買い気盛り上がらず続落、円高進行に警戒感も

著者:冨田康夫
投稿:2016/08/15 18:55

明日の東京株式市場見通し

 16日の東京株式市場は、引き続き売買エネルギー不足の地合いが予想され、外国為替市場で再び円高・ドル安進行懸念が強まっていることから、利益確定の売りが出やすい展開で、日経平均株価は続落となりそうだ。

 市場関係者からは「お盆休み期間とあって、15日の東証1部の売買代金は1兆5701億円と5月30日以来約2カ月半ぶりの低水準となった。ただ、まさに相場格言の“閑散に売りなし”で、1ドル101円台前半へと円高・ドル安が進行した割には、小幅安にとどまる推移となった。しかし、現状の水準を超えて更なる円高が進行した場合には、下げが加速する危険性は十分ある」との指摘があった。

 15日の東京株式市場は、極端な薄商いのなかで目先利益確定の売りに押される展開。日経平均株価は、途中プラス圏に浮上する局面もあったが、上値の重さが意識されて買いが続かず、日経平均株価終値は前週末比50円36銭安の1万6869円56銭と小幅反落した。東証1部の売買高は12億4377万株と今年最低を記録した。

15日の動意株

 光通信<9435>=後場急伸。
15日正午ごろ発表の第1四半期(4~6月)連結決算が、売上高1012億7500万円(前年同期比4.7%減)、営業利益101億4200万円(同16.7%増)、純利益123億7800万円(同55.0%増)となり、2ケタ営業増益となったことが好感されている。店舗運営権の代理店への移管を推進したことで売上高は減少したが、自社開発商材やMVNOサービス、契約後の継続収益の一部を受け取るレベニューシェア型の商品・サービス(高ストックモデル)の獲得数が増えストック利益が増加。また、リアル店舗を運営する中小企業向けに、各業種に特化した予約管理システムの販売などを行う業種別・ITソリューション事業の契約店舗数も順調に推移し、増益に寄与した。

 シノケングループ<8909>=後場一段高。
5日・25日移動平均線のゴールデンクロス示現目前でトレンドフォローの買いが入ってきた。7月29日に日銀はETFの買い入れ枠を倍増する追加緩和策を発表したが、不動産セクターには恩恵が薄いとして、同社株をはじめ不動産関連株は下値模索の動きに移行した。しかし、それも目先は売り一巡から出直りムードが漂う。9月20~21日に開催される日銀の金融政策決定会合では緩和政策の総括的検証が行われる見通しだが、要人発言からも緩和縮小の動きは出ないとの見方が強い。

 関東電化工業<4047>=反発。
同社が10日に発表した第1四半期(4~6月)の連結営業利益は前年同期比22%増の21億9600万円と好調だった。この決算に対して、いちよし経済研究所では、予想(17億2000万円)を上回ったとし「リチウムイオン二次電池材料の採算改善が大きかったと推測される」と指摘。特に車載分野での需要が拡大していることなどを評価している。同経研では17年3月期の連結営業利益は会社予想76億円に対し83億円(前期比4%減)への増額修正を見込んでいる。

 イーブックイニシアティブジャパン<3658>=ストップ高。
前週末12日の取引終了後、ヤフー<4689>が同社株に対して実施しているTOBについて、TOB価格をそれまでの850円から1150円に引き上げると発表しており、これにサヤ寄せする格好となっている。TOB価格の引き上げは応募状況や今後の応募の見通しなどを総合的に考慮した結果、買付予定数の下限に達しない可能性があるためという。また、買付期限も8月15日から8月29日に変更した。

 イーレックス<9517>=大幅高。
同社は代理店を通じ余剰電力を買い取り顧客に販売、今年4月から開始された電力の全面自由化で業容拡大のチャンスを迎えている。4~5年後をメドに売上高1000億円のほか、売上高営業利益率10%、ROE20%、自己資本比率40%、配当性向20%以上といった野心的な経営目標に掲げているが、足もとの業績も好調だ。12日取引終了後、17年3月期の第1四半期(4~6月)連結決算を発表。売上高は54億7800万円(前年同期比12.1%増)、営業利益は7億2600万円(同4.2倍)、最終利益は4億9700万円(同4.9倍)と高変化を示しており、通期最終利益予想に対する、第1四半期時点の進捗率は35%に達した。

 ダブルスタンダード<3925>=ストップ高。
同社は前週末12日の取引終了後、17年3月期の連結業績見通しについて、売上高を10億8400万円から12億400万円(前期比27.0%増)へ、営業利益を3億5000万円から4億円(同56.2%増)へ、最終利益を2億2000万円から2億5200万円(同58.5%増)へ上方修正したことが好感されている。新規案件の受注および新規顧客の獲得が想定を上回っていることが要因。また、業績予想の修正に伴い、従来未定としていた配当について、期末一括で33円(前期26円)を実施すると発表したことも好材料視されている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想