国内株式市場見通し:金利先高観や企業業績悪化への懸念が上値抑える
配信元:フィスコ
投稿:2022/09/24 13:29
■タカ派なFOMC受けて一時27000円割れ
今週の日経平均は週間で413.82円安(-1.50%)と続落。2週連続で陰線を形成し、終値では先週の52週、13週移動平均線割れに続き、26週線も下回った。
連休明け20日の日経平均は120.77円高と反発。米ミシガン大学消費者信頼感指数の9月期待インフレ率が低下したことや中国成都市での都市封鎖解除が好感されたほか、週明けの米株式市場が反発したことで買い戻しが優勢となった。しかし、翌21日は375.29円安と大幅反落。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を目前に控えるなか、20日の米国市場で米10年債利回りが2011年来の高水準を連日で更新し、主要株価指数が反落したことがリスク回避の売りを誘った。
連休入り前の22日は159.30円安と続落。FOMCで政策金利見通しが大幅に引き上げられたことで金利先高観や景気後退への懸念が強まり売りが膨らんだ。日経平均は一時26955.18円(357.95円安)まで下落する場面があった。ただ、日銀金融政策決定会合で現状維持が決まると為替の円安が急速に進行し、自動車関連などが買われ、指数も徐々に下げ幅を縮小。結局27200円近くまで戻す展開となった。
■需給イベントも攪乱要因か
来週の東京株式市場は軟調か。国内が連休入りしてからの22、23日の米国市場では金利上昇・株価下落が続き、ダウ平均は年初来安値を更新した。金利先高観と景気後退・企業業績悪化に対する懸念から東京市場でも上値の重い展開が続きそうだ。FOMCで政策金利は3会合連続で0.75pt引き上げられ、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標は3.00~3.25%となった。政策金利見通し(ドットチャート)では2022年末に政策金利が4.4%(中央値)まで引き上げられた後、来年23年末には4.6%(同)まで引き上げられることが示された。
FOMCの結果公表前、FF金利先物市場は来年3月をピークに政策金利が4.5%近くまで上昇した後は利上げが停止され、来年末時点では4.0%程度の水準を予想していた。しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)が示したターミナルレート(政策金利の最終到達点)は来年末時点で4.6%と、ピーク時点の予想をも上回った。また、24年末については今後のデータ次第で変わり得るものの、中央値では3.9%とされており、現時点では高水準の金利が約2年にわたって維持される見込みだ。
パウエルFRB議長は記者会見で「今の政策金利水準は抑制的な領域において一番低いところにある」と言及した。インフレ抑制を最優先にするとの主張を繰り返しているFRBの姿勢を踏まえれば、今後もまだまだ利上げを続けるという積極的タカ派スタンスが示されたと解釈できる。そうしたスタンスはFRBの最新の経済成長見通しからも窺える。2022年の米国経済成長率は6月時点の1.7%から0.2%へと大幅に下方修正され、23年も1.7%から1.2%へと引き下げられた。潜在成長率が1.8%とされていることから、来年もインフレ沈静化のために景気を大きく抑制することが示唆されている。FRBはもはやソフトランディング(経済の軟着陸)を諦めており、ハードランディングは避けられないとの見方に変わりつつあるようだ。
世界的な金利上昇圧力も懸念材料だ。英国では中央銀行による国債売却が10月から開始されるほか、トラス新政権による大規模な財政政策と国債増発などが懸念され、英2年債が4%を上回るなど2008年来の高水準を記録。FOMC通過後に景気後退懸念で一時上昇が止まっていた米10年債も22日には一時3.8%を付ける動きが見られた。金利先高観が残り、今後景気が後退してもすぐには利下げに転じないことが想定されるなか、株式市場においては株価バリュエーションであるPER(株価収益率)に対する上値抑制圧力と企業業績の悪化による一株当たり利益(EPS)への下押し圧力が予想され、当面厳しい展開が続きそうだ。
こうした中、来週は米国で耐久財受注や消費者信頼感指数、新築住宅販売件数が、中国では週末に購買担当者景気指数(PMI)が発表を控えており、足元の景気を確認するうえで注目される。また、米国でのナイキ、マイクロン・テクノロジーの決算は米国内での消費と半導体業界の動向を確認するうえで注目されよう。指標や決算の予想比での下振れは景気後退懸念を更に強める可能性があり、注意が必要だ。
ほか、来週は国内での需給イベントにも注目。28、29日にかけては配当再投資に絡んだ買い需要が現物・先物の合算で1兆円前後(TOPIX(東証株価指数)8000億円強、日経平均1500億円強)見込まれている。一方、日経平均採用銘柄の入れ替えに伴い、日経平均既存銘柄には28、30日の計2日間で5000~6000億円程の売り需要が出る見込み。日経平均には差し引きで4000億円程の売りインパクトが出る計算になる。NT倍率は低下する公算が大きく、値がさ株などの動きには注意が必要だろう。
■米耐久財受注、米消費者信頼感指数、中国PMIなど
来週は26日に独9月Ifo景況感指数、27日に米8月耐久財受注、米9月CB消費者信頼感指数、米8月新築住宅販売件数、28日に日銀金融政策決定会合議事要旨(7/20~21開催分)、配当・優待権利付き最終日、米 8月中古住宅販売仮契約、29日に米4-6月期GDP改定値、30日に8月失業率・有効求人倍率、8月鉱工業生産、8月商業動態統計、8月住宅着工統計、中国9月製造業/非製造業PMI、中国9月財新製造業PMI、米8月個人消費支出(PCE)コアデフレータなどが発表予定。
