだ。任天堂の「ニンテンドースイッチ」が、21年3月期の予想販売台数は従来の2400万台から2650万台に引き上げられるなど「大勝利」を収める見込みだ。ソニーは昨年11月に「プレイステーション5(PS5)」を発売。入手困難な状況が続いたことによる高額転売がニュースになるなど話題を集めたが、12月末までに450万台が販売されたことが公表されている。任天堂の21年3月期の連結純利益は従来予想の3000億円から4000億円(前期比55%増)に増額。ソニーもゲーム機部門などが牽引する格好で同利益は8000億円から1兆850億円(同86%増)に見直された。任天堂やソニーには海外投資家からの買いも入っている様子だ。
同様に大手ゲームソフト会社の業績も好調だ。スクウェア・エニックス・ホールディングス <9684> 、コーエーテクモホールディングス <3635> 、カプコン <9697> などの21年3月期業績は最高益水準が予想されている。世界的な巣ごもり需要の追い風がなお予想されるなか、来期以降も業績の拡大基調が見込まれている。今後、ゲーム関連株を見直す動きは強まりそうだ。以下、今後の活躍が期待できる有望5銘柄を紹介する。
●ネクソンは韓国パソコンオンラインゲームなど好調
かつてテンセントが買収に乗り出したと報道されたこともあるオンラインゲーム 大手のネクソン <3659> は要注目だ。韓国・中国事業が収益構成の多くを占める同社の20年12月期の営業利益は、前の期比17.9%増の1114億5000万円と計画レンジの上限に近い水準で着地した。韓国におけるパソコンオンラインゲーム主力4タイトルすべてが好調に推移し、過去最高の通期売り上げを達成した。アジアの多くの国では11日から、春節(旧正月)に入り商戦が繰り広げられている。今年は特に、家庭でゲームをして過ごす人も多いと予想されることから1-3月期業績は期待できそうだ。株価は高値もみ合い局面にあり、ここからの上放れが期待できる。
●ドリコムは21年3月期の業績増額修正に期待
同じく巣ごもり需要の追い風を受けて「ぼくとドラゴン」「ちょこっとファーム」など、自社配信タイトルが好調なドリコム <3793> [東証M]も要チェックだ。1月28日に発表した第3四半期累計(20年4-12月)の連結営業利益は前年同期比3.2倍の16億8300万円となり、通期計画に対する進捗率は89%に達し、増額修正期待も出ている。同社では、「IP(知的資産)プロデュースカンパニー」を中期的な目標に掲げており、23年3月期までに有力IPの獲得が加速し、デジタル・エンターテインメント・コンテンツを提供することを目指している。
●マーベラスは“令和の米騒動”現象で注目
マーベラス <7844> は1月29日、21年3月期の連結営業利益予想を従来の24億5000万円~30億円のレンジを36億円(前期比47.0%増)へ上方修正した。昨年11月に発売した新作ゲームソフト「天穂のサクナヒメ(てんすいのサクナヒメ)」が計画を大きく上回る売り上げを記録したことが主な要因だ。同タイトルは、米づくりをリアルに再現し、シミュレーション要素を融合した和風アクションRPGで、11月発売早々にソフトが品切れになり“令和の米騒動”として話題になった。また、会社側は1-3月期も主力IPの「牧場物語」の発売を控え、予約状況が非常に好調にあるとしており目が離せない。
●バンナムHDは「定番」を多数もつ強さ評価
人気IPを多数抱えるバンダイナムコホールディングス <7832> はゲーム業界における優位性が明らかだ。同社が8日に発表した第3四半期(20年4-12月)の連結営業利益は、前年同期比1.1%増の729億2200万円だった。主力タイトル「ワンピース」や「アイドルマスター」の人気が続いたほか、年末商戦で「機動戦士ガンダム」のプラモデルや「仮面ライダー」シリーズの定番IP商品や関連玩具なども好調だった。これらを踏まえて、21年3月期の同利益予想を500億円から720億円(前期比8.6%減)へ上方修正している。株価は最高値圏での一服場面となっているが、先行き1万円台での活躍が見込める。
●CRIはゲームエンジンを手掛け業績拡大
映像・音声に特化したミドルウェアを展開するCRI・ミドルウェア <3698> [東証M]にも注目したい。ミドルウェアとは、一般的にゲームエンジンとも呼ばれ基本機能を共通化したゲームなどを簡単に作るための支援ツール。同社が独自開発した音声・映像圧縮の「組み合わせ再生」技術が評価され、ゲームにとどまらずWeb動画や音響補正などにも採用され業績は好調に推移。21年9月期連結営業利益予想は、5億~5億8000万円(前期比9.4%~26.9%増)と2期連続で最高益更新を見込む。9日に発表した第1四半期(10-12月)の同利益は6700万円(前年同期比5.9%増)にとどまったが、これは前7-9月期に買収したアールフォースが計画通り営業赤字となったことによるもの。ゲーム事業では主に海外における同社の認知度が高まり、顧客単価が上昇し増益に寄与した。
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