いったい9月利上げはあるのか?&ドル円の状況

著者:平野朋之
投稿:2016/09/12 11:31

■今週の重要指標とは?


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■先週末は、FOMCでの投票権を持つ理事及び連銀総裁のタカ派寄りの発言がきっかけで、年内利上げを意識した動きからドル買いが優勢となりました。
更にNYダウも下げ幅を400ドル近い水準まで暴落するなど警戒感を強めましたが、その後は様子見が強く、103円台から軟化し、102円台後半で伸び悩みました。


■今週は、FOMC前の最後の個人消費に関する指標が発表されます。

・9月15日(木)小売売上高
・9月16日(金)消費者物価指数

この2つは特に注目する材料となります。


■振り返れば、雇用統計や失業率、そして平均時給が予想数値に届かなかったことで、9月利上げ期待は若干遠のいたイメージでしたが、労働市場の改善という意味合いでは継続している数値で、年内利上げを否定するものではないとみています。

しかし、個人消費及び足元のインフレという点においては、まだ課題があるように感じます。
先般のISM景況指数をみれば失望させられる数値で、脆弱さが際立つ印象です。
その点では9月にギャンブル的な利上げを仕掛ける必要はないはず、むしろ12月に照準を絞れば、年1回の利上げを行うことで、「緩やかな利上げ」が正当化されます。


■これまでの流れをみれば、世界情勢の不透明及び不安定から始まり、長引く原油価格の下落を背景に、リスク回避を余儀なくされてきました。
その状況下で金融正常化を目指すFRBの舵取りは、当時「年2~3回の利上げ」をイメージしていた予定も、いとも簡単に崩されるほどの「米国経済の弱さ」だったと説明すれば納得もできます。
その意味では、ひいき目に見た場合、年1回の利上げ、つまり「12月の追加利上げ」は可能性的にはあり得るとみています。


■本日は、注目する経済指標はないので、株価や原油価格を横目にしながらの展開と予想しています(但し、要人発言には注意)。
特に、週末のNYダウの急落から日経平均株価の影響がどの程度あるのか・・・?

株安が予想以上に強い場合には、リスク選好が抑制されるので、102円台ミドルを中心に展開するとみています。
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想