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パソナグループのニュース
*12:02JST ベネ・ワン Research Memo(2):同一労働同一賃金などの政策が追い風
■会社概要
1. 会社概要
ベネフィット・ワン<2412>は1996年の設立当初から企業の福利厚生代行サービスを手掛けており、その後もM&Aなどを通じて業容を拡大してきた。同社は人材派遣を手掛けるパソナグループ<2168>の子会社である。パソナグループとは資本関係以外にも、福利厚生のアウトソーシングなどを受託し、傘下事業会社から人材派遣を受けるという取引関係がある。
2004年12月にJASDAQ市場において株式を上場した。2006年3月には東京証券取引所(以下、東証)2部に市場変更し、2018年11月には同1部に指定替えをした。そして2022年4月の東証市場区分の変更に伴い、東証プライム市場へ移行した。
2. 事業概要
同社は福利厚生事業、パーソナル事業、CRM事業、ヘルスケア事業、インセンティブ事業、購買・精算代行事業、ペイメント事業、海外事業などを手掛けている。現時点では定額制サブスクリプションモデルをビジネスの柱として展開している。
福利厚生事業、パーソナル事業、CRM事業についてはユーザー課金型サービスマッチングサイト「ベネフィット・ステーション」を共通ツールとして提供している。「ベネフィット・ステーション」は大企業や官公庁などを中心に16,218社(2023年4月時点)が導入しており、業界のリーディングブランドとしてのポジションを築いてきた。JTBベネフィットの従業員会員も新たに加わり、福利厚生業界の市場シェアは国内首位である。
(1) 福利厚生事業
主力の福利厚生事業では、「ベネフィット・ステーション」に入会した顧客企業の従業員に向けて、提携先企業のサービスを割引価格で提供している。サービスは宿泊施設や飲食店、スポーツクラブ、レジャー施設、介護・育児サービスなど140万件以上を揃えている。同社は、顧客企業から従業員数に応じた月額利用料を安定的に受け取っている。顧客企業はアウトソーシングによって福利厚生関連費用を削減できるほか、企業規模に関係なく充実した福利厚生制度を従業員に提供することができる。これにより、従業員の満足度向上と離職の防止を実現している。従業員が宿泊施設などを利用した際には、加入コースに応じて同社が補助金を支払っている。円安やコロナ禍の影響を受けて、労働市場の需給がひっ迫するなかで離職防止や採用促進のための手段としてニーズが高まることが想定される。加えて、非正規従業員の福利厚生サービスの利用率が低いという現状がある。政府が同一労働同一賃金を推進するなかで、同社の既存顧客が非正規従業員に向けた福利厚生サービスの導入を急ぐことも想定される状況である。
(2) パーソナル事業
パーソナル事業では、主に協業企業が抱える個人顧客向けに「ベネフィット・ステーション」上のサービスを提供している。協業先は携帯キャリアやフィットネスクラブ、不動産仲介会社などがある。個人会員から月額利用料を受け取り、協業企業とシェアしている。
(3) ヘルスケア事業
ヘルスケア事業では、健康保険組合や事業主から業務委託料を受け取り、健診アウトソーシングサービスや保健指導アウトソーシング、健康ポイント、ストレスチェックといった健康支援サービスを提供している。同社は健診・保健指導ともに業界のリーディングカンパニーという位置付けである。健診の後には保健指導のニーズが発生するため、売上が積み上がる収益モデルである。また、社会経済の要請に応じた新型コロナワクチン接種支援事業も開始した。コロナ禍の影響により新型コロナワクチン接種支援事業は好調に推移してきたものの、接種率が高まるなかで今後の成長加速が見通しづらい状況となってきた。これに代わる事業として、行政と連携しながら職域でのインフルエンザワクチン接種支援事業を新たな収益源として育成する考えだ。ESG経営の浸透やコロナ禍を通じた健康経営へのさらなる関心の高まりなどを受け、同サービスに対する引き合いは今後、好調に推移していくことが想定される。
(4) インセンティブ事業
インセンティブ事業では、ロイヤリティ・モチベーション向上施策支援としてインセンティブ・ポイントの発行、管理運営を行っている。顧客企業は従業員や代理店スタッフに対してポイントを付与し、受け取った側は約2万点のアイテムと交換できる。同社は、顧客企業から付与ポイントに相当する金銭を受け取り、そのうち従業員がポイントを使った際のポイント代金が売上として計上され、アイテム仕入代金が原価に計上される仕組みだ。
主な顧客は携帯キャリアや保険会社、自動車販売会社、医薬品会社、レストラン運営会社である。最近ではロイヤリティ・モチベーション向上のほか、採用強化や優秀な人材の確保、評価機会の拡大などの目的でも導入されている。同社によると業界最大の約576社の導入実績がある。
(5) ペイメント事業
ペイメント事業では、同社の提携先の割引サービスに関し、会員企業ごとに従業員の購買情報を取りまとめ、給与天引きの仕組みを活用して決済を行うことにより、中間マージンや広告宣伝をなくした低コストのサービス流通に取り組んでいる。同事業において、同社は提携先のサービス提供会社から取扱高に応じた決済手数料を収受している。
(6) HRマネジメントを中核としたほかの事業
法人向けでは、福利厚生に加えてHRマネジメントにおける重点要素を中核に据えた事業を展開している。福利厚生、健康、教育研修、インセンティブのほか、購買・精算、金融などの機能を、外部サービスも活用しつつ、顧客の要望に応じて組み合わせながら提供している。人事データを核として、HRマネジメントの土台となる上記サービスを総合的に提供できる点が強みでもある。
(7) 海外事業
海外では主にインセンティブ事業を手掛けている。2012年に中国と米国で子会社を設立したことから始まり、2013年からは東南アジア地域に進出し、シンガポール、タイ、インドネシアなどに拠点を保有している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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1. 会社概要
