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スクウェア・エニックス・ホールディングスのニュース
―1~6月売り上げは大幅増、初のオンライン開催の影響は?―
9月23日から27日にかけて、世界最大級のコンピューターゲームの見本市である「東京ゲームショウ(TGS)2020 オンライン」が開催される。今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、会場を幕張メッセ(千葉市美浜区)からオンライン上に移して開催される予定で、リアルでの開催同様にさまざまなゲーム関連企業・団体が新作タイトルや新サービスなどの情報をTGS公式チャンネルやWebページを通じて発表するほか、eスポーツ大会も配信される予定という。
毎年、TGSが開催される前後はゲーム関連 の話題が増え、関連銘柄への関心が高まるが、今年は特に、コロナ禍を背景とした巣ごもり消費 により家庭用ゲームが注目されていることに加えて、ゲーム会社の業績も好調なものが多い。ゲーム会社が年間で最も収益を稼ぐ年末商戦に向けて、ゲーム関連への関心は更に高まろう。
●巣ごもり消費でゲームは好調
新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化した3月以降、家庭用ゲーム機やゲームソフトに対する消費が顕著に伸びている。総務省が発表した家計調査(二人以上の世帯)によると、3月以降、消費全体は前年同月比で減少傾向が続いているものの、テレビゲーム機及びゲームソフトなどは大幅に増加。3月には人気ゲームの新シリーズが発売されたこともあり、同月のゲームソフトなどの支出金額は前年同月比2.6倍に急拡大した。今年前半(1-6月)でも消費全体が前年同期比6.3%減となるなか、テレビゲーム機は63.5%増、ゲームソフトなどは76.8%増となっており、好調ぶりがうかがえる。
●「あつ森」によるユーザー開拓効果も
家庭用ゲームへの追い風は、巣ごもり特需によるものだけではない。よく知られているのが、任天堂 <7974> のニンテンドースイッチ向け「あつまれ どうぶつの森(あつ森)」によるユーザー層の拡大だ。
「あつ森」の4-6月期における販売本数は1063万本となり、3月20日の発売からは2240万本に達した。同ゲームは無人島でのスローライフを楽しむゲームで、仲間の島を訪れ、SNSのようにユーザー同士で交流できるのが特徴。ユーザーは4割以上が女性といわれ、特に20~30歳代が多いという。4-6月期のニンテンドースイッチの販売台数は568万台(スイッチライトを含む)と前年同期比2.7倍に拡大したが、「あつ森」を楽しみたいがために購入した人も多いといわれ、ハードの販売にも好影響を与えている。
●ソニーとマイクロソフトが新ハードを投入
今年前半の話題をさらったゲームだが、年後半も注目度が高い。その代表的なものが、ソニー <6758> と米マイクロソフトがともに7年ぶりに発売する次世代ゲーム機だ。ソニーが11月12日に発売する予定の「PlayStation(PS)5」とマイクロソフトが11月10日に発売予定の「Xbox series X」は、いずれも現行機とは異なりタワー型で、ストレージにはハードディスクドライブではなくSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)が採用されている。最先端のプロセッサにより4K映像や高速通信にも対応しているのも特徴だ。
前回の両社のハード決戦では、発売初年の13年及び14年の累計販売台数で「PS4」が約2000万台だったのに対して、「Xbox」は約1000万台とおよそ半分にとどまった。
ただ、両機ともリアルな映像表現などに強く、熱心なゲームファンを抱えている。現行機から7年ぶりの新機種でもあり、発売を心待ちにしているファンも多い。ハードの性能については拮抗しているとの見方が多いだけに、やはりどれだけ魅力的なソフトが提供されるかが販売台数の勝敗につながることになりそうで、今後ソフトに関する注目も高まりそうだ。
●次世代機向け新作タイトルに注目
このように、巣ごもり消費によるゲーム需要の増加、「あつ森」効果によるユーザー層の拡大、ソニーとマイクロソフトによる7年ぶり新型機の投入などで、家庭用ゲーム業界はここ数年にないほど熱を帯びている。前述の任天堂、ソニーの家庭用ゲーム機メーカーだけではなく、大手ゲームソフトへの関心も続きそうだ。
特に注目されるのは、6月の「PS5 THE FUTURE OF GAMING SHOW」や9月17日の「PLAYSTATION 5 SHOWCASE」などでPS5向けタイトルとしてローンチが発表された作品を手掛ける企業だろう。
その代表格がスクウェア・エニックス・ホールディングス <9684> 傘下のスクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジー16」だ。大人気シリーズの最新作というだけではなく、コンソール向けにはPS5独占でリリースされることも話題を呼んでいる。発売日は未定ながら、次の大きな情報公開は21年に予定。また、スクウェア・エニックスは新作「プロジェクト アーシア」(仮題)などもPS5向けに投入予定だ。
同じく人気シリーズの新作では、カプコン <9697> がPS5・Xbox向けに「デビル メイ クライ5 スペシャルエディション」ダウンロード(DL)版をハードと同日発売する予定であることが注目されている。ほかにも同社は、本編としてシリーズ8作目にあたる「バイオハザード ヴィレッジ」や完全新作タイトル「プラグマタ」なども次世代ゲーム機向けに投入予定であり、新作の追加情報への関心が高まっている。
●ダウンロード販売にも注目
一方、巣ごもり消費ではゲームソフトの販売本数が増えただけではなく、DL販売が増えたこともゲームソフト会社の業績を押し上げた。DL販売はパッケージや小売店への手数料が不要となることから、ゲーム会社にとっては利益率が高い販売方法といえる。デジタル売上高比率が第1四半期(4-6月)に56%(前年同期38%)に上昇した任天堂の営業利益率は前年同期の16%から第1四半期は40%と大幅に上昇した。
ここから注目されるのは第1四半期のDL比率が49%のコーエーテクモホールディングス <3635> だ。次世代ゲーム機向け新作の投入はまだ発表していないものの、足もとは「三国志・戦略版」のロイヤルティー収入が好調で業績を牽引しており、未定としている21年3月期も好業績が期待できよう。
株探ニュース
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