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飯野海運のニュース
*14:47JST 飯野海運 Research Memo(7):2024年3月期は小幅営業減益だが計画を上回る水準で着地
■業績動向
1. 2024年3月期連結業績の概要
飯野海運<9119>の2024年3月期の連結業績は、売上高が前期比※2.4%減の137,950百万円、営業利益が同4.8%減の19,063百万円、経常利益が同4.5%増の21,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同15.5%減の19,745百万円だった。平均為替レートは143.82円/米ドル(前期は135.07円/米ドル)、適合燃料油平均価格は620米ドル/MT(同802米ドル/MT)だった。
※ 会計方針の変更に伴い23/3期業績を遡及修正。前期比は修正後数値との比較。
小幅営業減益だったが、為替の円安も寄与して各利益は会社予想(2024年1月31日付の3回目の上方修正、営業利益17,500百万円、経常利益19,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益18,000百万円)を上回る水準で着地した。売上総利益は前期比1.3%増加し、売上総利益率は同0.7ポイント上昇して21.2%となった。販管費は同14.9%増加し、販管費比率は同1.1ポイント上昇して7.4%となった。この結果、営業利益率は同0.4ポイント低下して13.8%となった。なお経常利益は、営業外での為替差損益の改善(前期は為替差損216百万円、当期は為替差益1,495百万円)などにより増益だった。親会社株主に帰属する当期純利益については、特別利益で固定資産売却益が減少(前期は3,488百万円、当期は922百万円)したことや、特別損失で減損損失が増加(前期は370百万円、当期は2,137百万円)したことにより減益だった。
セグメント別の業績は、外航海運業は売上高が前期比2.6%減の114,944百万円で営業利益が同3.1%減の15,139百万円だった。内航・近海海運業は売上高が同3.7%減の10,117百万円で営業利益が同31.4%減の407百万円だった。不動産業は売上高が同0.3%増の12,973百万円で営業利益が同7.5%減の3,516百万円だった。
営業利益(前期比9.5億円減)の内訳は、大型原油タンカーが同0.1億円減、ケミカルタンカーが同11.1億円減、大型ガス船が同13.0億円増、ドライバルク船が同18.9億円減、不動産が同2.9億円減、その他(各分野の為替影響を抜き出して集約)が同10.4億円増だった。大型原油タンカーは前期の売船により稼働が減少したが、市況が秋口から回復傾向となり横ばいを維持した。ケミカルタンカーは前期の市況が高水準だった反動で減益だが、安定的な数量輸送契約に加え、スポット貨物を効率的に取り込んだことにより、想定以上の運航採算を確保した。大型ガス船は既存の中長期契約を中心に安定収益を確保したことに加え、大型LPG船が好況を享受した。ドライバルク船は、効率的な配船・運航により想定を若干上回る運航採算を確保したものの、市況軟化の影響で減益だった。不動産は、オフィスフロアの順調な稼働が継続して安定的な収益を確保したものの、営繕費・管理費などが増加し減益だった。その他は為替の円安が寄与した。
2. 財務の状況
財務面については、2024年3月期末の資産合計は前期末比27,775百万円増加して293,228百万円となった。主に現金及び預金が3,333百万円増加、船舶(純額)が5,421百万円増加、投資有価証券が5,719百万円増加、投資その他の資産のその他が7,799百万円増加した。負債合計は同6,236百万円増加して161,102百万円となった。主に有利子負債残高(長短借入金及び社債の合計)が4,080百万円増加したほか、繰延税金負債が2,170百万円増加した。純資産は同21,539百万円増加して132,126百万円となった。主に利益剰余金が13,078百万円増加したほか、その他有価証券評価差額金が3,820百万円増加、繰延ヘッジ損益が4,063百万円増加した。この結果、自己資本比率は同3.4ポイント上昇して45.0%となった。またD/Eレシオは同0.14ポイント低下して0.90倍となった。自己資本比率の上昇やD/Eレシオの低下など財務体質の改善が進展している。海運業と不動産業を両輪に安定収益基盤を構築しており、財務健全性に特に懸念材料は無いと判断できるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<HH>
