先週は感染拡大止まらず、米株安を受け一時3年4ヶ月ぶりの17000円割れ
今月の始めの週に、1週間から2週間の13日(金)のメジャーSQまで2週間は大きな上下動を伴った調整になるとしました。先週は円高進行によって上値を重くしており、まず2万円の攻防を想定していましたが、週末にはメジャーSQを控えてボラティリティが高いため波乱商状が続くとしました。
ところが、想定していたような波乱商状ではなく、世界暴落となって先週は週を通して日本株式は全面安商状でした。その背景は、アメリカを始め世界の主要国に新型肺炎の感染拡大が止まらず。11日(水)には世界保健機構(WHO)がウイルスの世界的大流行(パンデミック)を宣言しました。そうなるとNYダウは▲2352ドル(約10%)とブラックマンデー以来の急落となり、下落幅では過去最大となりました。そのため世界の株式市場は全面安となって底値が見えない状況となっています。週末の日経平均は一時▲1869円の16690円まで急落し、引けは▲1128円の17431円でした。2万円攻防の予想が19000円、18000円、17000円を切って16000円台後半まで下げたのですから異常といえます。異常の原因は、1つにはAI(人工知能)にあるといえます。機械ですから感情を挟まずに、収束の見通しのない新型肺炎の分析を行い、冷静に行くところまで行くという動きになっているのでしょう、ということは収束のキッカケが出てくると、これとは逆に上昇し続ける可能性があります。チャートをみる限り16000円が当面の下値ポイントのように見えます。しかし、AIの行動からは16000円も15000円も機械的に下げていくことが考えられます。
9日(月)は、▲406円の20343円で寄り付き、一時▲1277円の19472円と1年2ヶ月ぶりに2万円を割り込みました、後場になると日銀のETF買い観測を支えに大引けにかけて下げ渋りをみせるものの、戻りは限定的で▲1050円の19698円と大幅続落となりました。
10日(火)は前日の米国市場で、OPECプラスでの減産協議が決裂し原油が暴落、これを受けてNYダウが▲2013ドルの23851ドルの急落となったことで、前場の日経平均は一時▲806円の18891円まで下げましたが、その後、急速に下げ幅を縮小し、後場は△272円の19970円まで上昇し、終値は△168円の19867円と3日ぶりに反発しました。日足をみると下ヒゲの長い陽線となっているので、ふつうならば、ここでいったん反発となるところですが、ウイルスの感染拡大という現実の前では期待できそうにありませんでした。
11日(水)は前日の米政府の景気対策への期待からNYダウは△1167ドルの25018ドルへと反発するものの、時間外取引で米株先物が下落していたことで、日経平均は▲108円の19758円で寄り付き、後場には▲474円の19392円まで下げて、終値は▲451円の19416円の大幅反落となりました。
12日(木)は、前日のアメリカ市場は政府の景気対策への期待が大きく後退したことで反落に転じ、世界保健機構(WHO)がウイルスの世界的大流行(パンデミック)を宣言したことで、NYダウは▲1464ドルの23553ドルと大幅反落したことで、日経平均も大幅反落となりました。午前10時ごろトランプ大統領が英国を除く欧州の渡航を30日間停止したことで、一時▲1076円の18339円まで下落し、終値は▲856円の18559円と大幅続落しました。
13日(金)は、前日の米国市場では米国政府の経済政策への失望、欧州からの外国人の入国禁止、ECBが利下げせず、欧州株の急落を受けNYダウは▲2352ドル(10%)とブラックマンデー以来の急落となったことで日経平均は▲376円の18183円で寄り付いたあと、一時▲1869円の16690円の暴落となり、前引けは▲1478円の17081円でした。後場になると米株先物が上げに転じたことや円安基調で一時18184円まで戻すものの、買いは続かず終値は▲1128円の17431円と3年4ヶ月ぶりの17500円割れとなりました。3月のSQ値は17052円でしたので週の終値ではSQ値を上回って引けました。
引け後の米国市場では、トランプ大統領が「国家非常事態を宣言し、ウイルス検査体制の強化や学生ローン金利支払いの免除や、戦略的備蓄からの石油放出など対策を発表したことで、NYダウは△1985ドルの23185ドルと急反発し、ドルが買われて円は108円台まで売られました。シカゴの日経先物は△1140円の17930円でした。
今週は、欧米の株式に注目しつつ、底値を探る自律反発の動きも
