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―優位性高まる東京市場、前期最高益そして今期成長継続で個別株戦略も新ステージへ―
週末3日の東京株式市場はリスク選好の地合いで日経平均株価は大幅反発、2万7000円台後半に歩を進めてきた。これは4月上旬以来約2ヵ月ぶりの高値水準となる。
欧米でインフレ警戒感が一段と強まるなか、金融引き締め強化に対する懸念が株式市場の重荷となっているが、そうしたなかも日本株の相対的な優位性が浮き彫りとなっている。円安の進行により輸出セクターの収益採算が高まるだけでなく、ドル建てでみた日本株の割安さが際立つ状況だ。そして何よりも日本は先進国の中で唯一、中央銀行(日銀)が一縷(いちる)のブレもなく超金融緩和政策を続けていることが、海外マネーを誘引する強力なアピールポイントとなっている。グローバル市場において、6月は東京市場がリベンジの舞台となる。
●東京市場の魅力に気づくのは今しかない
個別にみても業績面のアプローチから上値余地を内包している銘柄が少なくない。東京市場はファンダメンタルズからも魅力がある。東証プライム上場企業の22年3月期業績は21年3月期と比較して最終利益で3割以上の増益となり、4期ぶりのピーク利益更新となったことが伝えられている。依然として新型コロナウイルスの影響が拭えないなかにあって、これは大健闘といってもよい。
もちろん投資家の関心は、ここから先の企業業績がどうなるかということだ。市場では「今回の決算発表が出揃う前の段階では、23年3月期については、全体で2ケタ減益もやむなしというコンセンサスであった。ところが、決算発表終了後の集計では小幅ながら3%前後の増益になるとの見通しとなった。これは明らかにポジティブ材料だ」(準大手証券ストラテジスト)とする。前期から増益率という点は急減速を余儀なくされるが、それはウクライナ問題やサプライチェーンリスクの顕在化により既に株価には織り込み済みであった。2ケタ減益まで織り込んでいたところで、小幅でも増益見通しに変わったことは向かい風が突如として追い風に変わったくらいのインパクトがある。
●反映されていない増額要因が次々と表面化
23年3月期は、円安効果と日銀による不退転の緩和政策継続がフォローウインドとなるが、それだけではない。「6月からの外国人の入国規制緩和やGoToキャンペーン復活などのリオープン効果、上海のロックダウン解除など、こうしたプラス要因は今期の企業業績予想に反映されていないことから、増益幅が予想より広がる可能性が十分にある」(前出のストラテジスト)とする。日本株優位説を裏付ける好条件がいくつも浮上している。
こうしたなか、個別株戦略としては、前期に業績を変貌させた銘柄群の中で今期も一段の成長が見込めるものが、投資対象として有力となる。米国株など海外の株式市場が荒れ模様となっても、独自の成長力を武器に強さを発揮できる中小型株に照準を合わせたい。今回は時流に乗るビジネスモデルで成長ロードを走る、6月相場の最強候補6銘柄を選抜した。
●成長ロード邁進する要注目6銘柄
◎ロードスターキャピタル <3482> [東証P]
不動産流動化ビジネスを展開するが、都内の中規模ビルディングを対象としているのがポイント。クラウドファンディングも手掛けており、不動産投資分野における専門性とIT技術を融合させる担い手としてその優位性を徐々に高めている。
不動産投資 は旺盛な個人投資家の投資意欲を背景に収益を押し上げている状況にあり、22年12月期第1四半期(22年1-3月)の営業利益は前年同期比3割近い伸びで好調だったが、通期予想についても前期比27%増の71億5400万円と大幅伸長を見込む。中期経営計画では24年12月期に売上高300億円(前期実績179億円)、税前利益100億円(同50億円)を数値目標として掲げている。PER5倍前後と割安感が際立つ。株主還元にも前向きで22年12月期は前期実績から8円50銭増配となる40円50銭を計画している。株価は中段でもみ合い局面にあるが、早晩上放れ4月6日の上場来高値水準である1900円どころを目指す展開を想定。
◎山洋電気 <6516> [東証P]
産業ロボット向けサーボモーター、パソコンやサーバー用冷却ファン、電源バックアップ装置及び太陽光発電向けパワーコンディショナーなどを主力事業として手掛ける。
