明日の株式相場に向けて=口座開設が急増、東京メトロは吉と出るか
きょう(17日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比269円安の3万8911円と続落。半導体関連株が引き続き冴えない。午後に発表されたTSMC<TSM>の決算は事前予想から上振れ、今後の見通しについてもコンセンサスを上回った。しかし、関連銘柄は一瞬反応はしたものの、浮上したところに大口の売りをぶつけられ萎む展開に。半導体セクターの需給悪が改めて認識された。前日に13%超の急落でプライム市場の値下がり率首位に売り込まれたレーザーテック<6920.T>は、朝方こそ前日終値近辺で強弱観を対立させたが、その後は下値を探る展開に終始した。半導体製造装置関連の中で孤軍奮闘のアドバンテスト<6857.T>の方は後場に入ってジリジリと戻り歩調となり、TSMC効果で一時プラス圏に浮上する場面もあった。が、あと一歩踏み込めず小幅マイナス圏で着地。しかし、土壇場で8000円台をキープしたのは意地をみせたともいえる。
一方、この日買われたのは電力株だった。関西電力高浜原発1号機の今後10年間の管理方針認可を受け、原発の長期活用への思惑で電力株に投資資金が流入した。また、大手証券の投資判断引き上げも折良く買いの手掛かり材料となった。しかし、電力株は相場の柱にはなり得ない。半導体株の復権なくして日経平均の最高値奪回は見込めないといってよい。
話題としては、来週23日に東証プライム市場に上場する東京地下鉄<9023.T>。時価総額約7000億円という鳴り物入りの大型IPOとなるが、当然ながら一般的な認知度は申し分なく、市場では「東京メトロを買いたいがために、新規に口座開設する動きが想定以上となっている」という声も聞かれ、個人投資家の関心は投資初心者も含め非常に高いことがうかがわれる。配当性向40%以上を掲げており、インカムゲインの観点で魅力が指摘されていたが、公開価格が1200円と当初見込みより高めに決まったことで、配当利回りはその分低下する。また、業績面では収益は安定している一方、成長の伸びしろは限定的であることも否めない。しかし同社の場合、株主優待は大きな武器となる。東京メトロを利用する人であれば、優待と併せて実質的な配当利回りは見た目よりも大きくなる。
「全線きっぷ(片道)」が200株につき年間6枚贈呈されるが、市場筋の話では「100株単位の小口投資家が多いことで、セカンダリーでもとりあえず200株の倍数にしておこうという動きが出そうで、これは同社株の公開後の株価に浮揚効果をもたらす」(ネット証券アナリスト)という指摘もある。ちなみに1万株保有すれば「全線定期乗車証」に昇格、つまり、いつでもどこでも乗り放題ということになる。
資金吸収額が大きいだけに、換金売りによる株式需給面でのネガティブな作用が取り沙汰されないとも限らないが、それは一過性であり、一方で関連株探しの動きが個別物色人気に反映される可能性は念頭に置きたい。既に電力の需給計画や海運の配船計画、都市交通分野などでAI技術を活用した計画最適化システムを展開するグリッド<5582.T>が人気化しているが、これは大手鉄道事業者向けで同社が計画最適化に絡む案件を数多く抱えており、東京メトロ関連としての思惑が株価を突き動かしている面もあるようだ。「現時点で案件獲得はJRに限られている」(会社側)とするが、東京メトロや他の私鉄向けで今後商機を捉えることへの努力は否定していない。
グリッド以外に東京メトロ関連としてマークしたい銘柄としては、まずビーマップ<4316.T>。同社は鉄道などの交通関連向けに事業活動に連動したプラットフォーム構築などITソリューションを提供している。株価は400円台で75日移動平均線が下値サポートラインとして機能し、テクニカル的に買い安心感がある。また、同じく400円台でノーマーク状態といってよい駅探<3646.T>も、モビリティーサポートや広告配信プラットフォームで収益チャンスをつかむ可能性がある。