1. 2024年3月期連結業績の概要
飯野海運<9119>の2024年3月期の連結業績は、売上高が前期比※2.4%減の137,950百万円、営業利益が同4.8%減の19,063百万円、経常利益が同4.5%増の21,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同15.5%減の19,745百万円だった。平均為替レートは143.82円/米ドル(前期は135.07円/米ドル)、適合燃料油平均価格は620米ドル/MT(同802米ドル/MT)だった。
※ 会計方針の変更に伴い23/3期業績を遡及修正。前期比は修正後数値との比較。
小幅営業減益だったが、為替の円安も寄与して各利益は会社予想(2024年1月31日付の3回目の上方修正、営業利益17,500百万円、経常利益19,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益18,000百万円)を上回る水準で着地した。売上総利益は前期比1.3%増加し、売上総利益率は同0.7ポイント上昇して21.2%となった。販管費は同14.9%増加し、販管費比率は同1.1ポイント上昇して7.4%となった。この結果、営業利益率は同0.4ポイント低下して13.8%となった。なお経常利益は、営業外での為替差損益の改善(前期は為替差損216百万円、当期は為替差益1,495百万円)などにより増益だった。親会社株主に帰属する当期純利益については、特別利益で固定資産売却益が減少(前期は3,488百万円、当期は922百万円)したことや、特別損失で減損損失が増加(前期は370百万円、当期は2,137百万円)したことにより減益だった。
セグメント別の業績は、外航海運業は売上高が前期比2.6%減の114,944百万円で営業利益が同3.1%減の15,139百万円だった。内航・近海海運業は売上高が同3.7%減の10,117百万円で営業利益が同31.4%減の407百万円だった。不動産業は売上高が同0.3%増の12,973百万円で営業利益が同7.5%減の3,516百万円だった。
営業利益(前期比9.5億円減)の内訳は、大型原油タンカーが同0.1億円減、ケミカルタンカーが同11.1億円減、大型ガス船が同13.0億円増、ドライバルク船が同18.9億円減、不動産が同2.9億円減、その他(各分野の為替影響を抜き出して集約)が同10.4億円増だった。大型原油タンカーは前期の売船により稼働が減少したが、市況が秋口から回復傾向となり横ばいを維持した。ケミカルタンカーは前期の市況が高水準だった反動で減益だが、安定的な数量輸送契約に加え、スポット貨物を効率的に取り込んだことにより、想定以上の運航採算を確保した。大型ガス船は既存の中長期契約を中心に安定収益を確保したことに加え、大型LPG船が好況を享受した。ドライバルク船は、効率的な配船・運航により想定を若干上回る運航採算を確保したものの、市況軟化の影響で減益だった。不動産は、オフィスフロアの順調な稼働が継続して安定的な収益を確保したものの、営繕費・管理費などが増加し減益だった。その他は為替の円安が寄与した。
2. 財務の状況
財務面については、2024年3月期末の資産合計は前期末比27,775百万円増加して293,228百万円となった。主に現金及び預金が3,333百万円増加、船舶(純額)が5,421百万円増加、投資有価証券が5,719百万円増加、投資その他の資産のその他が7,799百万円増加した。負債合計は同6,236百万円増加して161,102百万円となった。主に有利子負債残高(長短借入金及び社債の合計)が4,080百万円増加したほか、繰延税金負債が2,170百万円増加した。純資産は同21,539百万円増加して132,126百万円となった。主に利益剰余金が13,078百万円増加したほか、その他有価証券評価差額金が3,820百万円増加、繰延ヘッジ損益が4,063百万円増加した。この結果、自己資本比率は同3.4ポイント上昇して45.0%となった。またD/Eレシオは同0.14ポイント低下して0.90倍となった。自己資本比率の上昇やD/Eレシオの低下など財務体質の改善が進展している。海運業と不動産業を両輪に安定収益基盤を構築しており、財務健全性に特に懸念材料は無いと判断できるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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