―新型コロナに負けないハンドレッドバガーの夢を乗せた大型株見参!―
●コロナショックよりもコロナバブル
2021年相場がいよいよスタートする。今年は日経平均株価が3万円大台を視界に捉えることができるかどうか要注目の1年となる。
2020年相場を振り返ると、ひとことで言えば新型コロナウイルスに翻弄された1年であったといえる。東京株式市場は電撃的な暴落に見舞われ、日経平均は2万3000円台半ばから1万6000円台半ばまでフリーフォール状態で7000円も水準を切り下げた。しかし、下げた期間としては2月下旬から3月中旬までの出来事であり、年を通してみればコロナショックがマーケットを襲ったのは12ヵ月のなかで1ヵ月間にも満たない短いタームに限られた。
その後は、周知のように日経平均は漸次水準を切り上げる展開で、実体経済とはカイ離した過剰流動性相場が繰り広げられた。その期間は3月下旬から12月まで実に9ヵ月にわたった。つまり、20年相場の本質はコロナショックではなく、暴落後に訪れた9ヵ月にわたるコロナバブルに売り方が翻弄された1年であった、と表現した方が的を射ている。コロナバブルとはつまり、フリーズ状態に陥った経済を支えるために打ち出されたなりふり構わぬ各国政府の財政出動と中央銀行による量的金融緩和政策を意味する。
●米株“最高値圏の舞”を演出したGAFAM
そして、何といっても世界株高の中心軸である米国株市場の強さが際立った。米国では新型コロナによる影響が日本とは比較できないほど深刻だったにもかかわらず、NYダウ、ナスダック総合指数ともに最高値圏に舞い上がった。全体株価を高みに押し上げた原動力は日本企業が束になってもかなわない巨額の時価総額を誇るGAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)の存在だ。新型コロナでダメージを受けても強い株は必ず勝ち残り、大きな試練も次のステージに跳躍するための踏み台に変えてしまう。そこには、上場後にテンバガー(10倍株)ではなくハンドレッドバガー(100倍株)の夢をたぐり寄せるという、株式投資の真骨頂が集約されている。
シンボルストックともいえる選りすぐられた株は、テンバガー化したから終わりということではなく、そこからより強く高く株価を飛翔させる。2021年相場で本領を発揮する日本版GAFAMは果たしてどういう銘柄なのか。今回の特集では、その候補となる8銘柄をエントリーした。
●新年相場で輝き放つ「リトルGAFAM8銘柄」
◎トヨタ自動車 <7203>
自動車業界の盟主で時価総額は25兆円を上回り、日本の上場企業の中でも2位以下を大きく引き離して断トツの存在。米国株市場では電気自動車(EV)大手のテスラが60兆円を上回る時価総額でGAFAMに迫っているが、ガソリン車からの環境車へのシフトはEVオンリーではない。内燃エンジンは中長期的にも重要技術であり、ハイブリッド車や燃料電池車などを含め、同社の総合力で群を抜く実力は、海外投資家などから改めて評価の対象となることが予想される。21年3月期営業利益は1兆3000億円を計画しているが、保守的な要素が強く増額修正の公算が大きいとみられる。米国や中国での新車販売の回復は22年3月期以降の業績V字回復を暗示している。
◎任天堂 <7974>
家庭用ゲーム 機で「ニンテンドースイッチ」が爆発的なヒットを記録したほか、ソフト開発力でも抜群の実力を有する。米国や中国など海外展開力で他社を圧倒し日本を代表するゲーム業界のトップメーカーとして不動の座を占める。20年は新型コロナウイルスの感染拡大を背景に巣ごもり消費が喚起される年となったが、レジャー分野において同社はその恩恵を享受し、足もとの業績も会社側想定を上回る好調ぶり。世界のゲーム市場をスイッチが席巻している状況だが、ソフト販売については利益率の高いダウンロード比率の高さが強みとなっている。また、中国テンセント社とはスマートフォンを加えた新ゲームの共同開発を進めている。21年3月期28%営業増益予想は、大幅上振れの公算大。
◎ソニー <6758>
電機メーカーとして国際的に不動のブランド力を誇る。半導体、ゲームのほか音楽、映画、金融など幅広く展開。なかで世界シェアの半分を握るCMOSイメージセンサーは同社の成長エンジンを担う看板商品といってもよく、高速通信規格5Gの商用サービスが世界的に本格離陸するなか、米アップルの「iPhone 12」をはじめ5G対応スマートフォン向けで需要獲得が今後更に加速していくことになる。アップルのヘッドマウントディスプレー(HMD)にもソニー製部品が採用されるなど両社の連携は強い。21年3月期は減益見通しながら、コロナ禍での巣ごもり消費を追い風にゲーム事業が好調、家庭用ゲーム機「プレイステーション5(PS5)」の投入をバネに来期以降の成長余力の高まりに期待。
