yuhsanさんのブログ
需給相場の行き着く先は-その1
今年の相場は、
一つは、流れが下向きになっていること、
二つは、上下波動が大きいこと、
が特徴です。
昨年は右肩上がりの相場でしたが、今年に入って流れは、下向きに変わってしまいました。昨年大きく買い越した外国人が、市場から資金を引き上げている一方、それを埋める日本人の買いが入らないため、需給が悪化しているからです。外国人売りは、アベノミクスに対する期待値の後退もありますが、昨年買いを入れたヘッジファンドの反動売りの面も大きいと見ていたのですが……。
昨年も同じ傾向でしたが、外国人の買いに対して、現物の売りがあったため、相場の動きが抑えられていました。ところが今年は、外国人の売りに対して現物の買いが入ってこないため、どうしても下に大きく振れる相場になってしまいます。
なぜでしょう。私は、12年に民主党政権から自民党政権に移行したとき、投資環境が大きく変わると見て、安倍内閣存続期間中に、日経株価はフェアバリュー上限の20,000円をつけるとしました。その最大の根拠は、株に優しい内閣だということでした。株は長期に持っていれば報われる、という投資環境に変わったと見たからです。
ところが「株に優しい」のは、外国人と証券会社だけで、個人にとっては、証券税制の見直しや、変動の激しい値動きばかりで、長期に持って報われる投資環境ではありません。証券増税の見返りとして導入したNISAは、まるで子供だまし。大口投資家からはそっぽを向かれ、新規参入者からも長期に持つことの恐怖を植えつけただけです。個人は、相変わらずデイトレに精を出し、高い税金を納めなくてはなりません。
昨年売り越して儲けた日本人は、その分を株に再投資して、外国人の売りを吸収しなくてはならないのですが。ここにきて、個人を大事にしない政策のつけが出てきているのです。
外国人は、おもに指数を売買します。指数売買は、外国人ばかりでなく、日本の個人でもかなり広く利用されているようです。無理もありません。昨年の株式投資のパフォーマンスは、日経のETFを買い持ちしている人が最高で、私を含め株式売買を繰り返している人の多くは、日経指数に及びませんでした。
これだけ指数売買が相場の中心となると、株価は「ファンダ」でも「チャート」でも決まらず、もっぱら、材料中心の需給で決まる一方通行になってしまいます。材料は、ウクライナ情勢に始まって、マレーシアの航空機事故、中国の経済問題、北朝鮮と毎日のように発生し、そのたびに上下に激しく変動します。世界で一番変動の激しい市場になってしまいました。
以前は、為替相場やアメリカの株価との連動性が高かったのですが、最近では材料にもならなくなってしまいました。昨日のアメリカ市場は堅調な動きでしたが、日本市場への影響は、あまり期待できません。日本は、需給だけで動く、死んだ市場になってしまったからです。
ファンド筋の売買は、日本の会社を買っているわけではありません。先物やETFといった、いわば、多数の集合体を売買しています。それも値動きの激しい日経225を中心にしているため、現物市場では指数構成の値嵩株が、考えられないほど大きく動きます。最近では、ブルベア型のように相場の変動の倍になるようなETFが、相場を大きくさせているようです。
昨日も、ユニクロ、ソフトバンクが下げ、さしたる材料のないまま、ファナックが大きく上げています。本来ならば、日経225を構成するほかの銘柄に一種の裁定が入り、全体を動かすのですが、現物市場が薄いため、下がるときには反応して下がりますが、上がるときにはほとんど反応しません。NT倍率は広がる一方です。
裁定が働かない現象は、先物と現物、日経指数とTOPIX、ETFと現物、同一業種内部、PERと配当利回りといった、ほとんどすべての面で見られるようになってしまいました。
本来、市場のメカニズムを通して、このひずみ(格差)が解消されます。値上がり銘柄が下がり、上がらなかった銘柄が引き上げられれば、全体株価はほぼ合理的な水準に収まるのですが。現在の相場は、チャートもファンダもない、一部の銘柄の需給だけで動いているのです。だから……、
下値のメドも、方向感も「さっぱり、分かりません」
市場機能を失ってしまっている日本市場ですが、解決策はあるのでしょうか。
続きは明日に……。
Nice Guyさん
コメントありがとうございました。
私は株式市場は、隣を見て動くものと思っていたのですが、今は、
一物一価が働かない不思議な市場になっています。
石油は同じ品質なら輸送費を考慮して、何処でも同じ値段になるのですが……。
市場機能を回復させるのには、参加者を多くすることが一番ですが。
なかなかいい案は浮かびません。
gaspさん
コメントありがとうございました。
途中切れで、「この続きは、明日……」というのは心苦しいのですが、長文になり読む方も大変と思い分割させていただきました。
ご期待に添えるよう頑張ります。
> 裁定が働かない現象は、先物と現物、日経指数とTOPIX、ETFと現物、同一業種内部、PERと配当利回りといった、ほとんどすべての面で見られるようになってしまいました。
日本市場の時価の規模を考えれば、まるで新興国のそれではないかと見紛う現状。
貴兄のお考えご尤もと感じ入っております。
ただ、昨年は別にして一昨年も、その前の年もこんなネガティブ材料の折り込みに終始
した不甲斐ない相場でした。
>市場機能を失ってしまっている日本市場ですが、解決策はあるのでしょうか
外国ではみんなで渡れば怖くない、というのを英訳しても誰も笑わないそうです。
集団行動が投資の世界に数多くあったように、今は一斉に手を引いている局面で、
結局美味しいところを欧米人に食べられた後、日本人が我先に食らいつく壮観な
大相場もまた可能性があるということじゃないでしょうか。