任天堂(7974):日本証券新聞 伊藤明

著者:伊藤明
投稿:2021/03/15 19:35

短期調整から「底入れ」へ

任天堂 日足一目均衡表
任天堂 日足一目均衡表出所:日本証券新聞Digitalテクニカルチャート

【底入れ機運】
一連のグロース株逆風の流れで売られてきたが、マザーズ指数の底離れめいた動きを見ても、ひとまず「そろそろ」の感。
任天堂自体、昨春来、概ね3カ月前後の周期で、調整と復活高を繰り返しており、2月17日高値6万9830円から3月9日安値5万7610円まで、13営業日で17.5%の短期急落を経て、ここ底入れ機運が生じている。

【海外売上比率と為替レート】
海外売上比率77%(前3月期)のこの株にとって足元の円安・ドル高基調は、格好の追い風となりうる。
同社の為替前提は、期初段階から「1ドル=105円、1ユーロ=115円」で変更がない。
直近レートは対ドルで109円台まで円安進行となっているが、そもそも対ユーロでは130円台と、こちらの方がインパクトは大きい。

【アナリスト評価と目標株価】
そして、2月18日に開催された「ニンテンドーダイレクト」を機に、アナリスト評価がうなぎ登りとなっていることに改めて注目したい。
同社の高値形成が2月17日。アナリストが何を言っても書いても、相場の流れが下に向かっている時は見向きもされないが、
いったん流れが変わると、本来の実力が見直されることはあり得る話。

2月に入ってからの各社の目標株価変更を追うと…。
・水戸証券 8万円→8万5000円
・シティグループ証券 7万2000円→8万1000円
・SBI証券 5万円→7万6400円
・東海東京調査センター 8万円→10万円
・大和証券 6万5000円→8万5000円
―といったところだ。

任天堂の最高値はもちろん、2007年11月の7万3200円。
2月高値時点で「あと5%足らず」まで迫りながら、その後で失速した経緯がある。
今度は8万円台の予想が相次ぐ一方、ついに10万円予想まで。

目標株価の“最高値”を提示した東海東京調査センターでは、
「『あつまれ どうぶつの森』の大ヒットに より温存していた新作大型タイトルの発売で新作ラッシュとなる」
「ニンテンドーダイレクトでは、『戦国無双 5』『マリオゴ ルフ スーパーラッシュ』『ゼルダの伝説 スカイウォードソード HD』『Splatoon3』等、有力タイトルが多数発表された」としている。

各社間では直近の3月10日付で目標株価を引き上げた大和証券は、
「年後半にかけた株価上昇を想定」としており、上昇時期は、年後半以降の戦略が示される5月まではバリュエーションが抑えられるとの立場だが、それでも「株価は上場来高値(7万3200円)がとりあえずの上値として意識される可能性がある」としている。

【米国からのフォローの風】
米国追加経済対策が11日に成立し、今週中にも1400ドルの個人給付金が支給されれば、消費などでの米国経済活性化につながり、
米国売上比率の高い銘柄(大和証券の木野内さん言うところの「米国プレイ銘柄」)に関心が高まる場面があっても不思議はない。
いろいろな観点から、任天堂再浮上の機が整いつつあると考えられる。

伊藤明
株式会社日本証券新聞社 テクニカルアナリスト
配信元: 達人の予想

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