◎レーザーテック <6920>
半導体関連装置が売り上げの8割以上を占めるが、主柱を担う半導体マスクブランクス検査装置では世界シェアをほぼ独占しグローバルニッチトップとして君臨する。5G関連投資や世界的なテレワーク導入加速を背景としたデータセンター増設需要が追い風となり、半導体市場は今後一段と拡大基調が顕著となることが予想される。とりわけ、世界の大手メーカーがEUV露光技術を用いた半導体の量産体制確保に傾注していることで、同社はEUV装置向けマスクブランクス検査装置を提供するオンリーワン企業として極めて追い風の強いポジションに立つ。EUV向け検査装置の受注は今年前半から再び加速するとみられている。22年6月期営業利益は今期推定比倍増の340億円前後が見込まれる。
◎エムスリー <2413>
最新の医薬品情報サービス「MR君」や国内最大の医療従事者向け会員制サイト「m3.com」などを運営し、製薬会社のマーケティングや情報支援ビジネスを展開する。また、医療従事者向けWebセミナープラットフォームでも群を抜く。筆頭株主のソニーとは新型コロナウイルスの診断支援サービスで連携するほか、協業体制で医療分野における新規事業開発に取り組んでいる。また、LINEと共同出資で設立したLINEヘルスケアが運営するオンライン診療サービス「LINEドクター」も注目。今年の早い段階で対応できる医療機関を2000ヵ所に増やす計画にあり、同分野でも業容拡大が加速する。02年3月期から20年近くに及ぶ大幅増収増益トレンドは思わず目を見張るよりない。
◎キーエンス <6861>
FA 用センサー のトップメーカーで半導体や自動車業界向けなどをはじめ高い商品競争力を誇る。レーザーなどの判別変位センサー、画像処理センサー、圧力センサーなどその商品カテゴリーも圧倒的。足もとの業績面では、新型コロナウイルスの感染拡大で企業の設備投資意欲が鈍り、収益環境は逆風を強いられ20年3月期に続き21年3月期も減益を余儀なくされそうだ。しかし、世界的な半導体市場の拡大はもとより、EVなど電動車市場の成長を背景として22年3月期以降は再び大幅増益基調に転じる可能性が高い。IoT全盛時代に同社の存在価値は極めて大きく、株価は20年代後半に向けた中長期的な成長未来図をにらみ上場来高値圏を突き進む展開が想定される。
◎日本電産 <6594>
HDD向けなどの精密小型モーターで世界トップに位置するが、車載用に注力し業容拡大が急だ。M&A戦略にも長じている。世界的な「脱炭素社会」への取り組みを背景にガソリン車からEVへのシフトが進むなか、同社のEV向けトラクションモーターシステム(駆動用モーター)の需要拡大に構造的な追い風が吹いている。顧客社数も増勢顕著となっているが、中国での需要開拓が今後も期待される。中国では35年にすべての新車販売についてEVを中心とする環境対応車とする方針が伝わっており、同社にとってはチャンスだ。21年3月期営業利益は前期比27%増の1400億円見込みだが上振れる公算大。22年3月期も駆動用モーターの成長により3割以上の増益が有望視される。
◎村田製作所 <6981>
電子部品メーカーとして国内を代表する企業だが、特に積層セラミックコンデンサー では一頭地を抜く商品競争力を誇る。5Gサービスの立ち上がりやIoT社会の進化は同社にとってそのままビジネスチャンスの拡大につながっていく。米アップルの「iPhone 12」など今後5G対応スマートフォンの本格普及がコンデンサー需要拡大に拍車をかける。また、自動車の電装化が急速に進展していることも見逃せない。既に世界最小・最薄の車載向け積層セラミックコンデンサーの量産を開始、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転車向けで存在感を際立たせることが必至だ。21年3月期は小幅減収減益見通しながら、22年3月期は営業利益段階で今期予想比2ケタ成長トレンドへの復帰が濃厚。
★元日~4日に、2021年「新春特集」を一挙、“25本“配信します。ご期待ください。
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株探ニュース
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