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カンロのニュース
■カンロ<2216>の業績動向
3. 2019年12月期の成長戦略と経営基盤の強化
2019年12月期の方針は、成長戦略がブランド基軸経営への進化でa)既存主力ブランドの育成、新ブランド開発による売上拡大、b)研究開発体制の強化、c)グミ生産能力の増強、d)売上原価率低減、経営基盤の強化がサステナブル経営への深化でa)SDGsへの取り組み、b)品質保証の充実、c)コーポレート・ガバナンス体制の強化、d)コンプライアンスの強化、e)株主・資本市場との対話深化、となっている。具体策は以下のとおりである。
(1) 成長戦略
a) 既存主力ブランドの育成、新ブランド開発による売上拡大
ブランド基軸経営の柱として、開発本部をマーケティング本部として再編した。「ピュレグミ」や「カンデミーナグミ」の第1ブランド室、「健康のど飴」や「ボイスケアのど飴」の第2ブランド室、「金のミルク」や「カンロ飴」の第3ブランド室の3つのブランド室を設置し、主力ブランドにはブランドマネージャー制を導入した。グミについてはマーケティング投資を強化し、のど飴は刷新、「金のミルク」は消費者とのタッチポイントを広げていく方針である。また、「素材を生かす」と「機能性」の2軸をベースに新ブランドを創造するほか、トレンドに対応した新商品も企画、創出する考えである。
b) 研究開発体制の強化(R&Dセンター)
研究開発体制を、マーケティング本部と連携したR&Dセンターとして新たに先進技術研究部と研究開発部を設置し、先進技術研究部では主力ブランドや新商品のさらなる価値向上を目指し、2軸による中長期視点でのシーズの開発、研究開発部では2軸をベースに目標品質・量産化の商品設計をしていく考えである。
c) グミ生産能力の増強
2019年2月中旬、約30億円を投じて新設された待望の新グミ製造ラインが松本工場内で本稼働を開始した。現在グミを製造している朝日工場と合わせ、生産能力を段階的に引き上げる計画である。グミはヘルシーなイメージがあるうえ、世代的に広がる余地を大きく残している。このため、今後も需要が拡大すると見られており、同社はグミを成長事業として位置付けている。今般の投資により、若い女性を中心に人気がある「ピュレグミ」のほか新タイプのグミも開発する計画で、グミの販売拡大に弾みをつける考えである。
d) 売上原価率低減
2019年12月期は売上原価率を前期比0.2ポイント引き下げる計画である。新人事制度による労務費増や新グミ製造ラインの減価償却費など原価負担は大きくなる予定だが、効率化やグミの販売増によりそれを吸収する方針である。
(2) 経営基盤の強化
a) SDGsへの取り組み
SDGs(SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS)への取り組みは、同社のサステナビリティ推進基本方針である「カンロは、糖を基盤とした事業を通じて、人々の健やかな生活に貢献し、持続可能な社会の実現に寄与する」に基づいている。5つの活動領域(糖の価値創造、事業を通じた環境負荷削減、食の安全・安心、人権・ダイバーシティの推進、組織統治)において目標数値を設定しており、2019年12月期下期発足予定のプロジェクトチームにて、具体的な施策を立案、実行する計画である。
b) 品質保証の充実
更なる品質向上を目指して、ひかり工場・朝日工場に続いて松本工場でも食品の安全規格であるFSSC22000の認証を取得する方針である。また、協力工場ではFSSC22000の基準に準拠した管理基準の導入を推進するほか、設備面では分析装置・検査機器など品質向上のための設備を導入する予定である。
c) コーポレート・ガバナンス体制の強化
主に社外取締役または社外監査役で構成するガバナンス委員会(任意諮問機関)を設置し、取締役の指名・報酬やその他諮問事項などを検討する体制を構築する計画である。
d) コンプライアンスの強化
コンプライアンスの重要性を認識し、コンプライアンス・オフィサーを設置する。チーフは社長、その他は各本部、事業所等から新たに選出されたメンバーであり、法令遵守はもとより、方針の浸透など、さらなるコンプライアンス意識の醸成を図る。
e) 株主・資本市場との対話深化
