中国株の下落も日本市場への影響は軽微

著者:川島寛貴
投稿:2015/07/12 19:41

中国株の下落は売買停止銘柄の解除まで

中国当局による強引な株価下支え策により、中国株は9日木曜日からようやく反発に転じました。
しかし、過去の例を見ても実態とかけ離れた相場を強引に介入したところでいづれ適切な水準に達するというのがセオリーです。上海総合指数の適正水準というのがPER15%で3700ですので、このあたりが適切なのかもしれません。市場参加者の意見としては2,000からの上昇の半値押しである3500程度と、2500まで下落するのではないかといいう意見があるようです。
これだけボラティリティが大きく、当局は常識では考えられない対策を打ち出してきますので、下値の予想をするのは困難。目先の目途は木曜日の安値の3373ですが、この水準はギリシャのユーロ離脱不安の影響もあり下回るでしょう。
下落が止まるのは、現在1300ほど売買を停止している中国株の売買が再開されるまで。この時に売りのピークをつけ、木、金曜日のような大幅な反発に転じるのではないかと思われます。

日本株の影響は

では、ここでそもそも日本株がどれほど中国株の影響を受けるのか見ていきましょう。
そもそも上海総合がピークの5178から4000を割り込んだ後も、日経平均は500円ほど反発しました。この下落もほとんどがギリシャショックの影響かと思われます。
さすがに8%も下落し、中国当局がなりふり構わない焦りをみせてくることでようやく反応したともいえます。

現在は市場の材料が中国株となっているのでどうしても連動しやすくなってしまっていますが、これで日本企業の業績は短期的に変化するものではなりません。
直近買われていたインバウンド銘柄から内需へと資金が移り、循環物色は続くのではないかと思われます。

為替への影響は

中国といえば経済的つながりの深いオセアニア通貨が売られやすくなります。特に鉄鉱石や金価格が売られていることから、豪ドルは下がりやすくなっています。
そして、豪ドルと連動しやすいNZドルは今後の利上げの可能性もあることから、やはり売られる可能性か濃厚でしょう。

ドル円はというと、ギリシャショックや中国株の急落がFRBの年内の利上げを後退させたという声もあります。しかし、いつもコンセンサスを大きく変えるのは市場参加者であり、そもそも中国経済の減速はFEDも織り込み済みでしょう。
米国の雇用、経済が安定している限り、年内利上げは変更なし。生保の外債投資やGPIFの外国株の購入枠もまだ余力があり、長期マネーも下値ではドル買いを行ってくることから、ドル円の下値は限定的。黒田ラインである125円を越えてくることは時間の問題ではないでしょうか。
川島寛貴
株式会社IEYASU 代表取締役
配信元: 達人の予想