元祖SHINSHINさんのブログ
敬愛すべき漫画家の、ひとりごと
まんがは素晴らしいメディアですが、万能ではないのです。
「古池や 蛙飛び込む 水の音」という芭蕉の句がありますね。
この十七文字が伝えるニュアンス、響き、背景に広がるイメージを、
絵や映像など他の手段で伝えようとしても、伝えられるものではありません。
文字と絵は、明らかに機能が違うのです。 ★1992年/「小学三年生」11月号/小学館・・・・①
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でも、これを破った漫画家がいたなぁ。
杉田圭「うた恋い。」、恐るべし。。
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まんがの描き方には、大きく分けて二つの方法があります。
一つは、まずテーマを決め、背景やキャラクターを決定し、ストーリーの初めから終わりまで、
ガッチリ固めた上で描き出す方法。
たいていのまんが入門書では、この方法をすすめているようです。
理想的なまんがの描き方です。
もう一つは、行きあたりばったり方式。思いついたら、すぐ書き始める。
足の向くまま、気の向くまま。
まったく無責任に、先の展開など作者にもわからない・・・・・・という危険な方法。
たいてい途中で行きづまったり、前後が矛盾したりして、完成度は期待できません。
でも、いますぐ売れる原稿を・・・・・・などと欲張らない限り、
これはなかなか楽しいトレーニングになるのです。
時には、思いがけない即興性のおもしろさを発見したりします。
とにかく終わりまで描いてみて、脈がありそうだったらあらためてジックリ描き直せばいいのです。
★1989年・・・・・・・・・・・・・・・・・・・②
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芥川賞を取った小山田浩子「穴」は、
後者の方法で書いたと川上弘美との対談で語られていた。
山田詠美が言っていたように、穴の正体を敢えて明かさない手法はありと思うけれど、
イタチ(のようなもの)が出てきた時にオイラは即・切れてしまった。
チェコの人気作家だというミハル・アイヴァス「もうひとつの街」にもイタチが出てきて、
(それも、すっごく大量に!)
やっぱり切れちゃったんだから、しょーがない。
生理的に受け付けない。
でも、たかがイタチで、ここまで作品がダメになるのは、かえってオモロイと思った。
川上弘美「神様」のように、それがクマだったら・・・。
(あるいは、オイラの好きなネコだったら・・・)
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(略)審査にあたって基準とされるのは、
この二条件「何を描いたか」「いかに描いたか」という点です。
この二条件を満たした作品は、なかなか見当たりません。
★1984年・・・・・・・・・・・・・・・・・・・③
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おお~、星新一賞に提出したオイラの稚拙な作品は、ひょっとして満たしているのかも。
あ、でも・・・・「政治的かつヤバイ内容を含むため、一次審査で落選」という可能性は高いんだが。
あ~あ。。
★「藤子・F・不二雄の発想術」
ドラえもんルーム編 小学館新書 700円+税 2014.2.8.初版第一刷
①:P.143より抜粋 ②:P.174~175より抜粋 ③:P.169~170より抜粋
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