世界的に旺盛な半導体設備投資需要を追い風にサーボモーターが好調に推移、業績拡大に貢献している。また高度な技術力と商品開発力にも定評がある。直近では、省電力かつ業界トップの高加速度を実現したリニアサーボモーターの開発に成功し、今後の需要開拓に期待がかかっている。22年3月期営業利益は前の期比2.3倍の109億7100万円と急拡大を果たし、初の100億円台乗せとなり、過去最高利益を更新した。更に23年3月期も2ケタ成長を確保し、営業利益は前期比16%増となる127億円を見込んでいる。株価は5月下旬から急速に買い直される展開となり、5月6日の戻り高値5810円をクリア。株価指標面でもPER7倍台は割安感が強く、早晩6000円台活躍が有力視される。
◎タカショー <7590> [東証P]
ガーデニング関連商品の販売で国内トップクラスに位置し、豊富なラインアップで家庭向け及びプロ向けの需要を取り込んでいる。AR技術を活用してバーチャル空間に商品を設置し、見栄えを確認できるメタバガーデンなど、時流を捉えた新機軸サービスも注目を集めている。
22年1月期は売上高、利益(営業・経常・最終)ともに過去最高、営業利益は前の期比28%増の14億7400万円と大幅な伸びを達成した。23年1月期も2ケタ増収効果から営業利益は前期比6%増の15億6800万円とピーク更新が続く見通しだ。テレビコマーシャルとWebプラットフォームを連動させた新たな販売促進策も寄与し、利益の押し上げに貢献している。株価は5月26日に776円の年初来高値をつけた後、目先筋の売りでいったん大きく下押したが、押し目はしっかりと拾われ、直近は新値街道に復帰している。中期的には昨年8月につけた上場来高値1180円への再チャレンジが視野に入る。
◎三社電機製作所 <6882> [東証S]
半導体モジュールや電源 デバイスの製造・販売を手掛け、表面処理用電源では国内トップシェアを誇る。半導体はパワー系に特化し高い実績を有しており、高耐圧・大容量に主眼を置いた開発に傾注、アジア向けを中心に産業機械用途で高水準の需要を獲得して業績に反映させている。
筆頭株主であるパナソニック ホールディングス <6752> [東証P]とは協業で、早い段階からSiC(シリコンカーバイド)製デバイスの開発に取り組んでいる。22年3月期営業利益は前の期比3.2倍の13億1600万円と大幅な伸びを示し、更に23年3月期も前期比22%増の16億円と高成長を達成できる見通し。株主還元姿勢も評価され、22年3月期の年間配当は前の期実績から10円の増配となる25円を実施。株価は5月11日にマドを開けて買われた後も非常に強い足で売り物を吸収、もみ合い上放れが鮮明だ。PER、PBRともに依然割安で、大発会につけた年初来高値1115円奪回を目指す。
◎クオールホールディングス <3034> [東証P]
調剤薬局を全国展開するほか、MR(医薬情報担当者)や薬剤師の派遣ビジネスなども行っている。異業種であるローソン <2651> [東証P]やビックカメラ <3048> [東証P]など小売り大手と共同で出店しており、利用する側の利便性を追求した店舗展開が同社の業績拡大のポイントとなっている。
新規出店を進め前期末時点で店舗数は834店舗。ストレスチェックやヘルスケアセミナーなどコンテンツ提供サービスへの取り組みも奏功している。収益の柱である調剤部門は新型コロナの影響一巡で回復色を強めており、22年3月期営業利益は前の期比34%増の98億5500万円と大幅な伸びを達成した。100億円大台にはあと一歩届かなかったものの、18年3月期以来となる過去最高利益更新となった。そして23年3月期については、前期比22%増の120億円予想と急成長路線をひた走る。株価はここ急速な戻り局面にあるが、まだ底値離脱の初動で年初来高値圏浮上も時間の問題とみられる。
◎シュッピン <3179> [東証P]
カメラや時計など専門性の高い高級商材の買い取りや販売をeコマース主軸に展開、一部リアル店舗でも取り扱っている。コロナ禍にあっても巣ごもり需要を捉え業績を大きく伸ばしている。
22年3月期営業利益は前の期比95%増の31億4000万円とほぼ2倍化した。年間配当も前の期実績から12円の大幅増配となる28円としている点は見逃せない。商品戦略ではロレックスなどの高級時計人気を取り込み、収益変貌の原動力とした。また、販売価格を人工知能(AI)が自動設定する「AIMD」の本格稼働に加え、AIを活用して顧客の関心が高い商品を導き出し、関連情報を配信する「AIコンテンツレコメンド」の導入などで利益率の向上を今後も追求していく。利益倍増の前期に続き、23年3月期営業利益は前期比12%増の35億600万円予想と2ケタ成長を継続。株価は5月12日のマド開け急騰後も次第高の展開で約4年ぶりの高値水準にあるが、一段の上値追いが有望だ。
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