IR室の新設により、個人投資家向け説明会・アナリスト説明会の実施、開示情報の充実など、現在、IR活動を強化しているところであり、投資家との対話や積極的な情報開示を推進することで企業価値の向上を目指す。また、資本市場室を新設し、最適資本構成(資本政策・配当政策)に関しての検討を開始、企業価値向上に向けたコーポレートファイナンスの実現を目指す。
中期経営計画後半へ向けた先行投資も増益を確保へ
4. 2019年12月期の業績見通し
2019年12月期の業績見通しについて、成長戦略と経営基盤の強化を背景に同社は、売上高24,600百万円(前期比7.2%増)、営業利益1,100百万円(同9.6%増)、経常利益1,100百万円(同5.2%増)、当期純利益750百万円(同25.9%減)を見込んでいる。なお、当期純利益の減益は、2018年12月期に発生した旧本社ビル売却に伴う特別利益などがなくなることが要因で、実質的には増益とみて差し支えないと考える。
売上高については、新グミ製造ライン本稼働による生産拡大でグミの増収を見込んでいるが、2月から段階的に生産を増やすことから、上期より下期の方が伸びが大きくなる見通しである。飴については、2018年が大きく伸びたため横ばい程度を前提にしているもようだが、カテゴリーリーダーの立場やコンパクトタイプの拡販余地から伸びる余地は依然大きいと思われ、同社の計画はやや保守的な印象である。利益面では、新グミ製造ライン本稼働による減価償却費増、給与水準上昇や増員による人件費増、積極的な情報化投資や研究開発投資といった「NewKANRO2021」後半の売上高・利益拡大へ向けた先行投資により、2018年12月期に引き続き2019年12月期もコスト負担は重くなる見込みである。しかし同社は、グミなどによる増収とひかり製菓吸収などによる効率化効果によって、増益を確保する計画である。
ちなみに2019年春の新商品は、山形産佐藤錦さくらんぼの果汁を使用した「ジュレピュレ山形佐藤錦」を3月に発売、4月には飲料メーカーとコラボレートした新商品のピュレサプリなどを発売する予定である。また、春のピュレグミプロモーションでは、3月公開の永野芽郁、北村匠海W主演の東宝映画、新時代の純愛物語『君は月夜に光り輝く』とタイアップしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<HN>
3. 2019年12月期の成長戦略と経営基盤の強化
2019年12月期の方針は、成長戦略がブランド基軸経営への進化でa)既存主力ブランドの育成、新ブランド開発による売上拡大、b)研究開発体制の強化、c)グミ生産能力の増強、d)売上原価率低減、経営基盤の強化がサステナブル経営への深化でa)SDGsへの取り組み、b)品質保証の充実、c)コーポレート・ガバナンス体制の強化、d)コンプライアンスの強化、e)株主・資本市場との対話深化、となっている。具体策は以下のとおりである。
(1) 成長戦略
a) 既存主力ブランドの育成、新ブランド開発による売上拡大
ブランド基軸経営の柱として、開発本部をマーケティング本部として再編した。「ピュレグミ」や「カンデミーナグミ」の第1ブランド室、「健康のど飴」や「ボイスケアのど飴」の第2ブランド室、「金のミルク」や「カンロ飴」の第3ブランド室の3つのブランド室を設置し、主力ブランドにはブランドマネージャー制を導入した。グミについてはマーケティング投資を強化し、のど飴は刷新、「金のミルク」は消費者とのタッチポイントを広げていく方針である。また、「素材を生かす」と「機能性」の2軸をベースに新ブランドを創造するほか、トレンドに対応した新商品も企画、創出する考えである。
b) 研究開発体制の強化(R&Dセンター)
研究開発体制を、マーケティング本部と連携したR&Dセンターとして新たに先進技術研究部と研究開発部を設置し、先進技術研究部では主力ブランドや新商品のさらなる価値向上を目指し、2軸による中長期視点でのシーズの開発、研究開発部では2軸をベースに目標品質・量産化の商品設計をしていく考えである。
c) グミ生産能力の増強
2019年2月中旬、約30億円を投じて新設された待望の新グミ製造ラインが松本工場内で本稼働を開始した。現在グミを製造している朝日工場と合わせ、生産能力を段階的に引き上げる計画である。グミはヘルシーなイメージがあるうえ、世代的に広がる余地を大きく残している。このため、今後も需要が拡大すると見られており、同社はグミを成長事業として位置付けている。今般の投資により、若い女性を中心に人気がある「ピュレグミ」のほか新タイプのグミも開発する計画で、グミの販売拡大に弾みをつける考えである。