今週は、先週末の米国株が急反発したことで、日経平均も大きな反発で始まることになりそうです。それが継続するかどうかは、トランプ政権が発表した給与税減税が盛り込まれた決定的な財政・金融刺激策が打ち出されるかどうかにかかります。米国株は先週の動きが投げ売り(セーリングクライマックス)に近い形となったので、今週から底入れを期待する見方もありますが、今回の下げは収束の見通しが立たないコロナウイルスが原因ですので、過去の動きがそのまま通用するかどうかわかりません。そのためには各国の政府が思い切った財政・金融を総動員して市場の下落を支えられるかどうか試す以外に方法はないといえます。そのため日経平均は米国の展開をみながらの動きとなります。需給関係でみると12日発表した3月第1週(2~6日)の投資部門別売買動向は、4週連続の売り越しとなっており、今週は17日にFOMC、18日にパウエル議長会見、日銀金融政策決定会合、19日に黒田総裁の会見と日米のイベントが予定されていましたが、FRBや日銀が予定は前倒しし、FRBが事実上ゼロ金利を打ち出し、日銀も金融緩和の強化を決定しました。これを受けて株価も下方への流れを食い止めることができるのかも一つの焦点といえます。この5週間で23000円台から17000円台割れまで一直線に7000円以上も下落しているので自律反発が起きやすい局面でもあります。
本日は、先週末のNYダウが約2000ドルの上昇を受けて、△155円の17586円で寄り付き、その後は、前日終値を挟んだもみあいとなっていましたが、日銀が決定会合を前倒しして本日、金融緩和の強化を発表し、これに反応して一時、上昇しましたが、その後は失速して引けは▲429円の17002円を大幅下落で終わりました。
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(指標)日経平均
先週の予測では、週末13日(金)にメジャーSQを控え、ボラティリティが高まるため、2万円割れを試す展開を想定しました。特に米株式が感染拡大を嫌気して下落する場合は、2万円を大きく割ってくることを想定しました。柴田罫線では、前週に2016年11月9日の16111円からの上昇トレンド(A)を下に切ったので、下値確認の動きになることも想定されました。
結局、NYダウの暴落に連動し、日経平均も下げが止まらず、13日(金)には16690円まで下落し、終値は17431円で引けました。下値圏で長い下ヒゲがでているので反発する可能性があるところでしたが、週明けは反発から始まることになります。シカゴの日経先物は△1140円の17930円でした。
今週は、欧米市場で新型肺炎の感染拡大の悪材料が広がる中、株式市場の暴落に歯止めがかかるかどうかが焦点とまります。日本の引け後の米国市場でNYダウなどが急反発しましたので、米政府の大規模財政出動の期待が実現するかどうかが相場の回復を継続できるかどうかとなります。日経平均は欧米株式市場をみながら当面はセンチメンタルに基く株価の動きとなっていくため、明確なボトムの見極めはつけにくいですが、柴田罫線でみると16000円台はボトム圏の可能性もあり、下げ幅からはタイミング的には自律反発するところです。
(指標)NYダウ
先週の予測では、新型肺炎の感染は中国で落ち着いてきたものの、逆に米国や世界各国で感染拡大が止まらない状況としました。特に米国ではクルーズ船の問題もあり、大きな上下動を伴って下値を探る動きになるとしました。
NYダウは、週始めはOPECプラスの減産協議が決裂し原油が暴落し、つれてNYダウも▲2013ドルの急落となりました。3月10日(火)は、政府の景気対策への期待から△1167ドルと反発しましたが、しかし、11日(水)は世界保健機構(WHO)がウイルスの世界的大流行(パンデミック)を宣言したことで、▲1464ドルの急落となりました。さらに12日(木)は世界景気後退懸念からブラックマンデー以来の急落(10%)の▲2352ドルとなりました。下落幅で過去最高でした。しかし、日本市場が引けたあとの米国市場でトランプ大統領によるウイルス対策やその他の景気政策が出てきたことで△1985ドルの23185ドルと急反発となりました。
先週末のNY株式は、米国の大規模な財政措置が待たれる中、世界各国が金融・財政刺激策を発表したことが好感され急反発。アップルが中国の一部で営業を再開したこともサポートとなっています。
しかし、ウイルスの感染拡大で世界経済の後退は避けられない状況になっています。米国の財政支援策がカギを握っており、トランプ大統領が推奨している給与税減税も盛り込まれた決定的な政策が早期に発表されれば、相場の回復要因となります。
(指標)ドル/円
先週の予測では、FRBの追加利下げ観測(ドル安要因)のため、ドルの上値は重いとし、米国株安→金利低下→ドル売り→円高による日本株安の連鎖を想定しました。
週前半は、米株式の急落で一時、1ドル=101.25円までドルが売られました。しかし、その後、政府の景気対策への期待からドルが買い戻され、103~105円の間のもみあいとなりました。ドルはFRBによる追加レポオペを受け、安全資産となるドル買いが膨らみました。週末の3月13日(金)には104.48円から108.48円までドルが買われ108円台で引けました。
先週は、米長期金利上昇でドルが買われました。今週もFOMCによる大幅利下げの公算がり、ドルは底堅い動きが想定されます。FOMCの利下げはかなり織り込んでいるものの、さらに大規模財政出動への期待は意識されているためドルはしっかりした動きになると思われますが、昨日の15日(日)にFRBは事実上のゼロ金利政策を導入すると発表しました。
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