元祖SHINSHINさんのブログ

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死の接吻(The Kiss of Death)

もうひとつ、補酵素Aは、脂質の構成成分である脂肪酸を分解して

クエン酸回路に投入していることも明らかにされている。

 

まず脂肪酸分子とは、メチル基(CH3-)とカルボキシル基(-COOH)とが、

炭酸水素の鎖(-CH2CH2CH2・・・)でつながったものである。

CH2の数は偶数で、これをnと表すと、脂肪酸分子は、CH3(CH2)nCOOHと表される。

 

補酵素A(HSCoA)はまず脂肪酸分子と結合して、「脂肪酸アシル補酵素A」となる。

CH3(CH2)nCOOH + HSCoA → CH3(CH2)nCOCoA + H2O

 

次に、脂肪酸アシル補酵素Aは分子内で構造変化を起こし、

脂肪酸アシル補酵素Aと「アセチル補酵素A」とに分解する。

この時、脂肪酸アシル補酵素中の脂肪酸分子は、

反応前に比べて炭化水素(-CH2-)の数が2個少なくなる。

この反応を「β酸化反応」という。補酵素Aがまず結合するのが、脂肪酸分子のカルボキシル基端から

2番目の炭素分子(β炭素)だからである。

 

β酸化反応は図5-20のように繰り返され、そのたびに脂肪酸の炭化水素数は2個ずつ減ってゆき、

最後には脂肪酸は2個のアセチル補酵素Aとなって、クエン酸回路に投入される。

この反応における補酵素Aのはたらきは、いったんとりついたら相手をばらばらに分解するまで繰り返すことから「死の接吻(kiss of death)」と呼ばれる。

 

脂肪酸のβ酸化反応は1950年代に、米国ウィスコンシン大学のグリーンらによって発見された。

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★「栄養学を拓いた巨人たち ~病原菌なき難病征服のドラマ~」

  杉晴夫著 講談社 940円+税 2013.4.20.第一刷 P.195~196より抜粋

 

まるで007映画の題名のような愛称なのが、気に入った。

学生の頃には聴講していてもオモロクも何ともなかった話が、

杉晴夫の手に掛かると、冗談のようにオモロイ話になっていた。

 

赤字の部分を読んだとき、補酵素A君がまるで他人には思えなかった。

こいつ、なかなか大した根性だな。。

 

クエン酸回路の発見などの段では、世界中の学者が競って研究しており、

そういう舞台の裏側を知ることが無味乾燥にみえる学問の世界をオモロクすると認識した。

この認識は小説を書くときにも、とても役に立つエッセンスになるだろう。

 

PS:河合隼雄との対談集だったろうか、「腹だけ痩せる技術」だったか、

   「夜中にラーメンを食べても太らない技術」だったか忘れたが、

   「どれもこれも、嘘っぱちだぁ!」みたいに激高していたのは、

   村上春樹だったw

 

   村上春樹も、某補酵素A君の「死の接吻」を受ければ、

   死ぬほど痩せるのではないだろうか。

   村上バンパイアに咬まれた腹いせに、オイラがいったろか?(静笑)

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