買い気優勢で続伸、売買代金減少は懸念

著者:冨田康夫
投稿:2015/10/05 21:05

明日の東京株式市場見通し

 6日の東京株式市場は、きょう日経平均株価が1万8000円台を回復した勢いを引き継いで、続伸となりそうだ。

 週明け5日の東京株式市場が大幅続伸したのは、米9月雇用統計が市場予想を大きく下回ったことを受け、米利上げ先送りとの受け止めが広がり前週末のNYダウ平均株価が200ドルと大幅上昇したことが要因。さらに、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の大筋合意見通しが伝えられたことが手掛かりとなり、買い戻しが優勢となった。

 市場関係者からは「今後、25日移動平均線(5日=1万8039円)を明確に上回るなど1万8000円台固めが持続してくれば、底打ちムードがより鮮明となってくる」としている。

 5日の東京株式市場は前週末の米国株高を受けて終始買い優勢、後場後半伸び悩んだものの日経平均株価終値は、前週末比280円36銭高の1万8005円49銭と大幅高で4日続伸。9月18日以来、約2週間ぶりの1万8000円台回復。東証1部の売買代金は、2兆29億円とかろうじて2兆円を上回ったものの8月17日以来の低水準となった。

5日の動意株

 GMOペパボ<3633>=後場ストップ高。
同社は2日、手作りのアクセサリーや雑貨を売買できるウェブサイト「minne(ミンネ)」のダウンロード数および流通額を発表。累計ダウンロード数は前月比11.4%増の318万8009、発送が完了した商品代金の総額である流通額は同10.9%増の4億1945万円だった。ダウンロード数は順調に伸びているほか、流通額も9月後半には1日当たり過去最高の受注金額となるなど好調。minneは手作り作品を売買できるサイトとして人気を集めており、その成長が市場から注目されている。

 アイリッジ<3917>=後場一段高。
同社はきょう、スマートフォン向けO2Oソリューション「popinfo」の利用ユーザー数が2500万ユーザーを突破したと発表。これが買い手掛かりとなっているようだ。popinfoは2009年にサービスを開始し、三井ショッピングパークや東急電鉄などさまざまな企業が公式アプリに導入。今年3月には利用ユーザー数が2000万ユーザーを突破していた。

 ケイヒン<9312>=大幅高。
米アトランタで開かれていたTPP交渉では参加12カ国が大筋で合意に達し、今後は米国をはじめ参加各国からの輸入が活発化する見通しとなった。倉庫セクターにとっては物流需要の高まりから収益機会の拡大を意味する。同社は東京港区に本社を構える老舗の倉庫株であり、今期1円増配の年5円配を計画するなか、PBR0.8倍台と実態面の評価不足が際立つ。東京五輪を控え首都圏の不動産市況が上昇傾向にあるなかで、含み資産株としての側面も株価上昇の拠りどころとなっている。

 林兼産業<2286>=急伸。
注目されていた米アトランタで開かれていた環太平洋経済連携協定(TPP)交渉では、参加12カ国が大筋合意に達する見込みとなったことから、収益面で恩恵を受けるとみられる銘柄に改めて物色の矛先が向かっている。同社は食肉加工を手掛けることから、TPP妥結に伴い関税引き下げメリットを享受するとの見方が買いの根拠となっている。

 ファーマフーズ<2929>=ストップ高。
5日付の日本経済新聞は「慶大の工藤千恵専任講師とファーマフーズの研究チームが、がん細胞が免疫の働きを抑える仕組みを解除する手法をみつけた」、と報道している。さまざま免疫の仕組みを活用し、がん細胞を攻撃するがん免疫療法に絡むもので、具体的にはがん細胞が放出し免疫細胞の働きを抑える「FSTL1」という抗体を使い、実験でがん細胞を皮下に移植したマウス5匹に投与したところ、2匹でがん細胞が消え、がんが骨へ移転するのを防ぐ効果もあった、としている。

 キャンバス<4575>=ストップ高。
同社はきょう、開発中の抗がん剤化合物「CBP501」の用途に関し、米国特許庁から特許査定を受けたと発表。これが材料視されているようだ。具体的には、CBP501の投与対象を白血球数で絞り込むことに特許性(新規性・進歩性)が存在すると認められたもの。CBP501を含む化合物群に関する物質特許は既に米国や欧州主要国、日本などで成立しているが、今回獲得した新たな用途特許によって特許によって保護される実質的な期間が大きく延長されることが期待される。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想