高値警戒感から一服、日米金融政策控え見送り

著者:冨田康夫
投稿:2015/10/26 19:48

明日の東京株式市場見通し

 27日の東京株式市場は、日経平均株価がきょう取引時間中に一時1万9000円台を回復して目先的な達成感が出ていることや、東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)が131.8%(26日)と130%を超える過熱圏に達し、短期的な高値警戒感も広がっていることから、一服商状が予想される。

 市場関係者からは「きょうは寄り付きからいきなり1万9000円台を回復してスタートしたものの、後場に入って上昇幅を徐々に縮小し、ほぼ安値引けに近い大引けとなった。東証1部の売買代金もようやく2兆円を超えた程度で、買いエネルギーに乏しい状態」としている。

 今週半ばから後半にかけて、日米金融当局による政策発表が控えており、その内容を見極めたいという心理から、売り買いともに積極的な投資行動を回避する流れが続きそうだ。

 26日の東京株式市場は買い優勢でスタートし、日経平均株価は寄り付き時点で8月31日以来となる1万9000円大台を回復した。ただ、その後は伸び悩み、終値は前週末比121円82銭高の1万8947円12銭となった。

26日の動意株

 オルガノ<6368>=後場急伸。
同社は26日後場取引時間中、16年3月期の連結業績予想の修正を発表。売上高を770億円から790億円(前期比14.9%増)へ、営業利益を27億円から35億円(同46.0%増)へ、最終利益を16億8000万円から22億5000万円(同2.1倍)へ大幅上方修正しており、これがポジティブサプライズとなった。半導体向けなど中心に超純水製造装置を手掛ける。国内や台湾の電子産業分野を中心に水処理エンジニアリング事業が拡大、機能商品事業も順調で収益を押し上げる見通し。

 カワタ<6292>=後場に入り急上昇。
同社は午前11時45分ごろ、16年3月期の連結業績見通しについて、売上高を従来予想の176億円から177億円(前期比2.7%増)へ、営業利益を同8億2000万円から8億5000万円(同12.6%増)へ、純利益を同8億4000万円から8億6000万円(同2倍)へ上方修正したことが好感されている。上期に東アジア向けの電子部品関連の大型受注案件が寄与し売上高が想定を上回って推移したことに加えて、子会社からの受取配当金の増加などが貢献する見通しとしている。

 ラック<3857>=急反発。
同社は23日引け後に16年3月期上期の業績上方修正を発表した。通期計画は据え置かれたもののの、16年3月期上期の売上高を163億4500万円から171億2600万円に、営業利益を5億1000万円から6億6000万円に上方修正。国内大手証券では、IT投資拡大の追い風を受けたシステムインテグレーションサービス、セキュリティソリューションサービス事業の収益改善効果で営業利益が計画を上回ったと分析している。

 日立製作所<6501>=大幅高。
同社は23日の取引終了後、16年3月期の第2四半期累計(4~9月)連結業績予想の修正を発表。売上高に当たる売上収益は従来予想の4兆7000億円から4兆8060億円(前年同期比5.6%増)へ、継続事業税引前利益を2000億円から2540億円(同1.6%減)へ上方修正、これを好感する動き。社会・産業システム部門や電子装置・システム部門などが予想を上回っている。

 ビリングシステム<3623>=ストップ高。
同社はきょう午前9時に、金融関連のモバイルアプリケーションの開発などを手掛ける北京新空気軟件技術(北京)と銀聯カードを用いたモバイル決済サービスの開発運営で提携すると発表。これが材料視されているようだ。このサービスは、店舗側が提示する決済処理用QRコードを中国人旅行者のスマートフォンで読み取ることにより、銀聯カードでの支払いを可能にするもの。

 幼児活動研究会<2152>=ストップ高。
同社は23日の取引終了後、16年3月期の連結業績予想の修正を発表。売上高を従来予想の62億円から62億5000万円(前期比4.3%増)へ、営業利益を6億8000万円から7億9000万円(同0.8%減)へ、純利益を4億1000万円から4億8000万円(同5.5%増)へ上方修正、これを好感する動き。正課体育指導契約件数と課外体育指導会員数が堅調に推移、人件費や本社経費が当初計画より減少することも寄与している。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想