翌週の日米金融政策会合を前に手控え、為替連動の流れ継続

著者:冨田康夫
投稿:2016/06/03 19:38

来週の東京株式市場見通し

 来週の東京株式市場は、翌週に日米の金融政策決定会合が相次ぐことなどから、積極的な売り買いが手控えられる地合いとなりそうだ。今週末の3日こそ日経平均株価は小幅反発に転じたものの、1日、2日の大幅続落の後遺症は来週も尾を引きそうだ。ただ、日本時間今夜発表される米5月の雇用統計が予想に比べて強い内容となった場合は、米早期利上げ観測の浮上により、外国為替市場での円安・ドル高が進行する可能性もある。

 来週の日経平均株価の想定レンジは、1万6200~1万7100円とする。

 政府が2日に、今後の経済財政運営の基本方針(骨太の方針)と「ニッポン一億総活躍プラン」を閣議決定したものの、既に織り込み済みで新鮮味に欠ける内容のため、政策期待は希薄な状態だ。したがって、来週も外部要因による為替変動に左右される推移となりそうだ。ただ、週末にかけてはメジャーSQ(特別清算指数算出)を前にして波乱展開となる可能性もある。

 市場関係者からは「3日の東証1部の売買代金は、1兆7695億円と4日ぶりに2兆円を下回った。外国人投資家が日本株に対して見送り姿勢を続けている限りは、市場エネルギーを伴った本格的な戻り相場は期待できそうもない」との見方が出ていた。

3日の動意株

 Aiming<3911>=後場に入って一時ストップ高で初来高値更新。
同社はきょう、スマートフォン向けボスバトルRPG「トライリンク 光の女神と七魔獣」の事前登録を開始したと発表。配信時期は7月上旬を予定しており、新たな期待材料となっているもよう。また、5月31日に開始したスマートフォン向けRPG「空と大地のクロスノア」の事前登録者が、2日正午時点で5万人を突破していることも引き続き材料視されている。

 カイオム・バイオサイエンス<4583>=後場急伸。
この日の午前11時30分、同社が開発を進めているヒト化TROP-2抗体について、ニュージランドで特許付与が決定したと発表し、好感されている。ヒト化TROP-2抗体は、乳がんや大腸がんをはじめとする固形がんの細胞表面に発現している抗原(標的分子)「TROP-2」に結合し、がんの増殖活性を阻害するモノクローナル抗体。既に疾患モデル動物を用いた試験により顕著な抗がん活性を示すことが確認されており、これまでに米国で特許が成立し、日本・欧州を含む各国で特許を出願している。なお、16年12月期業績に与える影響は軽微としている。

 東和薬品<4553>=3日ぶり急反発。
岩井コスモ証券は2日、同社株の投資判断を新規「A」とし目標株価を6900円に設定した。同社は後発医薬品(ジェネリック)の専業メーカー。ジェネリックの使用促進策が追い風で、17年3月期の売上高は前期比14%増の935億円と2ケタ増収の見込み。営業利益は前期比6%減の105億円と減益予想だが、これは生産設備の増強などにかかる減価償却費の増加などによるもの。18年3月期の同利益は今期推定比24%増の130億円と再度、増益基調に戻ることが予想されている。

 ファーストリテイリング<9983>=大幅反発。
2日の取引終了後に発表した5月の国内ユニクロ売上高速報で、既存店売上高が前年同月比5.9%増となり、2カ月連続で前年実績を上回ったことが好感されている。5月は天候に恵まれたことで、前月に続いて「ジョガーパンツ」や「エアリズム」などが好調だった。また、ゴールデンウイーク中のキャンペーンや月末に実施した「感謝祭」なども寄与したとしている。

 アダストリア<2685>=続急伸。
2日の取引終了後に発表した5月の国内月次売上高で、既存店売上高が前年同月比3.1%増となり、6カ月連続で前年実績を上回ったことから、足もとの強さを好感した買いが入っている。平年に比べて気温が高く、天候にも恵まれたことから、夏物衣料の売れ行きが順調に推移し、前月に続き半袖トップスが好調。また、雑貨ではサンダル、レイングッズなどの季節アイテムにも動きがみられた。

 インテリックス<8940>=4日ぶりに急反発。
同社は2日の取引終了後、東京証券取引所から6月9日付で東証2部から1部市場へ指定されることになったと発表。この日は、東証1部指定によるTOPIX採用に伴い、機関投資家の新たな組み入れニーズが発生することなどへの期待感からの買いが流入している。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想