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今週の日経平均は週間で413.82円安(-1.50%)と続落。2週連続で陰線を形成し、終値では先週の52週、13週移動平均線割れに続き、26週線も下回った。
連休明け20日の日経平均は120.77円高と反発。米ミシガン大学消費者信頼感指数の9月期待インフレ率が低下したことや中国成都市での都市封鎖解除が好感されたほか、週明けの米株式市場が反発したことで買い戻しが優勢となった。しかし、翌21日は375.29円安と大幅反落。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を目前に控えるなか、20日の米国市場で米10年債利回りが2011年来の高水準を連日で更新し、主要株価指数が反落したことがリスク回避の売りを誘った。
連休入り前の22日は159.30円安と続落。FOMCで政策金利見通しが大幅に引き上げられたことで金利先高観や景気後退への懸念が強まり売りが膨らんだ。日経平均は一時26955.18円(357.95円安)まで下落する場面があった。ただ、日銀金融政策決定会合で現状維持が決まると為替の円安が急速に進行し、自動車関連などが買われ、指数も徐々に下げ幅を縮小。結局27200円近くまで戻す展開となった。
■需給イベントも攪乱要因か
来週の東京株式市場は軟調か。国内が連休入りしてからの22、23日の米国市場では金利上昇・株価下落が続き、ダウ平均は年初来安値を更新した。金利先高観と景気後退・企業業績悪化に対する懸念から東京市場でも上値の重い展開が続きそうだ。FOMCで政策金利は3会合連続で0.75pt引き上げられ、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標は3.00~3.25%となった。政策金利見通し(ドットチャート)では2022年末に政策金利が4.4%(中央値)まで引き上げられた後、来年23年末には4.6%(同)まで引き上げられることが示された。
FOMCの結果公表前、FF金利先物市場は来年3月をピークに政策金利が4.5%近くまで上昇した後は利上げが停止され、来年末時点では4.0%程度の水準を予想していた。しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)が示したターミナルレート(政策金利の最終到達点)は来年末時点で4.6%と、ピーク時点の予想をも上回った。また、24年末については今後のデータ次第で変わり得るものの、中央値では3.9%とされており、現時点では高水準の金利が約2年にわたって維持される見込みだ。
パウエルFRB議長は記者会見で「今の政策金利水準は抑制的な領域において一番低いところにある」と言及した。インフレ抑制を最優先にするとの主張を繰り返しているFRBの姿勢を踏まえれば、今後もまだまだ利上げを続けるという積極的タカ派スタンスが示されたと解釈できる。そうしたスタンスはFRBの最新の経済成長見通しからも窺える。2022年の米国経済成長率は6月時点の1.7%から0.2%へと大幅に下方修正され、23年も1.7%から1.2%へと引き下げられた。潜在成長率が1.8%とされていることから、来年もインフレ沈静化のために景気を大きく抑制することが示唆されている。FRBはもはやソフトランディング(経済の軟着陸)を諦めており、ハードランディングは避けられないとの見方に変わりつつあるようだ。
世界的な金利上昇圧力も懸念材料だ。英国では中央銀行による国債売却が10月から開始されるほか、トラス新政権による大規模な財政政策と国債増発などが懸念され、英2年債が4%を上回るなど2008年来の高水準を記録。FOMC通過後に景気後退懸念で一時上昇が止まっていた米10年債も22日には一時3.8%を付ける動きが見られた。金利先高観が残り、今後景気が後退してもすぐには利下げに転じないことが想定されるなか、株式市場においては株価バリュエーションであるPER(株価収益率)に対する上値抑制圧力と企業業績の悪化による一株当たり利益(EPS)への下押し圧力が予想され、当面厳しい展開が続きそうだ。
こうした中、来週は米国で耐久財受注や消費者信頼感指数、新築住宅販売件数が、中国では週末に購買担当者景気指数(PMI)が発表を控えており、足元の景気を確認するうえで注目される。また、米国でのナイキ、マイクロン・テクノロジーの決算は米国内での消費と半導体業界の動向を確認するうえで注目されよう。指標や決算の予想比での下振れは景気後退懸念を更に強める可能性があり、注意が必要だ。
ほか、来週は国内での需給イベントにも注目。28、29日にかけては配当再投資に絡んだ買い需要が現物・先物の合算で1兆円前後(TOPIX(東証株価指数)8000億円強、日経平均1500億円強)見込まれている。一方、日経平均採用銘柄の入れ替えに伴い、日経平均既存銘柄には28、30日の計2日間で5000~6000億円程の売り需要が出る見込み。日経平均には差し引きで4000億円程の売りインパクトが出る計算になる。NT倍率は低下する公算が大きく、値がさ株などの動きには注意が必要だろう。
■米耐久財受注、米消費者信頼感指数、中国PMIなど
来週は26日に独9月Ifo景況感指数、27日に米8月耐久財受注、米9月CB消費者信頼感指数、米8月新築住宅販売件数、28日に日銀金融政策決定会合議事要旨(7/20~21開催分)、配当・優待権利付き最終日、米 8月中古住宅販売仮契約、29日に米4-6月期GDP改定値、30日に8月失業率・有効求人倍率、8月鉱工業生産、8月商業動態統計、8月住宅着工統計、中国9月製造業/非製造業PMI、中国9月財新製造業PMI、米8月個人消費支出(PCE)コアデフレータなどが発表予定。
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