ベネフィット・ワン<2412>は1996年の設立当初から企業の福利厚生代行サービスを手掛けており、その後もM&Aなどを通じて業容を拡大してきた。同社は人材派遣を手掛けるパソナグループ<2168>の子会社である。パソナグループとは資本関係以外にも、福利厚生のアウトソーシングなどを受託し、傘下事業会社から人材派遣を受けるという取引関係がある。
2004年12月にJASDAQ市場において株式を上場した。2006年3月には東京証券取引所(以下、東証)2部に市場変更し、2018年11月には同1部に指定替えをした。そして2022年4月の東証市場区分の変更に伴い、東証プライム市場へ移行した。
2. 事業概要
同社は福利厚生事業、パーソナル事業、CRM事業、ヘルスケア事業、インセンティブ事業、購買・精算代行事業、ペイメント事業、海外事業などを手掛けている。現時点では定額制サブスクリプションモデルをビジネスの柱として展開している。
福利厚生事業、パーソナル事業、CRM事業についてはユーザー課金型サービスマッチングサイト「ベネフィット・ステーション」を共通ツールとして提供している。「ベネフィット・ステーション」は大企業や官公庁などを中心に16,218社(2023年4月時点)が導入しており、業界のリーディングブランドとしてのポジションを築いてきた。JTBベネフィットの従業員会員も新たに加わり、福利厚生業界の市場シェアは国内首位である。
(1) 福利厚生事業
主力の福利厚生事業では、「ベネフィット・ステーション」に入会した顧客企業の従業員に向けて、提携先企業のサービスを割引価格で提供している。サービスは宿泊施設や飲食店、スポーツクラブ、レジャー施設、介護・育児サービスなど140万件以上を揃えている。同社は、顧客企業から従業員数に応じた月額利用料を安定的に受け取っている。顧客企業はアウトソーシングによって福利厚生関連費用を削減できるほか、企業規模に関係なく充実した福利厚生制度を従業員に提供することができる。これにより、従業員の満足度向上と離職の防止を実現している。従業員が宿泊施設などを利用した際には、加入コースに応じて同社が補助金を支払っている。円安やコロナ禍の影響を受けて、労働市場の需給がひっ迫するなかで離職防止や採用促進のための手段としてニーズが高まることが想定される。加えて、非正規従業員の福利厚生サービスの利用率が低いという現状がある。政府が同一労働同一賃金を推進するなかで、同社の既存顧客が非正規従業員に向けた福利厚生サービスの導入を急ぐことも想定される状況である。
(2) パーソナル事業
パーソナル事業では、主に協業企業が抱える個人顧客向けに「ベネフィット・ステーション」上のサービスを提供している。協業先は携帯キャリアやフィットネスクラブ、不動産仲介会社などがある。個人会員から月額利用料を受け取り、協業企業とシェアしている。
(3) ヘルスケア事業
ヘルスケア事業では、健康保険組合や事業主から業務委託料を受け取り、健診アウトソーシングサービスや保健指導アウトソーシング、健康ポイント、ストレスチェックといった健康支援サービスを提供している。同社は健診・保健指導ともに業界のリーディングカンパニーという位置付けである。健診の後には保健指導のニーズが発生するため、売上が積み上がる収益モデルである。また、社会経済の要請に応じた新型コロナワクチン接種支援事業も開始した。コロナ禍の影響により新型コロナワクチン接種支援事業は好調に推移してきたものの、接種率が高まるなかで今後の成長加速が見通しづらい状況となってきた。これに代わる事業として、行政と連携しながら職域でのインフルエンザワクチン接種支援事業を新たな収益源として育成する考えだ。ESG経営の浸透やコロナ禍を通じた健康経営へのさらなる関心の高まりなどを受け、同サービスに対する引き合いは今後、好調に推移していくことが想定される。
(4) インセンティブ事業
インセンティブ事業では、ロイヤリティ・モチベーション向上施策支援としてインセンティブ・ポイントの発行、管理運営を行っている。顧客企業は従業員や代理店スタッフに対してポイントを付与し、受け取った側は約2万点のアイテムと交換できる。同社は、顧客企業から付与ポイントに相当する金銭を受け取り、そのうち従業員がポイントを使った際のポイント代金が売上として計上され、アイテム仕入代金が原価に計上される仕組みだ。
主な顧客は携帯キャリアや保険会社、自動車販売会社、医薬品会社、レストラン運営会社である。最近ではロイヤリティ・モチベーション向上のほか、採用強化や優秀な人材の確保、評価機会の拡大などの目的でも導入されている。同社によると業界最大の約576社の導入実績がある。
(5) ペイメント事業
ペイメント事業では、同社の提携先の割引サービスに関し、会員企業ごとに従業員の購買情報を取りまとめ、給与天引きの仕組みを活用して決済を行うことにより、中間マージンや広告宣伝をなくした低コストのサービス流通に取り組んでいる。同事業において、同社は提携先のサービス提供会社から取扱高に応じた決済手数料を収受している。
(6) HRマネジメントを中核としたほかの事業
法人向けでは、福利厚生に加えてHRマネジメントにおける重点要素を中核に据えた事業を展開している。福利厚生、健康、教育研修、インセンティブのほか、購買・精算、金融などの機能を、外部サービスも活用しつつ、顧客の要望に応じて組み合わせながら提供している。人事データを核として、HRマネジメントの土台となる上記サービスを総合的に提供できる点が強みでもある。
(7) 海外事業
海外では主にインセンティブ事業を手掛けている。2012年に中国と米国で子会社を設立したことから始まり、2013年からは東南アジア地域に進出し、シンガポール、タイ、インドネシアなどに拠点を保有している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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