あすのスケジュールでは、9月の全国消費者物価指数(CPI)、対外・対内証券売買契約など。また、午前中に3カ月物国庫短期証券の入札が予定されている。海外では9月の中国70都市の新築住宅価格動向、9月の中国小売売上高、9月の中国工業生産高、9月の中国不動産開発投資、9月の中国固定資産投資、アジア太平洋経済協力会議(APEC)財務大臣会合などのほか、欧州では9月の英小売売上高、米国では9月の住宅着工件数などが発表される。なお、この日はウォラーFRB理事が講演を行う予定。(銀)
出所:MINKABU PRESS
一方、この日買われたのは電力株だった。関西電力高浜原発1号機の今後10年間の管理方針認可を受け、原発の長期活用への思惑で電力株に投資資金が流入した。また、大手証券の投資判断引き上げも折良く買いの手掛かり材料となった。しかし、電力株は相場の柱にはなり得ない。半導体株の復権なくして日経平均の最高値奪回は見込めないといってよい。
話題としては、来週23日に東証プライム市場に上場する東京地下鉄<9023.T>。時価総額約7000億円という鳴り物入りの大型IPOとなるが、当然ながら一般的な認知度は申し分なく、市場では「東京メトロを買いたいがために、新規に口座開設する動きが想定以上となっている」という声も聞かれ、個人投資家の関心は投資初心者も含め非常に高いことがうかがわれる。配当性向40%以上を掲げており、インカムゲインの観点で魅力が指摘されていたが、公開価格が1200円と当初見込みより高めに決まったことで、配当利回りはその分低下する。また、業績面では収益は安定している一方、成長の伸びしろは限定的であることも否めない。しかし同社の場合、株主優待は大きな武器となる。東京メトロを利用する人であれば、優待と併せて実質的な配当利回りは見た目よりも大きくなる。
「全線きっぷ(片道)」が200株につき年間6枚贈呈されるが、市場筋の話では「100株単位の小口投資家が多いことで、セカンダリーでもとりあえず200株の倍数にしておこうという動きが出そうで、これは同社株の公開後の株価に浮揚効果をもたらす」(ネット証券アナリスト)という指摘もある。ちなみに1万株保有すれば「全線定期乗車証」に昇格、つまり、いつでもどこでも乗り放題ということになる。
資金吸収額が大きいだけに、換金売りによる株式需給面でのネガティブな作用が取り沙汰されないとも限らないが、それは一過性であり、一方で関連株探しの動きが個別物色人気に反映される可能性は念頭に置きたい。既に電力の需給計画や海運の配船計画、都市交通分野などでAI技術を活用した計画最適化システムを展開するグリッド<5582.T>が人気化しているが、これは大手鉄道事業者向けで同社が計画最適化に絡む案件を数多く抱えており、東京メトロ関連としての思惑が株価を突き動かしている面もあるようだ。「現時点で案件獲得はJRに限られている」(会社側)とするが、東京メトロや他の私鉄向けで今後商機を捉えることへの努力は否定していない。
グリッド以外に東京メトロ関連としてマークしたい銘柄としては、まずビーマップ<4316.T>。同社は鉄道などの交通関連向けに事業活動に連動したプラットフォーム構築などITソリューションを提供している。株価は400円台で75日移動平均線が下値サポートラインとして機能し、テクニカル的に買い安心感がある。また、同じく400円台でノーマーク状態といってよい駅探<3646.T>も、モビリティーサポートや広告配信プラットフォームで収益チャンスをつかむ可能性がある。
あすのスケジュールでは、9月の全国消費者物価指数(CPI)、対外・対内証券売買契約など。また、午前中に3カ月物国庫短期証券の入札が予定されている。海外では9月の中国70都市の新築住宅価格動向、9月の中国小売売上高、9月の中国工業生産高、9月の中国不動産開発投資、9月の中国固定資産投資、アジア太平洋経済協力会議(APEC)財務大臣会合などのほか、欧州では9月の英小売売上高、米国では9月の住宅着工件数などが発表される。なお、この日はウォラーFRB理事が講演を行う予定。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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