d) 売上原価率低減
2019年12月期は売上原価率を前期比0.2ポイント引き下げる計画である。新人事制度による労務費増や新グミ製造ラインの減価償却費など原価負担は大きくなる予定だが、効率化やグミの販売増によりそれを吸収する方針である。
(2) 経営基盤の強化
a) SDGsへの取り組み
SDGs(SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS)への取り組みは、同社のサステナビリティ推進基本方針である「カンロは、糖を基盤とした事業を通じて、人々の健やかな生活に貢献し、持続可能な社会の実現に寄与する」に基づいている。5つの活動領域(糖の価値創造、事業を通じた環境負荷削減、食の安全・安心、人権・ダイバーシティの推進、組織統治)において目標数値を設定しており、2019年12月期下期発足予定のプロジェクトチームにて、具体的な施策を立案、実行する計画である。
b) 品質保証の充実
更なる品質向上を目指して、ひかり工場・朝日工場に続いて松本工場でも食品の安全規格であるFSSC22000の認証を取得する方針である。また、協力工場ではFSSC22000の基準に準拠した管理基準の導入を推進するほか、設備面では分析装置・検査機器など品質向上のための設備を導入する予定である。
c) コーポレート・ガバナンス体制の強化
主に社外取締役または社外監査役で構成するガバナンス委員会(任意諮問機関)を設置し、取締役の指名・報酬やその他諮問事項などを検討する体制を構築する計画である。
d) コンプライアンスの強化
コンプライアンスの重要性を認識し、コンプライアンス・オフィサーを設置する。チーフは社長、その他は各本部、事業所等から新たに選出されたメンバーであり、法令遵守はもとより、方針の浸透など、さらなるコンプライアンス意識の醸成を図る。
e) 株主・資本市場との対話深化
IR室の新設により、個人投資家向け説明会・アナリスト説明会の実施、開示情報の充実など、現在、IR活動を強化しているところであり、投資家との対話や積極的な情報開示を推進することで企業価値の向上を目指す。また、資本市場室を新設し、最適資本構成(資本政策・配当政策)に関しての検討を開始、企業価値向上に向けたコーポレートファイナンスの実現を目指す。
中期経営計画後半へ向けた先行投資も増益を確保へ
4. 2019年12月期の業績見通し
2019年12月期の業績見通しについて、成長戦略と経営基盤の強化を背景に同社は、売上高24,600百万円(前期比7.2%増)、営業利益1,100百万円(同9.6%増)、経常利益1,100百万円(同5.2%増)、当期純利益750百万円(同25.9%減)を見込んでいる。なお、当期純利益の減益は、2018年12月期に発生した旧本社ビル売却に伴う特別利益などがなくなることが要因で、実質的には増益とみて差し支えないと考える。
売上高については、新グミ製造ライン本稼働による生産拡大でグミの増収を見込んでいるが、2月から段階的に生産を増やすことから、上期より下期の方が伸びが大きくなる見通しである。飴については、2018年が大きく伸びたため横ばい程度を前提にしているもようだが、カテゴリーリーダーの立場やコンパクトタイプの拡販余地から伸びる余地は依然大きいと思われ、同社の計画はやや保守的な印象である。利益面では、新グミ製造ライン本稼働による減価償却費増、給与水準上昇や増員による人件費増、積極的な情報化投資や研究開発投資といった「NewKANRO2021」後半の売上高・利益拡大へ向けた先行投資により、2018年12月期に引き続き2019年12月期もコスト負担は重くなる見込みである。しかし同社は、グミなどによる増収とひかり製菓吸収などによる効率化効果によって、増益を確保する計画である。
ちなみに2019年春の新商品は、山形産佐藤錦さくらんぼの果汁を使用した「ジュレピュレ山形佐藤錦」を3月に発売、4月には飲料メーカーとコラボレートした新商品のピュレサプリなどを発売する予定である。また、春のピュレグミプロモーションでは、3月公開の永野芽郁、北村匠海W主演の東宝映画、新時代の純愛物語『君は月夜に光り輝く』とタイアップしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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